「新興国は経済成長が著しいから、投資した方がいいのでは?」
インドや中国、東南アジアの成長を見ると、そう思う人も多いでしょう。しかし、新興国投資には特有のリスクがあります。
この記事では、新興国投資のメリット・リスクと、オルカンに含まれる新興国株の割合について解説します。
新興国とは
定義
新興国(Emerging Markets)とは、経済発展の途上にあり、今後の成長が期待される国々のことです。
代表的な新興国
| 地域 | 主な国 |
|---|---|
| アジア | 中国、インド、インドネシア、タイ、ベトナム |
| 中南米 | ブラジル、メキシコ |
| 中東・アフリカ | サウジアラビア、南アフリカ |
| 東欧 | ポーランド、トルコ |
新興国投資のメリット
メリット1:高い経済成長率
| 地域 | GDP成長率予測(2024年) |
|---|---|
| 先進国平均 | 約1.5% |
| 新興国平均 | 約4% |
| インド | 約6.5% |
| 中国 | 約5% |
メリット2:人口増加
新興国は人口が増加しています。人口が増えれば労働力が増え、消費も拡大します。これは長期的な経済成長の原動力になります。
メリット3:先進国との分散効果
新興国株と先進国株は、値動きの相関が完全には一致しません。分散投資によるリスク軽減効果が期待できます。
新興国投資のリスク
リスク1:政治リスク
政変、法規制の突然の変更、国有化など、政治的な要因で投資価値が急落するリスクです。中国のIT規制強化でアリババ株が急落した例があります。
リスク2:為替リスク
新興国通貨は変動が大きく、通貨安になると円換算でのリターンが目減りします。
| 通貨 | 対円の変動(過去10年) |
|---|---|
| トルコリラ | 約-80% |
| ブラジルレアル | 約-40% |
| インドルピー | 約-30% |
リスク3:流動性リスク
新興国市場は先進国に比べて取引量が少なく、売りたい時に売れない、価格が大きく動くといったリスクがあります。
リスク4:情報の非対称性
新興国企業の情報開示は先進国ほど充実しておらず、投資判断に必要な情報が得にくいです。
オルカンに含まれる新興国株
eMAXIS Slim 全世界株式の構成
| 地域 | 比率 |
|---|---|
| 北米(米国中心) | 約62% |
| 欧州 | 約16% |
| 日本 | 約5% |
| 新興国 | 約10% |
| その他先進国 | 約7% |
オルカンを持っているだけで、新興国にも投資しているんですね!
その通りです。オルカン1本で約10%が新興国株に配分されています。追加で新興国ファンドを買う必要は基本的にありません。
新興国部分の国別構成
| 国 | オルカン内の比率 |
|---|---|
| 中国 | 約3% |
| インド | 約2% |
| 台湾 | 約2% |
| 韓国 | 約1.5% |
| その他 | 約1.5% |
新興国に追加投資すべきか
追加投資が必要なケース
| ケース | 判断 |
|---|---|
| オルカンを保有している | 追加不要 |
| S&P500のみを保有 | 検討の余地あり |
| 新興国の成長に強く期待 | 少額で追加もあり |
追加投資する場合のファンド
| ファンド | 信託報酬 |
|---|---|
| eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 0.1518% |
| SBI・新興国株式インデックス | 0.176% |
新興国に追加投資するなら、ポートフォリオ全体の10〜20%程度に留めましょう。リスクが高いため、大きな比率はおすすめしません。
新興国投資の注意点
「経済成長=株式リターン」ではない
経済成長率が高い国の株式リターンが高いとは限りません。成長期待がすでに株価に織り込まれている場合、リターンは期待ほど高くならないことがあります。
長期投資が前提
新興国株は値動きが大きいため、短期での売買には向きません。10年以上の長期で保有する覚悟が必要です。
よくある質問
インド単体のファンド(例:iFreeNEXT インド株インデックス)もあります。ただし、1国集中はリスクが高いため、ポートフォリオの5〜10%程度に留めましょう。
政治リスクが高く、過去にはIT企業への規制強化で株価が急落しました。ただし、オルカンに含まれる約3%程度なら、リスクは限定的です。
新興国債券は利回りが高い反面、通貨安リスクが大きいです。円換算で元本割れすることも珍しくありません。初心者にはおすすめしません。
まとめ
新興国投資のポイントをまとめます。
- 新興国は高い経済成長率が魅力
- ただし政治リスク・為替リスクが大きい
- オルカンには約10%の新興国株が含まれている
- オルカン保有者は追加投資不要
- 追加投資するならポートフォリオの10〜20%以内
- 長期投資が前提
分散投資の一部として新興国を取り入れつつ、リスク管理を忘れないようにしましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。