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為替リスクとは?外貨建て投資で知っておくべき円安・円高の影響
株式投資 初心者向け

為替リスクとは?外貨建て投資で知っておくべき円安・円高の影響

2025-12-16
2025-12-16 更新

オルカンやS&P500に投資すると為替リスクがついてきます。円安なら得、円高なら損。為替ヘッジの仕組みと使い分けを解説します。

オルカンS&P500など、海外資産に投資する投資信託を買うと、為替リスクがついてきます。「株価は上がったのに、円高で利益が減った」という経験をした方もいるのではないでしょうか。

この記事では、為替リスクの基本と、為替ヘッジの仕組み・使い分けについて解説します。

為替リスクとは

為替リスクとは、為替レートの変動によって資産価値が変わるリスクのことです。海外の株式や債券に投資する場合、その国の通貨で運用されるため、円と外貨の交換レートが投資成績に影響します。

読者
読者

具体的にどのくらい影響があるんですか?

黒澤(投資アナリスト)
黒澤(投資アナリスト)

たとえば1万ドルの米国株を保有している場合、ドル円レートが1円動くだけで1万円の損益が発生します。株価が変わらなくても、為替だけで資産額が増減するわけです。

円安・円高の影響

為替の動き 外貨建て資産への影響 具体例
円安(1ドル150円→160円) 円換算額が増える(プラス) 1万ドル = 150万円 → 160万円
円高(1ドル150円→140円) 円換算額が減る(マイナス) 1万ドル = 150万円 → 140万円
覚え方

「円安=外貨が高くなる=外貨資産は得」「円高=外貨が安くなる=外貨資産は損」と覚えましょう。

2025年の為替動向

2025年のドル円相場は大きく変動しています。

  • 2024年末〜2025年初:1ドル = 150〜160円で推移
  • 2025年4月:米国の関税発表で一時144円台まで円高
  • 野村證券の予想:2025年末は157円50銭、2026年3月末は155円
黒澤
黒澤

為替相場は政治・経済イベントで短期間に大きく動くことがあります。2010年代前半には1ドル=70円台だったこともあり、長期的には大きな変動幅があります。

為替ヘッジとは

為替ヘッジとは、為替予約取引を使って為替変動の影響を抑える仕組みです。投資信託の中には「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2種類が用意されているものがあります。

為替ヘッジの仕組み

為替ヘッジでは「為替予約取引」を行います。これは将来の為替レートを今の時点で予約する取引で、為替変動によるリスクを相殺します。

読者
読者

為替ヘッジありを選べば、円高になっても損しないってことですか?

黒澤
黒澤

その通りです。ただし円安になっても得しなくなります。為替変動の影響を良くも悪くも抑えるのがヘッジの効果です。

ヘッジコストについて

為替ヘッジにはコストがかかります。これは2国間の金利差に相当します。

2025年現在、米国の金利は日本より高いため、米国資産に投資する「為替ヘッジあり」の投資信託では、年率3〜5%程度のヘッジコストがかかることがあります。

注意

ヘッジコストは固定ではなく、日米の金利差によって変動します。金利差が大きいほどコストは高くなります。

為替ヘッジ「あり」と「なし」の比較

メリット
  • *為替ヘッジあり**
  • 円高による損失を抑えられる
  • 値動きのブレ(標準偏差)が小さくなる
  • これから円高になると予想する場合に有効
デメリット
  • *為替ヘッジあり**
  • ヘッジコストがかかる(年率数%)
  • 円安になっても恩恵を受けられない
  • 長期投資ではコストが積み重なる

どちらを選ぶべきか

投資スタイル おすすめ 理由
長期積立投資(10年以上) ヘッジなし ヘッジコストの積み重ねを回避
短〜中期投資 状況次第 円高予想ならヘッジあり
リスクを抑えたい ヘッジあり 値動きのブレを軽減
円資産が多い人 ヘッジなし 通貨分散の効果を得られる
黒澤
黒澤

多くの長期投資家は「為替ヘッジなし」を選んでいます。理由は、長期的に見ると円安・円高は均される傾向があること、そしてヘッジコストの負担が大きいことです。

為替リスクへの対処法

為替ヘッジ以外にも、為替リスクに対処する方法があります。

1. 通貨分散

円資産だけでなく、米ドルやユーロなど複数の通貨建て資産を持つことで、特定の通貨の変動リスクを分散できます。

2. 時間分散

一度にまとめて投資するのではなく、ドルコスト平均法で定期的に積み立てることで、為替レートの平均化効果が期待できます。

3. 長期投資

短期的な為替変動に一喜一憂せず、長期で保有することで、為替の影響が平準化されます。

考え方

日本に住んで日本円で生活している以上、給与や預貯金はほぼ100%円建てです。外貨建て資産を持つこと自体が「通貨分散」になり、円の価値が下がるリスクへの備えになります。

まとめ

為替リスクについてのポイントを整理します。

  • 海外資産への投資には為替リスクがついてくる
  • 円安なら得、円高なら損になる
  • 為替ヘッジで為替変動を抑えられるが、コストがかかる
  • 長期投資では「為替ヘッジなし」が主流
  • 通貨分散・時間分散・長期保有で為替リスクを軽減できる

為替リスクを正しく理解した上で、自分に合った投資方針を決めましょう。

よくある質問

Q
Q1. 為替リスクとは何ですか?
A

為替レートの変動によって資産価値が変わるリスクです。円安になると外貨建て資産の円換算額は増え、円高になると減ります。

Q
Q2. 為替ヘッジありとなし、どちらを選ぶべきですか?
A

長期積立投資なら「ヘッジなし」が一般的です。ヘッジコストが年率数%かかるため、長期ではコストが積み重なります。短期投資で円高を予想するなら「ヘッジあり」も選択肢です。

Q
Q3. 為替リスクを軽減する方法はありますか?
A

通貨分散(複数の通貨建て資産を保有)、時間分散(ドルコスト平均法で積立)、長期投資(為替変動の平準化)が有効です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

Tags

為替リスク 円安 円高 為替ヘッジ 外貨建て投資
黒澤 この記事の筆者

黒澤

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外資系金融でアナリスト経験後、独立。株式分析・経済解説を手がける。

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