「退職したら企業型DCはどうなる?」「iDeCoに移換する方法は?」
退職や転職で企業型DC(企業型確定拠出年金)を離れる時、適切な手続きが必要です。
この記事では、企業型DCからiDeCoへの移換について解説します。
企業型DCとiDeCoの違い
企業型DC(企業型確定拠出年金)
会社が掛金を拠出し、従業員が運用する年金制度です。
特徴:
- 会社が掛金を負担(一部本人拠出もあり)
- 運用商品は会社が選んだものから選択
- 退職すると加入資格を失う
iDeCo(個人型確定拠出年金)
個人が自分で掛金を拠出し、運用する年金制度です。
特徴:
- 自分で掛金を拠出
- 掛金が全額所得控除
- 運用商品を自由に選べる
- 60歳まで引き出せない
退職したら企業型DCはどうなるんですか?
退職すると企業型DCの加入資格を失います。6ヶ月以内に移換手続きをしないと、資産が「国民年金基金連合会」に自動移換され、デメリットが発生します。
退職後の選択肢
選択肢1:iDeCoに移換(おすすめ)
企業型DCの資産をiDeCoに移換して、運用を継続します。
メリット:
- 運用を継続できる
- 自分で運用商品を選べる
- 掛金を拠出すれば所得控除も受けられる
選択肢2:転職先の企業型DCに移換
転職先に企業型DCがあれば、そちらに移換できます。
メリット:
- 手続きが比較的簡単
- 会社が管理してくれる
注意点:
- 転職先の制度内容による
- 運用商品が変わる可能性
選択肢3:脱退一時金として受け取る
条件を満たせば、脱退一時金として受け取れる場合があります。
条件(すべて満たす必要あり):
- 60歳未満
- 企業型DCの加入期間が3年以下 or 資産額25万円以下
- 国民年金の保険料免除者 など
多くの人は条件を満たさないため、この選択肢は使えません。
「放置」は絶対にNGです。6ヶ月以内に手続きしないと、自動移換されてデメリットが発生します。
放置した場合のデメリット
6ヶ月以内に手続きしないと、資産が国民年金基金連合会に自動移換されます。
デメリット1:運用できない
自動移換されると、資産は現金のまま放置されます。運用できないため、増える機会を失います。
デメリット2:手数料がかかる
自動移換時と、その後毎月管理手数料がかかります。
- 自動移換時:4,348円
- 毎月:52円
資産が目減りしていきます。
デメリット3:受給開始が遅れる可能性
自動移換期間は加入期間に算入されません。
加入期間が短いと、受給開始年齢が遅くなる可能性があります。
デメリット4:手続きが面倒に
後から移換する場合、追加の手数料がかかります。
- 自動移換からの移換:1,100円
iDeCoへの移換手順
iDeCoを取り扱う金融機関(運営管理機関)を選びます。SBI証券、楽天証券などネット証券がおすすめです。手数料と運用商品で比較しましょう。
選んだ金融機関のサイトから、加入申込書を請求します。オンラインで完結する金融機関もあります。
本人確認書類、基礎年金番号が分かるもの(年金手帳など)を準備します。
申込書に必要事項を記入し、提出します。「移換」を選択し、企業型DCの資産を移すことを明記します。
国民年金基金連合会の審査を経て、iDeCo口座が開設されます。通常1〜2ヶ月かかります。
企業型DCの資産がiDeCo口座に移換されます。移換完了まで2〜3ヶ月かかることがあります。
移換時の注意点
注意1:6ヶ月の期限を守る
退職日の翌月から6ヶ月以内に移換手続きを完了させましょう。
手続きに時間がかかるため、退職後すぐに着手することをおすすめします。
注意2:運用商品は現金化される
移換時に企業型DCの運用商品は一度現金化されます。
- 移換中は運用できない期間がある
- 移換後、改めて運用商品を選ぶ必要がある
注意3:手数料を比較する
iDeCoの金融機関によって手数料が異なります。
| 金融機関 | 口座管理料(月額) |
|---|---|
| SBI証券 | 171円 |
| 楽天証券 | 171円 |
| マネックス証券 | 171円 |
| 銀行・証券(高いところ) | 400円以上 |
ネット証券を選べば、年間で数千円の差になります。
注意4:掛金の設定
iDeCoでは掛金を拠出するかどうか選べます。
選択肢:
- 掛金を拠出する → 所得控除を受けられる
- 掛金を拠出しない(運用指図者)→ 移換した資産のみ運用
収入がない期間や、他の支出が優先の場合は「運用指図者」も選べます。
掛金を出さなくてもいいんですか?
はい、運用指図者として移換した資産だけ運用することもできます。ただし、掛金を拠出すれば所得控除が受けられるので、余裕があれば拠出がおすすめです。
おすすめのiDeCo金融機関
SBI証券
- 口座管理料:171円/月(業界最低水準)
- 運用商品:eMAXIS Slimシリーズなど低コスト商品
- サポート:電話・チャット対応
楽天証券
- 口座管理料:171円/月
- 運用商品:楽天・全世界株式など
- 楽天ポイントとの連携
マネックス証券
- 口座管理料:171円/月
- 運用商品:eMAXIS Slimシリーズ
- サポート充実
まとめ
企業型DCからiDeCoへの移換について解説しました。
ポイント:
- 退職後6ヶ月以内に移換手続きが必要
- 放置すると自動移換でデメリットが発生
- iDeCoへの移換がおすすめ
- ネット証券なら手数料が安い
- 手続きには1〜2ヶ月かかるので早めに着手
大切な年金資産を守るため、退職後すぐに手続きを始めましょう。
よくある質問
自動移換されますが、後からiDeCoに移換することは可能です。ただし、追加の手数料がかかり、自動移換期間中は運用できません。できるだけ早く手続きしましょう。
転職先の企業型DCの内容(運用商品、手数料)を確認してから判断しましょう。運用商品が充実していれば企業型DC、自由に選びたければiDeCoがおすすめです。
移換手続き中(2〜3ヶ月)は、資産が現金化され運用できない期間があります。この期間の運用機会損失は避けられません。
職業によって異なります。会社員(企業年金なし)は月2.3万円、自営業は月6.8万円、公務員は月1.2万円などです。転職後の状況に応じて確認してください。