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30代子育て世代の資産形成術|教育費と老後資金を同時に準備する方法
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30代子育て世代の資産形成術|教育費と老後資金を同時に準備する方法

2025-12-16
2025-12-16 更新

子育て中でもお金を増やしたい。でも教育費もかかるし、老後も心配。そんな30代子育て世代に向けて、教育費と老後資金を同時に準備する具体的な方法を解説します。

30代は人生で最もお金の悩みが多い時期かもしれません。子どもの教育費、住宅ローン、そして自分たちの老後資金——すべてを同時に考えなければならないからです。

「教育費がかかるから投資なんて無理」と思っている方も多いでしょう。しかし、30代から始める資産形成は、複利効果を最大限に活かせる絶好のタイミングです。

この記事では、教育費と老後資金を同時に準備する具体的な方法を解説します。

子どもの教育費、いくら必要?

まず、現実を把握しましょう。子ども1人を育てるのにいくらかかるのか、進路別にまとめました。

幼稚園から高校までの教育費

進路 年間費用 合計(15年)
すべて公立 約35〜54万円 約540万円
すべて私立 約105〜167万円 約1,800万円

大学4年間の費用

進路 学費のみ 生活費込み(自宅) 生活費込み(下宿)
国立大学 約243万円 約520万円 約800万円
私立文系 約400万円 約700万円 約990万円
私立理系 約540万円 約840万円 約1,120万円

幼稚園〜大学までの総額

進路パターン 総額
すべて公立(大学は国立) 約840万円
すべて私立(大学は私立文系) 約2,250万円
読者
読者

子ども1人で1,000万円以上...2人いたら2,000万円ですか?これで投資なんてできるんでしょうか。

青山(専門家)
青山(専門家)

確かに大きな金額ですが、一括で払うわけではありません。15〜20年かけて準備すればいいので、計画的に取り組めば両立は可能です。

お金を「色分け」して管理する

教育費と老後資金を同時に準備するコツは、お金を目的別に色分けすることです。

3つの色分け

区分 期間 用途 運用方法
短期資金 1〜3年 生活防衛資金、近い将来の出費 預貯金
中期資金 3〜15年 教育費、住宅購入 預貯金+NISA
長期資金 15年以上 老後資金 NISA+iDeCo
ポイント

短期・中期のお金は元本保証を重視し、長期のお金はリスクを取って増やす。この使い分けが重要です。

教育費の準備方法

目標金額を決める

大学資金の目安として、1人あたり600万円を目標にしましょう。これは私立文系の学費と生活費を賄える金額です。

公立や国立を想定している場合でも、進路変更の可能性を考えると、多めに準備しておいて損はありません。

預貯金とNISAの二刀流

教育費600万円を準備する場合、以下のような配分がおすすめです。

方法 金額 特徴
預貯金・学資保険 300万円 元本保証、確実に貯まる
NISA 300万円 増える可能性あり、必要時に売却可能
読者
読者

NISAで運用したお金を教育費に使ってもいいんですか?

青山
青山

はい、新NISAは好きなタイミングで売却できます。しかも、売却した分の非課税枠は翌年に復活するので、教育費に使った後も再び投資を続けられます。

子どもの年齢別プラン

子どもの年齢 大学入学まで おすすめの配分
0〜5歳 13〜18年 預貯金40%+NISA60%
6〜10歳 8〜12年 預貯金50%+NISA50%
11〜15歳 3〜7年 預貯金70%+NISA30%
16歳以上 2年以内 預貯金100%

大学入学が近づくにつれて、預貯金の割合を増やしていきます。直前になって株価が下落しても慌てないためです。

老後資金の準備方法

30代から始める理由

30代から老後資金を準備する最大のメリットは、30年以上の運用期間を確保できること。

開始年齢 60歳までの期間 月3万円の積立結果(年利5%)
30歳 30年 約2,497万円
35歳 25年 約1,787万円
40歳 20年 約1,233万円

スタートが5年遅れるだけで、約700万円の差が生まれます。

iDeCoとNISAの使い分け

制度 メリット デメリット おすすめの使い方
iDeCo 掛金が全額所得控除 60歳まで引き出せない 老後資金専用
新NISA いつでも引き出せる 所得控除なし 教育費&老後資金
おすすめの優先順位
  1. まずは新NISAのつみたて投資枠を活用(教育費と老後資金を兼用)
  2. 余裕があればiDeCoを追加(老後資金専用として)

