「もう60代だから投資を始めるには遅い」——そう思っていませんか?
結論から言うと、60代からでも投資を始めるのは決して遅くありません。人生100年時代、60歳からでも30〜40年の人生が待っています。
この記事では、60代からの投資の始め方と、退職金の運用ポイントを解説します。
60代からでも投資すべき理由
理由1:まだ30〜40年ある
| 年齢 | 平均余命(男性) | 平均余命(女性) |
|---|---|---|
| 60歳 | 約24年 | 約29年 |
| 65歳 | 約20年 | 約25年 |
| 70歳 | 約16年 | 約20年 |
60歳の女性の平均余命は約29年。90歳近くまで生きる可能性が高いのです。30年間お金を寝かせておくのはもったいないです。
理由2:インフレに負ける
預金金利は年0.1%程度。一方、インフレ率は年2〜3%。預金だけでは実質的に目減りします。
理由3:運用しながら取り崩せる
「使うお金」と「運用するお金」を分けて考えれば、取り崩しながら運用することができます。
退職金の運用ポイント
やってはいけないこと
退職金が入ると銀行から「運用相談」の連絡が来ますが、窓口で勧められる商品は手数料が高いことが多いです。慎重に判断しましょう。
退職金の分け方
| 用途 | 目安 | 置き場所 |
|---|---|---|
| 当面の生活費(5年分) | 500〜1,000万円 | 預金 |
| 中期的な資金(5〜10年) | 300〜500万円 | 債券・バランスファンド |
| 長期運用資金 | 残り | 株式インデックスファンド |
5年以内に使うお金は投資に回さないのが鉄則です。暴落しても困らないよう、生活費は現金で確保しておきましょう。
60代の資産配分
リスクを抑えた配分
60代は若い世代よりリスクを抑えた配分がおすすめです。
| 資産クラス | 20〜30代 | 60代 |
|---|---|---|
| 株式 | 100% | 50〜70% |
| 債券 | 0% | 20〜40% |
| 現金 | 0% | 10〜20% |
おすすめのファンド構成
| ファンド | 配分例 |
|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式 | 50% |
| eMAXIS Slim 国内債券 | 30% |
| 現金(普通預金) | 20% |
新NISAの活用
60代でも新NISAは活用できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢制限 | なし(何歳でも利用可能) |
| 年間投資枠 | 360万円 |
| 生涯投資枠 | 1,800万円 |
| 非課税期間 | 無期限 |
60代からでも新NISAを始められます。非課税のメリットを活かして、効率的に資産運用しましょう。
取り崩しながらの運用
定率取り崩し
資産の一定割合(例:年4%)を取り崩す方法です。
| 資産残高 | 年4%取り崩し | 残高(運用5%の場合) |
|---|---|---|
| 2,000万円 | 80万円 | 約2,016万円 |
| 2,016万円 | 約81万円 | 約2,032万円 |
米国の研究では、年4%の取り崩しなら30年以上資産が持つとされています(トリニティ・スタディ)。運用しながら取り崩すことで、資産を長持ちさせられます。
定額取り崩し
毎月一定額(例:月10万円)を取り崩す方法です。
注意すべきリスク
1. 暴落リスク
60代は暴落からの回復を待つ時間が短いです。リスクを抑えた配分を心がけましょう。
2. 詐欺リスク
「高利回り」「元本保証」などの甘い言葉には注意。怪しい投資話には乗らないことが大切です。
3. 認知症リスク
将来、認知症になった場合に備えて、家族に投資状況を共有しておきましょう。
よくある質問
始められます。ただし、リスクをより抑えた配分(株式30〜50%程度)がおすすめです。また、取り崩しながらの運用を前提に計画を立てましょう。
おすすめしません。一括投資は高値掴みのリスクがあります。1〜2年かけて分割して投資する「時間分散」がおすすめです。
2022年の制度改正で、65歳まで加入できるようになりました。ただし、受け取りも60歳以降なので、運用期間は短くなります。新NISAの方が柔軟に使えます。
まとめ
60代からの投資についてまとめます。
- 60代からでも投資は遅くない
- 人生100年時代、あと30〜40年ある
- 退職金は一括投資せず分散して投資
- 生活費は現金で確保してから投資
- リスクを抑えた配分(株式50〜70%)
- 新NISAは年齢制限なしで利用可能
- 取り崩しながら運用すれば資産は長持ち
「遅い」と諦めず、今日から投資を始めましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。