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為替ヘッジあり・なしの違い|どちらを選ぶべき?メリット・デメリット解説
投資信託

為替ヘッジあり・なしの違い|どちらを選ぶべき?メリット・デメリット解説

2025-12-16
2025-12-16 更新

為替ヘッジありとなし、どちらを選ぶべき?仕組みの違い、メリット・デメリット、長期投資での考え方をわかりやすく解説します。

外国株式の投資信託を選ぶとき、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2種類があることに気づいた方も多いでしょう。

この違いを理解していないと、思わぬ損失を被ることがあります。この記事では、為替ヘッジの仕組みとどちらを選ぶべきかを解説します。

為替ヘッジとは

為替ヘッジとは、為替変動の影響を抑える仕組みです。

外国株式に投資する場合、株価の変動だけでなく為替レートの変動も損益に影響します。

為替 株価 為替ヘッジなし 為替ヘッジあり
円安 上昇 大きくプラス プラス
円安 下落 為替でカバー マイナス
円高 上昇 為替で相殺 プラス
円高 下落 大きくマイナス マイナス

為替ヘッジなしの仕組み

「為替ヘッジなし」は、為替変動をそのまま受け入れるタイプです。

具体例

100万円を米国株ファンド(ヘッジなし)に投資した場合。

状況 1ドル=100円で投資 → 1ドル=120円に円安
投資額 100万円(10,000ドル)
米国株リターン +10%(11,000ドル)
円換算 11,000ドル × 120円 = 132万円
トータルリターン +32%(株+10%、為替+20%)
状況 1ドル=100円で投資 → 1ドル=80円に円高
投資額 100万円(10,000ドル)
米国株リターン +10%(11,000ドル)
円換算 11,000ドル × 80円 = 88万円
トータルリターン −12%(株+10%、為替−20%)
西山(資産運用アドバイザー)
西山(資産運用アドバイザー)

為替ヘッジなしでは、円安なら利益が増え、円高なら利益が減る(または損失になる)という特徴があります。

為替ヘッジありの仕組み

「為替ヘッジあり」は、為替変動の影響をほぼゼロにするタイプです。

仕組み

為替予約やオプションを使って、将来の為替レートを固定します。円高になっても円安になっても、為替の影響をほぼ受けません。

メリット・デメリット

メリット
  • 為替変動を気にしなくていい
  • 円高局面でも株価リターンをそのまま享受
  • 値動きがシンプルで分かりやすい
デメリット
  • ヘッジコストがかかる(年1〜3%程度)
  • 円安局面では恩恵を受けられない
  • 長期では「なし」に負けやすい

ヘッジコストとは

為替ヘッジにはコストがかかります。これは「金利差」に基づくもので、日米金利差が大きいほどコストも高くなります。

時期 日米金利差(目安) ヘッジコスト(目安)
2020年 約1.5% 約1.5%/年
2023年 約5% 約5%/年
2024〜2025年 約4% 約4%/年
2024年のヘッジコスト

2024年現在、日米金利差が大きいため、ヘッジコストは年間4〜5%程度と非常に高くなっています。これは長期リターンに大きな悪影響を与えます。

為替ヘッジあり・なしの比較

項目 ヘッジなし ヘッジあり
円安の影響 プラス 受けない
円高の影響 マイナス 受けない
コスト なし 年1〜5%
長期リターン 高い傾向 低くなりがち
おすすめ期間 長期(10年以上) 短期〜中期

どちらを選ぶべき?

長期投資なら「為替ヘッジなし」

結論から言うと、長期投資(10年以上)なら「為替ヘッジなし」がおすすめです。

読者
読者

でも円高になったら損しますよね?

西山
西山

短期的には円高で損することもあります。しかし、長期的に見ると為替は上下を繰り返すため、影響は平準化されます。一方、ヘッジコストは毎年確実にかかるため、長期では大きな差になります。

具体的なシミュレーション

100万円を20年間運用した場合(株式リターン年7%、ヘッジコスト年3%と仮定)。

項目 ヘッジなし ヘッジあり
株式リターン 7%/年 7%/年
ヘッジコスト 0%/年 −3%/年
実質リターン 7%/年 4%/年
20年後の資産 約387万円 約219万円
差額 168万円の差

ヘッジありがおすすめのケース

ただし、以下のケースでは「ヘッジあり」も選択肢になります。

メリット
デメリット

人気ファンドの例

eMAXIS Slim シリーズ

ファンド名 為替ヘッジ
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) なし
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) なし
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス なし
西山
西山

人気のeMAXIS Slimシリーズは、基本的に「為替ヘッジなし」のみです。長期投資を前提とした商品設計になっています。

ヘッジありのファンド例

ファンド名 信託報酬
たわらノーロード 先進国株式(為替ヘッジあり) 0.22%
ニッセイ外国株式インデックスファンド(為替ヘッジあり) 0.22%

為替リスクとの付き合い方

長期投資の視点

長期で為替リスクを考える

過去30年の円ドルレートを見ると、80円〜160円の間で推移しています。長期的には上下を繰り返すため、積立投資でタイミングを分散すれば、為替リスクは自然と軽減されます。

通貨分散という考え方

外国資産を持つこと自体が「通貨分散」になります。日本円だけに資産を集中させるリスクを避けられます。

西山
西山

円だけで資産を持っていると、日本経済の停滞やインフレに対して無防備です。外国資産を持つことで、円安時にも資産価値を維持できます。

まとめ

為替ヘッジあり・なしの選び方をまとめます。

  • 為替ヘッジなし:円安でプラス、円高でマイナス、コストなし
  • 為替ヘッジあり:為替変動の影響を抑える、ヘッジコストがかかる
  • 長期投資(10年以上)なら「ヘッジなし」がおすすめ
  • ヘッジコストは年1〜5%と大きい(2024年現在は高水準)
  • 短期投資や為替変動を避けたい人は「ヘッジあり」も選択肢
  • eMAXIS Slimシリーズは基本「ヘッジなし」

長期投資なら、為替変動を恐れずに「ヘッジなし」で積み立てましょう。

よくある質問

Q
Q1. 為替ヘッジありとなし、両方持つのはアリですか?
A

可能ですが、あまりおすすめしません。長期投資なら「なし」一本で問題ありません。両方持つと管理が複雑になり、結局中途半端になりがちです。

Q
Q2. 円高が進むと思ったら、ヘッジありに乗り換えるべき?
A

為替の予測は非常に難しく、プロでも当たらないことが多いです。予測に基づいて乗り換えると、タイミングを外してかえって損することも。長期投資なら一貫して「なし」を続ける方が賢明です。

Q
Q3. 全世界株式ファンドの為替リスクはどれくらい?
A

全世界株式は複数通貨(ドル、ユーロ、円など)に分散されているため、1通貨に集中するより為替リスクは低くなります。米国株100%よりは分散効果があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。