「プロが銘柄を選んでくれるアクティブファンドの方が良いのでは?」
投資を始めると、こんな疑問を持つ人も多いでしょう。しかし、データを見るとアクティブファンドの約90%はインデックスファンドに負けています。
この記事では、アクティブファンドの実態と、本当にダメなのかを検証します。
アクティブファンドとは
定義
| 種類 | 運用方法 | 目標 |
|---|---|---|
| アクティブファンド | ファンドマネージャーが銘柄を選定 | 市場平均を上回るリターン |
| インデックスファンド | 指数に連動するよう機械的に運用 | 市場平均と同じリターン |
代表的なアクティブファンド
| ファンド名 | 信託報酬 | 特徴 |
|---|---|---|
| ひふみ投信 | 1.078% | 日本株中心、中小型株 |
| セゾン資産形成の達人 | 1.35% | 世界株式、長期投資 |
| スパークス・厳選投資 | 1.804% | 日本株、厳選投資 |
データで見る「勝てない現実」
S&P500 vs アクティブファンド
米国の調査(SPIVA)によると:
| 期間 | インデックスに負けたアクティブファンドの割合 |
|---|---|
| 1年 | 約60% |
| 5年 | 約75% |
| 10年 | 約85% |
| 15年 | 約90% |
15年以上の長期で見ると、約90%のアクティブファンドがインデックスに負けています。つまり、プロが運用しても市場平均に勝つのは難しいのです。
日本株でも同様
日本株のアクティブファンドも同様の傾向があります。
| 期間 | TOPIXに負けたアクティブファンドの割合 |
|---|---|
| 5年 | 約70% |
| 10年 | 約80% |
なぜアクティブは勝てないのか
理由1:信託報酬が高い
| 種類 | 信託報酬の目安 |
|---|---|
| インデックスファンド | 0.05〜0.2% |
| アクティブファンド | 1.0〜2.0% |
信託報酬の差は毎年確実に発生するコストです。年1.5%の差があれば、20年で約30%の差になります。この差を運用で取り戻すのは至難の業です。
理由2:売買コストがかさむ
アクティブファンドは銘柄を頻繁に入れ替えるため、売買手数料や税金が発生します。これらは信託報酬には含まれない「隠れコスト」です。
理由3:市場は効率的
「効率的市場仮説」によると、株価にはすでに全ての情報が織り込まれているため、プロでも市場平均を上回り続けるのは難しいとされています。
理由4:優秀なファンドを事前に見つけられない
過去に好成績だったファンドが、将来も好成績を続ける保証はありません。
過去の成績が良いファンドを選べばいいのでは?
残念ながら、過去の成績と将来の成績には相関がほとんどありません。好成績だったファンドが翌年に下位に沈むことは珍しくないのです。
それでもアクティブが選ばれる理由
心理的な安心感
「プロが運用してくれる」という安心感は大きいです。自分で判断する必要がないという点で、投資初心者には魅力的に映ります。
暴落時のアウトパフォーマンス期待
一部のアクティブファンドは、暴落時に現金比率を高めて損失を抑えることがあります(ただし、タイミングを当てるのは難しい)。
特定の投資テーマへのアクセス
特定のセクターやテーマに特化したアクティブファンドは、インデックスでは得られない投資機会を提供します。
アクティブファンドが有効なケース
ケース1:非効率な市場
新興国株や小型株など、情報が十分に行き渡っていない「非効率な市場」では、アクティブ運用が有利になる可能性があります。
ケース2:特定の投資哲学に共感
バリュー投資やESG投資など、特定の投資哲学に基づくファンドで、その哲学に共感できる場合。
ケース3:長期実績のあるファンド
20年以上の長期でインデックスを上回り続けているファンド(非常に少ない)。
結論:ほとんどの人はインデックスでOK
インデックスを選ぶべき理由
- 低コスト(年0.05〜0.2%)
- 市場平均のリターンが確実に得られる
- ファンド選びに悩まない
- 長期で90%のアクティブに勝つ
おすすめのインデックスファンド
| ファンド | 信託報酬 |
|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式 | 0.05775% |
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.09372% |
| SBI・V・全世界株式 | 0.1338% |
特別な理由がない限り、インデックスファンドを選ぶのが合理的です。コストを抑えて市場平均のリターンを得る——これがシンプルかつ最強の戦略です。
よくある質問
かつては好成績でしたが、純資産が増えるにつれてインデックスを下回る年が増えています。2024年時点では、長期でTOPIXを上回っていますが、将来は分かりません。
ほとんどの場合、ありません。信託報酬1%の差は、20年で約22%の差になります。この差を運用で取り戻せるアクティブファンドは10%以下です。
投資の勉強として少額をアクティブに、大部分をインデックスに配分するのはありです。ただし、アクティブの比率が高いとコスト負けするリスクがあります。
まとめ
アクティブファンドの実態をまとめます。
- 90%のアクティブファンドは長期でインデックスに負ける
- 主な敗因は高い信託報酬(年1〜2%)
- 過去の好成績は将来を保証しない
- 市場は効率的で、プロでも勝ち続けるのは難しい
- ほとんどの人はインデックスファンドでOK
投資はシンプルに。低コストのインデックスファンドで十分です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。