投資信託やETFを購入する際、必ず目にする「iShares」ブランド。
その運営元であるブラックロック(BlackRock)は、運用資産11.6兆ドル(約1,700兆円)を誇る世界最大の資産運用会社だ。その事業と投資家が知るべきポイントを解説する。
ブラックロックの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | BlackRock, Inc. |
| 設立 | 1988年 |
| 本社 | 米国ニューヨーク |
| CEO | ラリー・フィンク |
| 上場市場 | NYSE(ティッカー:BLK) |
| 運用資産 | 約11.6兆ドル(約1,700兆円) |
| 従業員 | 約2.1万人 |
運用資産1,700兆円って、どのくらいすごいんですか?
日本のGDP(約600兆円)の約3倍にあたります。世界中の年金基金、保険会社、個人投資家から資金を預かり運用しています。文字通り、世界最大の運用会社です。
設立の経緯
ブラックロックは1988年、8人のパートナーによりニューヨークで設立された。
当初はリスク管理サービスが主力だったが、2009年のバークレイズ・グローバル・インベスターズ(iShares運営元)買収により、ETF事業で世界首位に躍り出た。
事業内容
運用資産の内訳
ブラックロックは株式、債券、オルタナティブ(代替資産)、短期金融商品など様々な資産クラスを運用している。
iShares ETF
ブラックロックの看板事業が「iShares」ブランドのETF。
- ETF純資産残高:3兆5,064億ドル
- 世界ETF市場シェア:30.4%(首位)
- 銘柄数:世界で1,000本以上
- 日本上場:100銘柄以上
世界のETF市場の約3割がブラックロックという圧倒的なシェアを持つ。
主なiShares ETF
| ティッカー | 名称 | 投資対象 |
|---|---|---|
| IVV | iシェアーズ・コアS&P500 | 米国大型株 |
| IEFA | iシェアーズ・コアMSCI EAFE | 先進国(除く米国) |
| EEM | iシェアーズMSCIエマージング | 新興国 |
| AGG | iシェアーズ・コア米国総合債券 | 米国債券 |
| HYG | iシェアーズiBoxxハイイールド社債 | ハイイールド債 |
Aladdin(テクノロジー事業)
ブラックロックはリスク管理プラットフォーム「Aladdin」も提供している。
2024年にはテクノロジーサービス部門だけで約16億ドルの収入を計上し、全収入の約8%に達している。
最近の動向
プライベート資産の強化
ブラックロックは上場資産だけでなく、非上場資産への投資も強化している。
- 2024年10月:インフラ投資会社GIPの買収を完了
- プライベートクレジット投資会社HPSの買収を発表
日本市場
日本でもiShares ETFは広く利用されている。
- 東証上場:iシェアーズS&P500(1655)、iシェアーズ・コア日経225(1329)等
- 海外ETF:IVV、VTI等をSBI証券、楽天証券で購入可能
投資家が注目すべきポイント
ブラックロック株への投資
| 指標 | 数値(2025年12月時点) |
|---|---|
| 株価 | 約1,000ドル |
| PER | 約25倍 |
| 配当利回り | 約2% |
強み
- 圧倒的な規模:運用資産1,700兆円で世界首位
- ETFブランド力:iSharesで世界シェア30%
- テクノロジー:Aladdinによる安定収益
- プライベート資産:GIP買収で新たな成長分野
リスク
- 市場変動リスク:運用資産が株式市場に連動
- 手数料圧力:ETFの手数料引き下げ競争
- 規制リスク:大規模運用会社への規制強化
iSharesを使った投資戦略
個人投資家がブラックロックと関わる最も一般的な方法は、iShares ETFの購入だ。
初心者向けETFポートフォリオ例
| 資産クラス | ETF | 経費率 |
|---|---|---|
| 米国株式 | IVV(S&P500) | 0.03% |
| 先進国株式 | IEFA | 0.07% |
| 新興国株式 | EEM | 0.69% |
| 米国債券 | AGG | 0.03% |
まとめ
ブラックロックは、世界の資産運用業界を支配する巨人だ。
- 運用資産11.6兆ドル(約1,700兆円)で世界最大
- ETF「iShares」で世界シェア30.4%
- 世界で1,000本以上のETFを提供
- テクノロジー事業「Aladdin」も成長
- プライベート資産への投資を強化中
投資信託やETFを購入する投資家にとって、ブラックロックは知っておくべき重要な企業だ。
よくある質問(記事のおさらい)
ブラックロックは運用資産11.6兆ドルで世界1位、バンガードは約7兆ドルで2位です。ブラックロックは「iShares」ブランドのETF、バンガードは「VOO」「VTI」等で知られます。両社とも低コストのインデックス投資で有名です。
日本では、東証上場のiShares ETF(1655、1329等)はどの証券会社でも購入可能です。海外ETF(IVV、AGG等)はSBI証券、楽天証券などで購入できます。NISA口座でも対象商品があります。
運用資産の増加に伴い手数料収入が増える「資産運用業」の成長を享受できます。また、配当利回り約2%と安定配当も魅力です。ただし、株式市場が下落すると運用資産が減少し、収益に影響する点には注意が必要です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。