転職や退職をした後、前の会社の企業型DC(確定拠出年金)をどうすればいいか分からず、放置していませんか?
放置すると「自動移換」されて大損する可能性があります。この記事では、転職時のDC移管手続きを解説します。
企業型DCとは
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、会社が掛金を拠出し、従業員が運用する年金制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掛金 | 会社が拠出(従業員も上乗せ可能な場合あり) |
| 運用 | 従業員が自分で商品を選ぶ |
| 受け取り | 60歳以降(一時金または年金) |
| 税制優遇 | 掛金非課税、運用益非課税 |
転職時のDC、放置するとどうなる?
自動移換の恐怖
退職後6ヶ月以内に手続きをしないと、「自動移換」されます。
| 自動移換されると... | 内容 |
|---|---|
| 運用がストップ | 現金のまま放置される |
| 手数料が引かれ続ける | 毎月52円+年間48円 |
| 資産が目減り | 運用益ゼロ&手数料でマイナス |
| 受給開始が遅れる | 自動移換期間は加入期間にカウントされない |
2024年時点で、自動移換されている人は100万人以上。資産の合計は約2,600億円に上ります。あなたもその一人になっていませんか?
転職先によって手続きが変わる
パターン1:転職先に企業型DCがある
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 移管先 | 転職先の企業型DC |
| 手続き | 転職先の担当部署に連絡 |
| 期限 | 退職後6ヶ月以内 |
パターン2:転職先に企業型DCがない
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 移管先 | iDeCo(個人型確定拠出年金) |
| 手続き | 自分で金融機関を選んでiDeCo口座を開設 |
| 期限 | 退職後6ヶ月以内 |
パターン3:自営業・フリーランスになる
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 移管先 | iDeCo |
| 手続き | 自分で金融機関を選んでiDeCo口座を開設 |
| 掛金上限 | 月6.8万円(国民年金基金と合算) |
パターン4:退職して専業主婦(主夫)になる
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 移管先 | iDeCo |
| 手続き | 自分で金融機関を選んでiDeCo口座を開設 |
| 掛金上限 | 月2.3万円 |
iDeCoへの移管手続き
SBI証券、楽天証券、マネックス証券など、手数料が安く商品が充実している金融機関を選びます。
選んだ金融機関でiDeCo口座の開設を申し込みます。申込書類を取り寄せて記入・返送します。
iDeCo開設と同時に、旧会社の企業型DCからの移管を申請します。必要書類は金融機関から案内されます。
審査には1〜2ヶ月かかります。完了すると、企業型DCの資産がiDeCoに移管されます。
iDeCoの金融機関選び
おすすめの金融機関
| 金融機関 | 口座管理手数料 | 商品 |
|---|---|---|
| SBI証券 | 171円/月 | eMAXIS Slimなど低コスト商品あり |
| 楽天証券 | 171円/月 | 楽天・プラスシリーズあり |
| マネックス証券 | 171円/月 | eMAXIS Slimあり |
ネット証券なら手数料が安く、低コストの投資信託が揃っています。銀行や証券会社の窓口よりもおすすめです。
自動移換されてしまったら
すでに自動移換されてしまった場合でも、取り戻すことは可能です。
iDeCoを開設するか、現在の勤務先に企業型DCがあれば移管します。
自動移換されている資産の状況を確認します。
iDeCoまたは企業型DCへの移管手続きを行います。
自動移換されている期間は、年金の受給開始年齢の計算にカウントされません。早めに手続きしましょう。
よくある質問
転職のたびに移管手続きが必要です。企業型DCがある会社に転職すればそこへ、なければiDeCoへ移管します。過去に自動移換された資産も、まとめてiDeCoに移管できます。
移管時に手数料がかかる場合があります。企業型DCからiDeCoへの移管は、元の運営管理機関によって異なります。また、iDeCo側でも加入時に2,829円の手数料がかかります。
原則として60歳まで引き出せません。例外として、資産額が少ない場合(15,000円以下など)の「脱退一時金」がありますが、条件が厳しいです。基本的にはiDeCoに移管して運用を続けることをおすすめします。
まとめ
転職時のDC移管についてまとめます。
- 退職後6ヶ月以内に移管手続きが必要
- 放置すると自動移換されて損をする
- 転職先にDCがあれば企業型DCへ移管
- DCがなければiDeCoへ移管
- 自動移換されていても取り戻し可能
- iDeCoはSBI証券や楽天証券がおすすめ
転職したら、早めにDCの移管手続きを済ませましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。