「夫婦で新NISAを始めたいけど、どう分ければいい?」
新NISAは1人あたり生涯1,800万円の非課税枠がありますが、夫婦なら合計3,600万円の非課税枠を活用できます。
この記事では、夫婦で新NISAをフル活用する戦略を解説します。
夫婦で新NISAを使うメリット
非課税枠が2倍になる
| 項目 | 1人分 | 夫婦2人分 |
|---|---|---|
| つみたて投資枠(年間) | 120万円 | 240万円 |
| 成長投資枠(年間) | 240万円 | 480万円 |
| 年間投資枠(合計) | 360万円 | 720万円 |
| 生涯非課税限度額 | 1,800万円 | 3,600万円 |
3,600万円を年利5%で運用すれば、年間180万円の利益が出ます。通常なら約36万円の税金がかかりますが、新NISAならすべて非課税です。
専業主婦/主夫でもOK
新NISAは収入がなくても口座開設可能です。専業主婦(主夫)でも、自分名義の新NISA口座を持てます。
夫婦の投資戦略3パターン
パターン①:2人とも同じ商品(シンプル型)
最もシンプルなのは、夫婦ともに同じ商品で積み立てる方法です。
| 名義 | 商品 | 月額 |
|---|---|---|
| 夫 | eMAXIS Slim 全世界株式 | 5万円 |
| 妻 | eMAXIS Slim 全世界株式 | 5万円 |
| 合計 | — | 10万円 |
- 管理がシンプル
- 迷わなくていい
- 夫婦で同じ目標を共有
- 分散効果は限定的
- どちらかが売りたくなった時に意見が分かれる可能性
パターン②:役割分担(分散型)
夫婦で異なる商品に投資して、リスク分散する方法です。
| 名義 | 商品 | 特徴 |
|---|---|---|
| 夫 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 攻め(米国集中) |
| 妻 | eMAXIS Slim 全世界株式 | 守り(世界分散) |
なぜ分けるんですか?
米国株が不調な時でも、全世界株式なら他の地域でカバーできる可能性があります。夫婦で役割分担することで、家計全体としてリスク分散できます。
パターン③:攻めと守り(リスク調整型)
リスク許容度に応じて、夫婦で異なる資産配分にする方法です。
| 名義 | 投資対象 | リスク |
|---|---|---|
| 夫(収入安定) | 株式100% | 高め |
| 妻(収入変動あり) | 株式50%+債券50% | 低め |
収入差がある場合の考え方
収入の多い方から優先的に
夫婦で収入差がある場合、収入の多い方から優先的に新NISAの枠を埋めるのが効率的です。
なぜ収入の多い方から?
投資できる金額が多い方が、先に非課税枠を使い切りやすいからです。また、収入が高いほど税負担も大きいので、非課税のメリットも大きくなります。
専業主婦/主夫の場合
専業主婦(主夫)の場合、配偶者からの贈与で投資資金を準備します。
夫婦間の贈与でも、年間110万円までは贈与税がかかりません。月9万円程度なら非課税で配偶者に渡して、その資金で新NISAに投資できます。
注意:名義貸しはNG
新NISAは名義人本人しか取引できません。夫の口座を妻が管理・運用することは「名義貸し」となり、規約違反です。
OK:夫が妻に110万円贈与 → 妻が自分のNISA口座で運用
NG:妻のNISA口座に夫がログインして取引
具体的な積立プラン例
共働き夫婦(世帯年収800万円)
| 項目 | 夫 | 妻 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 月収(手取り) | 30万円 | 25万円 | 55万円 |
| 積立額 | 5万円 | 5万円 | 10万円 |
| 商品 | S&P500 | オルカン | — |
| 年間投資額 | 60万円 | 60万円 | 120万円 |
片働き夫婦(夫のみ収入)
| 項目 | 夫 | 妻 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 月収(手取り) | 40万円 | 0円 | 40万円 |
| 積立額 | 5万円 | 3万円(贈与) | 8万円 |
| 商品 | オルカン | オルカン | — |
| 年間投資額 | 60万円 | 36万円 | 96万円 |
片働き夫婦でも、年間110万円以内の贈与なら税金はかかりません。妻名義の新NISAも活用しましょう。
夫婦で話し合っておくこと
投資を始める前に確認
夫婦で投資を始める前に、以下の点を話し合っておきましょう。
- 投資の目的:老後資金?住宅購入?教育資金?
- 月々の投資額:家計から無理なく出せる金額は?
- リスク許容度:どれくらいの損失まで耐えられる?
- 役割分担:誰が管理する?情報共有はどうする?
- 売却のルール:どんな時に売る?相談は必要?
情報共有の重要性
お互いの投資状況って共有した方がいいですか?
はい、共有をおすすめします。どちらかに何かあった時、資産状況が分からないと困ります。少なくとも、どの証券会社に口座があるかは共有しておきましょう。
よくある疑問
Q. 夫婦で証券会社は同じがいい?
どちらでもOKです。同じ証券会社なら管理が楽、別々なら証券会社の破綻リスクを分散できます。
Q. 夫婦で商品を揃えるべき?
揃えなくてもOKです。むしろ分散した方がリスク管理になります。ただし、管理のしやすさを優先して同じ商品にするのもアリです。
Q. 離婚した場合、新NISAの資産はどうなる?
新NISAの資産は名義人のものです。離婚時の財産分与の対象にはなりますが、口座自体は名義人が継続して保有します。
まとめ
夫婦で新NISAを活用するポイントをまとめます。
- 夫婦なら非課税枠は合計3,600万円
- 2人とも口座開設するのが基本
- 投資商品は同じでも分けてもOK
- 収入差がある場合は収入の多い方から優先
- 専業主婦/主夫は贈与(年110万円まで非課税)を活用
- 名義貸しはNG(本人が取引すること)
- 投資を始める前に夫婦で話し合いを
2人で協力して、効率的に資産形成を進めましょう。
よくある質問
いいえ、別々のタイミングで申し込んで問題ありません。まず1人が口座開設し、後から配偶者が開設することも可能です。
はい、贈与になります。ただし、年間110万円以内であれば贈与税はかかりません。月9万円程度の積立なら、税金を気にせず妻名義のNISAで運用できます。
NISA口座の資産は相続財産となり、相続人が引き継ぎます。ただし、NISAの非課税メリットは終了し、相続人の課税口座に移管されます。相続税の対象にはなりますが、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)の範囲内であれば税金はかかりません。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。