2025年の投資成績を振り返ると、多くの投資家が驚く結果が出ています。ゴールド(金)ファンドが、オルカン(全世界株式)やS&P500ファンドを上回るリターンを記録したのです。
金価格は2026年2月時点で1オンス約5,000ドルを突破し、円建てでは1グラムあたり約3万円という歴史的な高値圏で推移しています。J.P.モルガンは2026年末に6,300ドルの予測を発表しました。
この記事では、なぜゴールドがここまで好調だったのか、主要ゴールドファンドの比較、そしてポートフォリオにどう組み入れるべきかを解説します。
なぜゴールドがオルカンを上回ったのか
2025年のリターン比較
まず、2025年の主要資産クラスのリターンを確認しましょう。
| 資産クラス | 2025年リターン(円建て概算) | 参考指数 |
|---|---|---|
| ゴールド | 約+40% | 金スポット価格 |
| S&P500 | 約+25% | MSCI USA |
| オルカン | 約+22% | MSCI ACWI |
| 日本株 | 約+20% | TOPIX |
| 新興国株 | 約+15% | MSCI EM |
ゴールドはオルカンのほぼ2倍のリターンを叩き出しました。SBI証券の調査でも、直近3年間のリターンで金関連ファンドがS&P500ファンドを上回ったことが報告されています。
ゴールドって「守り」の資産のイメージでしたが、こんなに上がるものなんですか?
歴史的に見ると、金は「守り」だけでなく、特定の環境では「攻め」の資産にもなります。2025年は中央銀行の大量購入、地政学リスク、インフレ懸念が重なり、金にとって最高の環境だったといえます。
金価格上昇の4つの要因
1. 中央銀行の記録的な金購入
世界の中央銀行は2025年に約863トンの金を購入しました。特に中国、インド、ポーランドなどの新興国・中東欧の中央銀行が、ドル離れの一環として金準備を増やしています。
2. 地政学リスクの高まり
米中関係の緊張、中東情勢、ウクライナ紛争の長期化など、世界的なリスク要因が「安全資産」としての金への需要を押し上げました。
3. インフレヘッジ需要
世界的にインフレ率が高止まりする中、金は「インフレに強い実物資産」として再評価されています。日本でも消費者物価指数が2%を超える状態が約4年続いており、円建ての金価格を押し上げる要因となりました。
4. ETFへの大量資金流入
2025年のゴールドETFへの資金流入は801トンに達し、前年から大幅に増加しました。個人投資家から機関投資家まで、幅広い層が金への投資を拡大しています。
金の国際価格はドル建てですが、円安が進むと円建ての金価格はさらに上昇します。2025年は円安も進行したため、日本の投資家にとってはドル建て以上のリターンとなりました。
金価格の推移と2026年の見通し
過去の金価格の推移
| 年 | 金価格(ドル/オンス) | 円建て参考価格(円/g) |
|---|---|---|
| 2020年 | 約1,900ドル | 約7,000円 |
| 2022年 | 約1,800ドル | 約8,000円 |
| 2024年 | 約2,600ドル | 約13,000円 |
| 2025年末 | 約4,300ドル | 約25,000円 |
| 2026年2月 | 約5,000ドル | 約28,000〜30,000円 |
主要機関の2026年予測
| 機関 | 2026年予測 | 根拠 |
|---|---|---|
| J.P.モルガン | 6,300ドル/オンス | 中央銀行購入継続、地政学リスク |
| Blue Line Futures | 6,000ドル/オンス | ETF需要増、インフレ |
| ロイター30社コンセンサス | 4,746ドル/オンス(中央値) | - |
ここまで上がった金に、今から投資しても遅くないですか?
