「仮想通貨で利益が出ても、半分以上税金で持っていかれる」
そんな不満を持つ暗号資産投資家にとって、2025年12月の税制改正大綱は歴史的な転換点となりました。
暗号資産が「雑所得」から「金融商品」に再分類され、税率は最大55%から一律20.315%へ。損失の繰越控除も導入されます。
この記事では、税制改正の詳細と施行までのスケジュール、そして個人投資家が今から準備すべきことを解説します。
現行の暗号資産税制──何が問題だったのか
仮想通貨って、そんなに税金が高いんですか?
はい。現行制度では暗号資産の利益は「雑所得」に分類され、給与所得などと合算して累進課税されます。最大で所得税45%+住民税10%=55%という極めて高い税率になります。
現行制度の主な問題点
| 項目 | 暗号資産(現行) | 株式・投資信託 |
|---|---|---|
| 課税方式 | 総合課税(雑所得) | 申告分離課税 |
| 税率 | 最大55%(累進課税) | 一律20.315% |
| 損失の繰越控除 | なし | 3年間可能 |
| 他の金融所得との損益通算 | 不可 | 可能 |
| NISA対象 | 対象外 | 対象 |
年収800万円の会社員が暗号資産で500万円の利益を得た場合、現行制度では約165万円の税金がかかります。これが20.315%の分離課税になれば約101万円で済み、約64万円の差が生じます。
税制改正の内容──何が変わるのか
2025年12月閣議決定の改正大綱
2025年12月に閣議決定された税制改正大綱のポイントは以下の通りです。
1. 申告分離課税の導入
暗号資産の利益に対する税率が一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)になります。株式や投資信託と同じ税率です。
2. 損失の3年繰越控除
暗号資産の取引で発生した損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の利益と相殺できるようになります。現行制度では損失は切り捨てられるため、大きな改善です。
3. 金融商品取引法(FIEA)の対象に
105の暗号資産トークン(ビットコイン、イーサリアムなど主要銘柄を含む)が金融商品として再分類されます。
4. インサイダー取引・相場操縦規制の適用
株式と同様に、暗号資産にもインサイダー取引規制と相場操縦規制が適用されます。市場の公正性が高まることが期待されます。
暗号資産ETFも日本で買えるようになるんですか?
はい。暗号資産が金融商品に分類されることで、暗号資産ETFの組成・上場が可能になります。米国ではすでにビットコインETFが大人気ですが、日本でも同様の商品が登場する見通しです。
暗号資産取引所への規制強化
改正では投資家保護の観点から、取引所への規制も強化されます。
- リアルタイムの資産準備報告が義務化
- 顧客資産の分別管理がより厳格に
- 取引所の財務健全性基準の引き上げ
財務大臣は2026年を「デジタル元年」と位置づけ、暗号資産の制度整備を加速する方針を表明しています。税制改正だけでなく、取引環境の整備が包括的に進められています。
施行スケジュール──いつから新税制になるのか
すぐに20%になるんですか?今年の確定申告にはもう使えますか?
残念ながら、すぐには適用されません。改正金融商品取引法が国会で成立し、施行された後の1月1日から新税制が適用されます。最も早くて2028年1月1日の見込みです。
想定スケジュール
| 時期 | イベント | 備考 |
|---|---|---|
| 2025年12月 | 税制改正大綱の閣議決定 | 済 |
| 2026年通常国会 | 改正法案の審議・成立 | 2026年中の成立を目指す |
| 2027年 | 施行準備期間 | 取引所のシステム対応等 |
| 2028年1月1日 | 新税制の適用開始(最速) | 2028年分の取引から適用 |
国会審議の状況によっては施行が遅れる可能性もあります。2026年・2027年の確定申告では従来通り雑所得として申告が必要です。
個人投資家が今から準備すべきこと
1. タックスロスハーベスティング(損出し)の検討
新税制で損失繰越が可能になるまでの間に、含み損のあるポジションを売却して損失を確定させることを検討しましょう。新税制施行後に買い戻せば、繰越控除の恩恵を受けられる可能性があります。
2. 移行ルールを確認する
新税制施行時点での「取得価額の引き継ぎ方」など、移行ルールの詳細はまだ確定していません。今後公表される情報を注視しましょう。
3. 取引記録の整備
新税制では申告分離課税になるため、取引の記録を正確に保管しておくことが重要です。特に複数の取引所を利用している場合は、取引履歴をCSVでダウンロードして保管しておきましょう。
4. NISAは対象外であることを理解する
税制改正後も、暗号資産はNISAの対象外です。NISAで非課税投資ができるのは、引き続き株式・投資信託・ETFなどに限られます。
暗号資産ETFがNISAで買えるようになる可能性はないんですか?
現時点では対象外ですが、暗号資産ETFが金融商品として上場されれば、将来的にNISAの対象に含まれる可能性はゼロではありません。ただし、それには追加の制度改正が必要です。
税制改正が暗号資産市場に与える影響
ポジティブな影響
- 機関投資家の参入加速:金融商品として整備されることで、年金基金や保険会社が暗号資産に投資しやすくなる
- 個人投資家の増加:税率低下により、暗号資産投資のハードルが大幅に下がる
- 市場の成熟:インサイダー取引規制等の導入により市場の透明性が向上
注意すべき点
- 暗号資産は依然として価格変動が極めて大きい資産クラスである
- 税率が下がっても元本割れリスクは変わらない
- 詳しくはビットコイン投資ガイドも参照
まとめ──暗号資産投資の新時代
- 暗号資産の税率が最大55%→一律20.315%へ引き下げ
- 3年間の損失繰越控除が新設される
- 105の暗号資産トークンが金融商品に再分類
- 暗号資産ETFの組成・上場が可能に
- 施行は最速で2028年1月1日の見込み
- 2026〜2027年の確定申告では従来通り雑所得として申告が必要
- 今から取引記録の整備と含み損の整理を始めておくのが賢明
「デジタル元年」と位置づけられた2026年。暗号資産を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。税制改正の恩恵を最大限に活用するために、今から準備を始めておきましょう。
よくある質問
改正金融商品取引法が国会で成立・施行された後の1月1日から適用されます。最速で2028年1月1日の見込みです。2026年・2027年の確定申告では従来通り雑所得(最大55%)として申告が必要です。
暗号資産の取引で発生した損失を翌年以降3年間繰り越し、将来の暗号資産の利益と相殺できます。確定申告が必要ですが、株式の損失繰越と同じ仕組みです。
現時点ではNISAの対象外であり、税制改正後も対象外です。将来的に暗号資産ETFが上場された場合に対象になる可能性はありますが、追加の制度改正が必要です。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を含む105の暗号資産トークンが金融商品取引法の対象になる予定です。具体的なリストは改正法の施行時に正式に公表されます。
暗号資産が金融商品に分類された後、ETFの組成・上場が可能になります。2028年以降の実現が見込まれますが、金融庁の認可プロセスも必要なため、具体的な時期は未定です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。