「金は安全資産」──そう信じてポートフォリオに組み入れていた人にとって、2026年2月の急落は衝撃的だったのではないでしょうか。
1月30日に史上最高値となる約5,600ドル/オンスをつけた金価格は、わずか数日で21%下落し4,404ドルまで急落。約4.3兆ドル(約670兆円)の時価総額が一日で消失しました。
この記事では、暴落の背景と今後の見通し、そして個人投資家が今とるべき具体的な行動を解説します。
金価格暴落の背景──何が起きたのか
金はずっと上がり続けていたのに、なぜ突然こんなに下がったんですか?
直接のトリガーは、次期FRB議長候補としてケビン・ウォーシュ氏の名前が浮上したことです。同氏は金融引き締めに積極的な「タカ派」として知られており、ドル高を誘発しました。
暴落の3つの要因
1. 次期FRB議長候補のタカ派姿勢
ケビン・ウォーシュ氏がFRB議長候補として報じられたことで、市場は「金利が当面高止まりする」と判断。ドルが急伸し、ドル建てで取引される金には強い売り圧力がかかりました。
2. 史上最高値圏での利益確定売り
5,600ドルという未踏の領域に達していたため、機関投資家を中心に大規模な利益確定売りが重なりました。
3. リスクオン回帰
株式市場が堅調に推移するなか、「安全資産」としての金から「成長資産」である株式にマネーが回帰する流れが加速しました。
田中貴金属工業の小売価格は2月4日に28,305円/gを記録。前日比で1,630円もの急騰となりました。ドル建てでは下落していても、円安の影響で円建て価格は高止まりしている点に注意が必要です。
大手金融機関の見通し──暴落後も強気
ここまで下がったら、もう金は終わりなんでしょうか?
実は、主要な金融機関は暴落後も年末ターゲットを維持しています。短期的な調整であり、中長期のトレンドは変わっていないという見方が主流です。
主要金融機関の金価格予想(2026年末)
| 金融機関 | 年末目標価格 | 現在価格からの変動率 |
|---|---|---|
| ゴールドマン・サックス | $5,400/oz | +約22.6% |
| JPモルガン | $6,300/oz | +約43.1% |
| 現在価格(2月時点) | $4,404/oz | ── |
強気予想の根拠
- 中央銀行の金買い:2026年の中央銀行による金需要は四半期あたり585トンと予測されており、引き続き強い需要が見込まれる
- 地政学リスク:ウクライナ・中東情勢の不確実性が継続
- インフレヘッジ需要:各国のインフレ再燃リスクに対する備え
- ドル離れの流れ:新興国を中心とした外貨準備の分散
金融機関の予想はあくまで予測であり、外れることも珍しくありません。一方向のシナリオだけを信じず、複数のシナリオを想定しておくことが重要です。
個人投資家がとるべき具体的アクション
1. 慌てて売らない
金の暴落は過去にも何度も発生しています。2013年には年間で28%下落しましたが、その後数年で回復しました。パニック売りは最も避けるべき行動です。
2. ドルコスト平均法で積立を継続する
すでに金の積立投資をしている方は、むしろ暴落局面を「安く買えるチャンス」と捉えましょう。ドルコスト平均法は、こうした下落局面でこそ威力を発揮します。
3. ポートフォリオの配分を確認する
アセットアロケーションの観点では、金の適正配分は総資産の5〜10%が一般的な目安です。暴落で比率が下がっている場合はリバランスのタイミングといえるでしょう。
具体的にどんな方法で金に投資すればいいですか?
日本の個人投資家が利用しやすい方法をいくつかご紹介します。少額から始められる商品も多いので、自分に合ったものを選んでみてください。
日本の個人投資家が活用できる金投資の手段
| 投資手段 | 特徴 | 最低投資額の目安 |
|---|---|---|
| 金ETF(1540:純金上場信託) | 東証で株と同様に売買可能 | 約1万円〜 |
| 金ETF(1326:SPDRゴールド) | 世界最大の金ETF | 約3万円〜 |
| iDeCo対応の金ファンド | 掛金が全額所得控除 | 月5,000円〜 |
| 田中貴金属 純金積立 | 毎月自動で現物金を積立 | 月3,000円〜 |
| 投資信託(SMTゴールド等) | NISAの成長投資枠で購入可 | 100円〜 |
金ETFや金の投資信託はNISAの成長投資枠で購入できます。ただし、つみたて投資枠の対象にはなっていないため注意が必要です。詳しくは金投資ガイドも参考にしてください。
まとめ──暴落は「終わり」ではなく「調整」
今回の金価格暴落について、ポイントを整理します。
- 史上最高値5,600ドルから21%急落して4,404ドルに
- 暴落のトリガーは次期FRB議長候補のタカ派姿勢によるドル高
- 大手金融機関は年末5,400〜6,300ドルの強気予想を維持
- 中央銀行の金需要(四半期585トン)が下支え
- 個人投資家はパニック売りを避け、積立継続がベスト
- ポートフォリオの5〜10%を目安に配分を見直す
暴落は不安を感じるものですが、長期投資の観点では「安く仕込める好機」でもあります。自分のリスク許容度とアセットアロケーションを再確認し、冷静に判断しましょう。
よくある質問
次期FRB議長候補としてタカ派のケビン・ウォーシュ氏が浮上し、ドル高が進行したことが直接のトリガーです。史上最高値圏での利益確定売りも重なり、1日で約670兆円の時価総額が消失しました。
ゴールドマン・サックスは年末5,400ドル、JPモルガンは6,300ドルを予想しており、現在の4,404ドルからの上昇余地は大きいとされています。ただし一括購入ではなく、ドルコスト平均法での積立が推奨されます。
一般的には総資産の5〜10%が目安です。株式との相関が低いため、分散効果が期待できます。ただし、金は配当や利息を生まない資産であるため、過度な配分は避けましょう。
成長投資枠であれば、金ETF(1540、1326など)や金関連の投資信託を購入できます。つみたて投資枠の対象にはなっていないため、成長投資枠の利用が必要です。
ドル建てでは21%下落しましたが、同時にドル高・円安が進行しているため、円建て価格への影響が相殺されています。田中貴金属の小売価格は28,305円/gと最高値圏を維持しています。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。