IN
INVESTORS NEWS 投資や資産運用に関わる最新ニュースを毎日お届けするメディア
アンカリング効果とは|投資判断を狂わせる心理バイアスと対策
投資戦略 投資基礎知識

アンカリング効果とは|投資判断を狂わせる心理バイアスと対策

2026-01-05
2026-01-05 更新

アンカリング効果が投資判断にどう影響するか?「買値」に囚われて損切りできない、高値覚えで買えないなど、具体例と対策を解説します。

「買った時の価格が忘れられない」「以前の高値を基準に考えてしまう」

これはアンカリング効果という心理バイアスの影響です。投資判断を大きく狂わせる原因になります。

この記事では、アンカリング効果の仕組みと投資での対策を解説します。

アンカリング効果とは

アンカリング効果とは、最初に見た数字や情報に引きずられて判断が歪む心理現象です。

日常生活での例

  • 「定価10,000円が今だけ5,000円」→ お得に感じる
  • 「年収1,000万円」と聞くと、それを基準に考える
  • 最初に提示された価格が「相場」に感じる

最初の情報が「錨(アンカー)」となり、その後の判断に影響を与えます。

読者
読者

投資にどう関係するんですか?

西山(資産運用アドバイザー)
西山(資産運用アドバイザー)

投資では「買値」や「過去の株価」がアンカーになりやすいです。これが原因で、合理的な判断ができなくなることがあります。

投資におけるアンカリング効果

パターン1:買値に囚われる

最も多いのが、自分の買値を基準にしてしまうパターンです。

例:

  • 1,000円で買った株が800円に下落
  • 「1,000円に戻るまで売らない」と決める
  • しかし、株価は500円まで下落…

本来は「今後上がるか下がるか」で判断すべきですが、買値という「アンカー」に囚われて損切りできません。

パターン2:高値覚え

過去の高値を覚えていて、「あの時より安いから買いだ」と判断してしまうパターンです。

例:

  • ある株が最高値3,000円をつけた
  • 現在2,000円に下落
  • 「3,000円から33%も安い、お買い得だ」と購入
  • しかし、業績悪化で1,000円まで下落…

過去の高値は現在の適正価格と無関係です。

パターン3:安値覚え

逆に、過去の安値を覚えていて「あの時より高いから買えない」と判断するパターンです。

例:

  • コロナショックで株価が大暴落した時に買えなかった
  • 「あの時買っていれば…」という後悔
  • 現在の価格が「高く」感じて買えない
  • 結果、さらに上昇して機会損失
重要

過去の価格は、将来の価格を予測する材料にはなりません。今の株価が「高い」か「安い」かは、過去ではなく将来の業績で決まります。

なぜアンカリングが起きるのか

認知的な省エネ

人間の脳は、複雑な判断を避けて「分かりやすい基準」を使いたがります。

買値や過去の株価は、明確な数字として記憶に残りやすく、判断の基準にしやすいのです。

損失回避バイアスとの組み合わせ

アンカリング効果は、損失回避バイアス(損失を過大に嫌う傾向)と組み合わさると、さらに強力になります。

  • 買値より下がっている → 「損」と感じる
  • 買値に戻るまで売れない → 損失が拡大

アンカリング効果への対策

対策1:買値を忘れる

極端ですが、買値を意識しないことが最も効果的です。

実践方法:

  • 買値を記録しない
  • 「今買うとしたら買うか?」で判断する
  • 損益ではなく、将来性で評価する
読者
読者

でも、損益は気になります…

西山
西山

気持ちは分かります。ただ、買値は「埋没費用」です。今後の判断には関係ありません。「この株を今持っているとして、さらに買い増すか?売るか?」で考えましょう。

対策2:ルールを事前に決める

感情に左右されないよう、売買ルールを事前に決めておく方法です。

例:

  • 「-20%で損切り」と決めておく
  • 「目標達成したら売却」と決めておく
  • リバランスのルールを決めておく

ルールがあれば、アンカリングに引きずられにくくなります。

対策3:インデックス投資に徹する

個別株ではなく、インデックス投資に徹することで、アンカリングの影響を減らせます。

  • 個別銘柄の株価を気にしなくていい
  • 長期で右肩上がりを信じて保有
  • 積立投資なら買値が平均化される

対策4:複数の視点で評価する

1つの数字に囚われないよう、複数の指標で評価しましょう。

評価の視点:

  • PER、PBRなどのバリュエーション
  • 業績の成長率
  • 同業他社との比較
  • アナリストの目標株価

対策5:時間を置く

判断を急がず、一晩寝かせることで冷静になれます。

「今すぐ売らなきゃ」「今すぐ買わなきゃ」という焦りは、バイアスの影響を強めます。

具体的なシナリオ

シナリオ1:損切りできない

状況:

  • 1,000円で買った株が700円に下落
  • 「1,000円に戻るまで売らない」と決意

アンカリングの影響:

  • 買値1,000円に囚われている
  • 客観的に見ると、業績悪化で500円が適正かもしれない

正しい考え方:

  • 「今700円で買うか?」と自問する
  • 買わないなら、売却を検討すべき
  • 買値は判断材料にならない

シナリオ2:利確できない

状況:

  • 1,000円で買った株が1,500円に上昇
  • 「もっと上がるかも」と売れない

アンカリングの影響:

  • 買値からの上昇率に注目している
  • 1,500円から見た将来性を評価できていない

正しい考え方:

  • 「今1,500円で買うか?」と自問する
  • 買わないなら、一部利確も選択肢
  • 目標を事前に決めておく

まとめ

アンカリング効果について解説しました。

ポイント:

  • 最初の数字に判断が引きずられる心理現象
  • 投資では「買値」「過去の株価」がアンカーになりやすい
  • 損切りできない、買えない原因になる
  • 対策は「買値を忘れる」「ルールを決める」
  • 「今買うか?」で判断する習慣をつける

投資で成功するには、心理バイアスを理解し、コントロールすることが大切です。

よくある質問

Q
Q1. アンカリング効果を完全に避けることはできますか?
A

完全に避けるのは難しいですが、「自分はバイアスの影響を受けている」と認識するだけでも効果があります。意識することで、より客観的な判断ができるようになります。

Q
Q2. 損切りのルールはどう決めればいいですか?
A

一般的には「-10%〜-20%で損切り」などのルールを設定します。重要なのは、ルールを事前に決めて機械的に実行することです。

Q
Q3. インデックス投資でもアンカリングは起きますか?
A

起きますが、影響は小さくなります。長期で右肩上がりを信じる投資なら、短期の価格変動は気にしなくて済みます。積立投資なら買値も平均化されます。

Q
Q4. 買値を記録しない方がいいですか?
A

税金計算のために記録は必要ですが、投資判断の際には意識しない方が良いです。「今この価格で買うか?」という視点で判断しましょう。