「働かずに暮らしたい」——そんな夢を実現するのがFIRE(Financial Independence, Retire Early)です。
しかし、FIREを達成するには一体いくら必要なのか。この記事では、FIREの現実と、日本で達成するための具体的なロードマップを解説します。
FIREとは
定義
FIREは「Financial Independence, Retire Early」の略で、経済的自立を達成して早期リタイアすることを指します。
| 要素 | 意味 |
|---|---|
| Financial Independence | 経済的自立(労働収入なしで生活できる) |
| Retire Early | 早期リタイア(定年前に仕事を辞める) |
FIREの種類
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| フルFIRE | 完全に仕事を辞める |
| サイドFIRE | 軽い仕事をしながら半リタイア |
| バリスタFIRE | パートタイムで働きながらリタイア |
| コーストFIRE | 老後資金は確保済み、今の生活費だけ稼ぐ |
4%ルールとは
基本的な考え方
4%ルールとは、資産の4%を毎年取り崩しても、30年以上資産が持つという米国の研究(トリニティ・スタディ)に基づいたルールです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取り崩し率 | 年4% |
| 成功確率 | 約95%(30年間) |
| 前提 | 株式50%・債券50%のポートフォリオ |
必要資金の計算式
年間生活費 × 25倍 = FIRE達成に必要な資産
4%の逆数が25なので、年間生活費の25倍あればFIRE達成とされます。月20万円の生活費なら、240万円×25=6,000万円です。
FIRE達成に必要な金額
生活費別の必要資金
| 月の生活費 | 年間生活費 | 必要資金(25倍) |
|---|---|---|
| 15万円 | 180万円 | 4,500万円 |
| 20万円 | 240万円 | 6,000万円 |
| 25万円 | 300万円 | 7,500万円 |
| 30万円 | 360万円 | 9,000万円 |
| 40万円 | 480万円 | 1.2億円 |
日本での注意点
4%ルールは米国のデータに基づいています。日本では以下の点を考慮する必要があります:
- 税金:投資の利益には約20%の税金
- 社会保険料:国民健康保険、年金
- 為替リスク:円高で資産が目減り
- インフレ:生活費が上がる可能性
安全を見るなら30倍
日本でFIREを目指すなら、25倍ではなく30倍(約3.3%ルール)で計算するのが安全です。
| 月の生活費 | 25倍 | 30倍(安全圏) |
|---|---|---|
| 20万円 | 6,000万円 | 7,200万円 |
| 30万円 | 9,000万円 | 1.08億円 |
FIRE達成までのシミュレーション
ケース1:年収500万円、貯蓄率50%
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年収 | 500万円 |
| 手取り | 約390万円 |
| 貯蓄率 | 50% |
| 年間貯蓄額 | 約195万円 |
| 目標(月20万円FIRE) | 6,000万円 |
| 達成までの期間(年5%運用) | 約18年 |
ケース2:年収700万円、貯蓄率60%
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年収 | 700万円 |
| 手取り | 約530万円 |
| 貯蓄率 | 60% |
| 年間貯蓄額 | 約318万円 |
| 目標(月25万円FIRE) | 7,500万円 |
| 達成までの期間(年5%運用) | 約15年 |
貯蓄率50〜60%って、かなり厳しくないですか?
FIREを早期に達成するには、高い貯蓄率が必須です。生活費を徹底的に見直し、収入を上げる努力が必要になります。
FIREの現実的な課題
課題1:想定以上の長寿
65歳でリタイアする従来の計画より、FIREははるかに長い期間を資産で賄う必要があります。40歳でFIREすると、100歳まで60年間。
課題2:社会保険料の負担
リタイア後も国民健康保険、国民年金の支払いが必要です。年間30〜50万円程度かかる場合も。
課題3:社会との繋がり
仕事を辞めると社会との繋がりが薄れることがあります。「やることがない」「孤独」という声も。
課題4:予想外の出費
病気、介護、子供の教育費など、予想外の出費が発生する可能性があります。
現実的なFIRE戦略
サイドFIREがおすすめ
フルFIREより、サイドFIRE(軽い仕事をしながら半リタイア)の方が現実的です。
| 戦略 | 必要資金 | メリット |
|---|---|---|
| フルFIRE | 6,000万円〜 | 完全な自由 |
| サイドFIRE | 3,000万円〜 | 現実的、社会との繋がり維持 |
サイドFIREなら、必要資金が半分程度で済みます。月10万円の労働収入があれば、資産3,000万円でも月15〜20万円の生活ができます。
段階的アプローチ
まず、自分の月の生活費を正確に把握します。
目標は手取りの50%以上。固定費の見直しが効果的です。
年間360万円の非課税枠を最大限活用します。
副業、転職、スキルアップで収入を増やします。
まずサイドFIREを達成し、徐々にフルFIREに近づけます。
よくある質問
厚生年金の加入期間が短くなるため、受給額は減ります。国民年金は60歳まで支払い義務があります。年金受給額も考慮してFIRE計画を立てましょう。
可能ですが、教育費を考慮する必要があります。子供1人あたり1,000〜2,000万円の教育費を上乗せして計算しましょう。
います。「暇すぎる」「社会との繋がりがない」「自己肯定感が下がった」という声もあります。FIREが目的ではなく、「どう生きたいか」を考えることが大切です。
まとめ
FIREの現実と必要資金をまとめます。
- FIRE達成には年間生活費の25〜30倍が必要
- 月20万円の生活費なら6,000〜7,200万円
- 日本では税金・社会保険を考慮し30倍が安全
- サイドFIREなら必要資金が半分程度
- 高い貯蓄率(50%以上)が達成の鍵
- FIREは手段であり、目的は「どう生きたいか」
無理のない計画で、理想の生活を目指しましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。