「次の利上げっていつなんですか?住宅ローンの金利がまた上がるのが心配で……」
2025年12月に日銀が政策金利を0.75%に引き上げてから約2ヶ月。市場では早くも「次の利上げ」のタイミングが議論されています。
ブルームバーグの調査ではエコノミストの48%が「7月」と予想する一方、元日銀審議委員の安達誠司氏は「4月もあり得る」と指摘。見方が大きく割れている状況です。
この記事では、4月説と7月説それぞれの根拠を整理し、個人投資家が今から備えるべきことを解説します。
現在の金利環境を整理する
まず、現在の状況を確認しましょう。
| 項目 | 現在の水準 | 前回の変更 |
|---|---|---|
| 政策金利(無担保コール翌日物) | 0.75% | 2025年12月に0.50%→0.75%へ引き上げ |
| 普通預金金利(主要行) | 約0.2% | 利上げに連動して段階的に上昇 |
| 変動住宅ローン金利(主要行) | 約0.6〜1.0% | 2025年12月の利上げ後に引き上げ |
| 10年国債利回り | 約1.3〜1.4% | 上昇傾向 |
0.75%って、まだかなり低い印象ですが、それでも影響はあるんですか?
歴史的に見ればまだ低水準ですが、ゼロ金利・マイナス金利が10年以上続いた日本では、0.75%でも大きな変化です。住宅ローンの返済額は確実に増えていますし、預金にも利子がつくようになりました。「金利がある世界」への適応が求められています。
4月利上げ説 — 何を根拠にしているのか
元審議委員が指摘する「4月の可能性」
元日銀審議委員の安達誠司氏は、基調的な物価上昇率が2%に到達したことが確認されれば、4月の金融政策決定会合で1.0%への利上げが可能と指摘しています。
4月説を支える主な根拠は以下の通りです。
- 2026年春闘の賃上げ率が高水準で決着する見通し
- コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)が2%を安定的に超えている
- 日銀が「主な意見」で追加利上げへの積極姿勢を示している
4月利上げが実現するかは、3月中旬に集中回答日を迎える春闘の結果に大きく左右されます。賃上げ率が前年並みの5%前後を維持すれば、日銀にとって利上げの大義名分が強まります。
4月利上げのシナリオ
4月に利上げされたら、住宅ローンにはいつ影響が出ますか?
多くの金融機関では4月に基準金利の見直しがあり、実際の毎月返済額は7月分から増えるケースが一般的です。つまり4月に利上げが決定されても、実際にローン返済額が増えるのは夏以降ということになります。
7月利上げ説 — 多数派の見方
ブルームバーグ調査の結果
ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に行った調査では、次回利上げのタイミングとして7月と回答した人が48%で最多でした。
7月説を支える根拠は以下の通りです。
- トランプ関税リスクの影響を見極める必要がある
- 高市政権の経済対策の効果を確認したい
- 日銀は慎重に段階的な利上げを進めてきた実績がある
野村證券のメインシナリオ
野村證券は新たなメインシナリオとして、2026年6月・12月の年2回利上げを予想しています。各回0.25%ポイントの引き上げで、年末には政策金利が1.25%に達するという見立てです。
| 予想元 | 次回利上げ時期 | 年末の政策金利 |
|---|---|---|
| 安達元審議委員 | 4月 | 1.0〜1.25% |
| ブルームバーグ調査(多数派) | 7月 | 1.0% |
| 野村證券 | 6月 | 1.25% |
| 三井住友DSアセット | 4月 | 1.0% |
利上げが個人の資産に与える影響
では、実際に利上げが行われた場合、個人の家計や投資にどう影響するのでしょうか。
住宅ローン — 変動金利の上昇は避けられない
政策金利が1.0%に引き上げられた場合、変動型住宅ローン金利はさらに0.25%程度上昇します。
うちは変動金利で借りているんですが、具体的にどれくらい負担が増えますか?