30代子育て世帯のモデルケース

ケース1:世帯年収600万円、子ども1人

用途 月額 年額 運用先
生活防衛資金 1万円 12万円 預貯金
教育費 2万円 24万円 NISA(オルカン)
老後資金 1万円 12万円 iDeCo
合計 4万円 48万円 -

ケース2:世帯年収800万円、子ども2人

用途 月額 年額 運用先
生活防衛資金 1万円 12万円 預貯金
教育費(1人目) 2万円 24万円 NISA
教育費(2人目) 2万円 24万円 NISA
老後資金 2万円 24万円 iDeCo
合計 7万円 84万円 -
読者
読者

共働きの場合、夫婦それぞれでNISAやiDeCoを使った方がいいですか?

青山
青山

はい、おすすめです。NISAは1人あたり1,800万円の枠があるので、夫婦で使えば3,600万円まで非課税で運用できます。iDeCoも2人分の所得控除を受けられるので、節税効果が倍になります。

児童手当を活用する

2024年10月から児童手当が拡充され、高校生まで支給されるようになりました。

子どもの年齢 月額 年額
0〜2歳 15,000円 180,000円
3歳〜高校生 10,000円 120,000円
第3子以降 30,000円 360,000円
児童手当を投資に回す

児童手当をそのままNISAで積み立てると:

  • 月1万円×18年(年利5%)= 約350万円

大学資金の半分以上を児童手当だけで準備できる計算です。

30代子育て世帯が陥りがちな失敗

失敗1:教育費を貯めることに全力で老後資金がゼロ

子どもの将来を優先したい気持ちは分かりますが、老後資金がないと子どもに負担をかけることになります。少額でも老後資金を並行して準備しましょう。

失敗2:投資に回しすぎて生活防衛資金がない

生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)がない状態で投資を始めると、急な出費で投資を売却しなければならなくなります。まずは生活防衛資金を確保することが大前提です。

失敗3:教育費を全額投資で運用

注意

教育費のすべてを投資で運用するのは危険です。使うタイミングで株価が下落していると、必要な金額を確保できない可能性があります。最低でも半分は元本保証の商品で準備しましょう。

まとめ

30代子育て世帯の資産形成のポイントをまとめます。

  • お金を短期・中期・長期に色分けして管理
  • 教育費は預貯金+NISAの二刀流で準備
  • 老後資金はiDeCo+NISAで長期運用
  • 児童手当を投資に回すと教育費の半分以上を準備可能
  • 30代からの複利効果は30年以上続けられる最強の武器

「教育費があるから投資できない」ではなく、「教育費があるからこそ、計画的に投資を活用する」という発想が大切です。

よくある質問

Q
Q1. 教育費と老後資金、どちらを優先すべきですか?
A

バランスよく準備することが重要です。ただし、教育費は時期が決まっているため、先に目標額を設定し、残りを老後資金に回すという順序で考えると計画を立てやすいです。

Q
Q2. 子どもが小さいうちは投資より貯金に集中すべきですか?
A

むしろ逆です。子どもが小さいほど大学入学まで時間があるため、投資で増やす余地があります。運用期間が長いほど複利効果が大きくなるため、早く始めるメリットは大きいです。

Q
Q3. 学資保険は必要ですか?
A

必須ではありません。学資保険は元本保証ですが、利回りは低めです。親の死亡保障が必要なら掛け捨ての生命保険で備え、貯蓄はNISAで行う方が効率的な場合が多いです。

Q
Q4. 住宅ローンがあっても投資すべきですか?
A

住宅ローンの金利が低い(1%以下)なら、繰上返済より投資を優先しても良いでしょう。ただし、変動金利で金利上昇リスクがある場合は、繰上返済を優先する選択もあります。

Q
Q5. 共働きと片働き、どちらが資産形成に有利ですか?
A

収入面では共働きが有利ですが、大切なのは「収入-支出」の黒字額です。共働きでも支出が多ければ資産は増えません。家計を見直し、投資に回せる金額を増やすことが重要です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。