たとえば残高3,000万円・残期間25年の場合、金利が0.25%上がると月々の返済額は約3,000〜4,000円増える計算です。年間にすると約4〜5万円。大きな数字ではありませんが、今後もさらに利上げが続けば、累積的な負担増になります。
多くの変動金利ローンには「5年ルール」(5年間は返済額が変わらない)がありますが、返済額が変わらなくても元本と利息の内訳は変わります。利息の割合が増え、元本の返済が遅れる点に注意が必要です。
預金金利 — 数十年ぶりの「金利のある世界」
一方で、預金金利の上昇は家計にとってプラスです。マイナス金利解除前は0.001%程度だった普通預金金利は、現在約0.2%まで上昇しています。
政策金利が1.0%に達すれば、普通預金金利は0.3〜0.4%程度まで上がる可能性があります。生活防衛資金として預金に置いているお金にも、少しずつ利子がつく時代が戻ってきました。
債券投資 — 個人向け国債の妙味が復活
10年国債利回りは1.3〜1.4%台に上昇しており、個人向け国債の利回りも改善しています。
株式投資から債券投資に切り替えた方がいいですか?
「切り替える」のではなく、ポートフォリオに債券を組み入れるという考え方がおすすめです。株式と債券のバランスを見直す良いタイミングといえます。特に50代以上の方は、リスク資産の比率を下げて債券の比率を上げることを検討してもよいでしょう。
株式市場への影響
利上げは一般的に株式市場にとってマイナス材料です。ただし、利上げの理由が「景気が良いから」であれば、企業業績の改善と相殺される場合もあります。
| 資産クラス | 利上げの影響 | 具体的な変化 |
|---|---|---|
| 変動金利ローン | マイナス | 返済額が増加 |
| 預金 | プラス | 金利上昇で利息増 |
| 個人向け国債 | プラス | 利回り改善 |
| 株式(全般) | やや不透明 | 金融株はプラス、グロース株はマイナス傾向 |
| 不動産 | マイナス | 借入コスト上昇 |
個人投資家が今から備えるべきこと
1. 変動金利ローンの返済計画を見直す
すでに変動金利で住宅ローンを借りている方は、金利が1.5%まで上がった場合のシミュレーションを行いましょう。返済に無理がないか確認し、必要であれば繰り上げ返済や固定金利への借り換えを検討してください。
2. 預金・債券のポジションを増やす
「金利のある世界」では、預金や債券にも投資価値が出てきます。株式100%のポートフォリオを組んでいる方は、個人向け国債や定期預金を組み入れることで、ポートフォリオ全体のリスクを下げることができます。
3. 金融株・銀行株への投資を検討する
利上げ局面では銀行の収益構造が改善するため、銀行株は恩恵を受けやすいセクターです。すでに三菱UFJや三井住友などのメガバンク株は上昇していますが、地方銀行にも波及する余地があります。
「4月に利上げがあるから」「7月に利上げがあるから」という予想だけで投資判断をするのはおすすめしません。利上げ時期はあくまで予想であり、外れる可能性も十分にあります。金利環境の大きな方向性(上昇トレンド)を踏まえた上で、長期視点の投資を心がけましょう。
まとめ
- 日銀の次の利上げは4月説と7月説でエコノミストの見方が割れている
- 野村證券は2026年に2回の利上げ(6月・12月)を予想し、年末1.25%を見込む
- 変動金利ローンの返済負担は段階的に増加する見通し
- 預金金利・個人向け国債の利回りは改善し、債券投資の妙味が復活
- 個人投資家はローンの見直し・預金債券の組み入れ・銀行株の検討を
「金利のある世界」はリスクでもありチャンスでもあります。住宅ローンの負担増は避けられませんが、預金や債券で着実にリターンが得られるようになったのは、長い低金利時代を経た日本にとって大きな変化です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
よくある質問(記事のおさらい)
ブルームバーグ調査ではエコノミストの48%が7月を予想していますが、4月の可能性も指摘されています。野村證券は6月と12月の年2回を予想しています。
市場では1.25〜1.75%程度が「最終ゴール」と見られています。野村證券は2027年6月に1.25%に到達すると予想しています。
金利が1.5%まで上がった場合のシミュレーションを行い、返済に余裕があればそのまま変動で問題ありません。余裕がない場合は固定金利への借り換えや繰り上げ返済を検討してください。
現在の普通預金金利は約0.2%です。政策金利が1.0%に達すれば、0.3〜0.4%程度まで上がる可能性があります。マイナス金利時代の0.001%と比べると大幅な改善です。
銀行・金融株は利上げの恩恵を受けやすいセクターです。また、個人向け国債や定期預金の利回りも改善しているため、株式100%のポートフォリオに債券や預金を組み入れることを検討してください。