「高値掴み」を心配する気持ちはわかりますが、J.P.モルガンは2026年末に6,300ドルという強気予測を出しています。もちろん短期的な調整はあり得ますが、中央銀行の購入トレンドや地政学リスクは簡単には解消しません。一括投資ではなく、ドルコスト平均法で少しずつ積み立てるのが賢明です。
金は2026年1月29日に5,595ドルの最高値を記録した直後、4,800ドル台まで急落する場面もありました。ドル高転換やFRBの政策変更が引き金となることがあり、短期的には10〜15%程度の急落リスクが常にあります。
ゴールドファンドの種類と比較
主要ゴールドファンドの信託報酬比較
新NISAで購入できるゴールドファンドも増えています。信託報酬の低さが長期リターンに直結するため、コスト比較は重要です。
| ファンド名 | 信託報酬(年率) | 為替ヘッジ | NISA対応 |
|---|---|---|---|
| SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド | 0.275% | なし | 成長投資枠 |
| ピクテ・ゴールド(ヘッジなし) | 0.44% | なし | 成長投資枠 |
| iシェアーズ ゴールドインデックス | 0.5085% | なし | 成長投資枠 |
| 三菱UFJ 純金ファンド | 0.99% | なし | 成長投資枠 |
| ピクテ・ゴールド(ヘッジあり) | 0.44% | あり | 成長投資枠 |
信託報酬が最も低いのはSBI・iシェアーズ・ゴールドファンドの0.275%です。三菱UFJ 純金ファンドは0.99%と約3.6倍の差があり、長期保有では大きなコスト差になります。
10年間で100万円を運用した場合、信託報酬0.275%と0.99%の差は約7万円以上になります。同じ金に連動するファンドなら、低コストのものを選ぶのが鉄則です。
為替ヘッジあり・なしの選び方
- 為替ヘッジなしのメリット
- 円安時にリターンが上乗せされる
- ヘッジコストがかからない
- 円の価値下落に対する保険になる
- 為替ヘッジなしのデメリット
- 円高時にリターンが目減りする
- 為替変動で値動きが大きくなる
- 金価格が上昇しても円高で相殺されることがある
日銀の利上げで円高が進む可能性もある一方、高市政権の積極財政は円安要因です。迷ったら「為替ヘッジなし」を基本として、円高が気になるなら一部を「ヘッジあり」にするのも手です。
ポートフォリオにおけるゴールドの位置づけ
推奨比率:ポートフォリオの5〜10%
多くのファイナンシャルプランナーや運用機関は、ゴールドをポートフォリオ全体の5〜10%にとどめることを推奨しています。
| ポートフォリオタイプ | 株式 | 債券 | ゴールド | 現金 |
|---|---|---|---|---|
| 積極型(20〜30代) | 80% | 10% | 5% | 5% |
| バランス型(40代) | 65% | 20% | 10% | 5% |
| 安定型(50代以降) | 45% | 35% | 10% | 10% |
なぜ5〜10%なのか
ゴールドは配当や利息を生まない資産です。複利の恩恵を受けられないため、ポートフォリオの大部分を占めるべきではありません。あくまで「株式市場の暴落時にポートフォリオ全体の下落を緩和する保険」としての役割が中心です。
ゴールドが好調だから、もっと多く持った方がいいのでは?
過去の実績が将来を保証するわけではありません。ゴールドにも「暗黒の20年」と呼ばれる1980年〜2000年のような長期低迷期がありました。好調な時こそ冷静に、分散投資の原則を守ることが大切です。
NISAでのゴールド投資法
新NISAの成長投資枠でゴールドファンドを購入することが可能です。つみたて投資枠の対象にはなっていないため、注意が必要です。
つみたて投資枠はオルカンやS&P500などの株式インデックスファンドに充て、成長投資枠の一部(年間24万円〜48万円程度)をゴールドファンドに配分するのがバランスのよい使い方です。
ゴールド投資の注意点
短期的なボラティリティ
2026年1月には、最高値5,595ドルから4,800ドル台まで約14%急落する場面がありました。ドル高転換や米国の金融政策変更が引き金となりやすく、短期的な値動きは株式並みに大きいことがあります。
税金の扱い
NISA口座で購入したゴールドファンドの利益は非課税ですが、課税口座(特定口座など)で購入した場合は、売却益に対して20.315%の税金がかかります。
インフレとゴールドの関係
ゴールドは一般的に「インフレに強い」とされますが、実質金利(名目金利からインフレ率を引いたもの)が上昇する局面では金価格が下落しやすい傾向があります。中央銀行が積極的に利上げするシナリオには注意が必要です。
まとめ
ゴールドファンドとオルカンの比較、2026年の見通しのポイントをまとめます。
- 2025年はゴールドが約+40%(円建て)で、オルカンの約+22%を大きく上回った
- 金価格は2026年2月時点で約5,000ドル、J.P.モルガンは年末6,300ドルを予測
- 中央銀行の記録的購入、地政学リスク、インフレ懸念が上昇要因
- ゴールドファンドは信託報酬に大きな差があり、SBI・iシェアーズ(0.275%)が最低コスト
- ポートフォリオの5〜10%を目安に、株式ファンドの補完として組み入れるのが堅実
よくある質問
いいえ、現在ゴールドファンドはNISAの成長投資枠のみ対応です。つみたて投資枠は株式インデックスファンドに充て、成長投資枠の一部でゴールドファンドを購入する形がおすすめです。
SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)の年0.275%が最も低コストです。三菱UFJ 純金ファンド(0.99%)と比べると約3.6倍の差があり、長期投資ではこの差が大きなリターンの違いになります。
一般的に5〜10%が推奨されています。ゴールドは配当を生まないため、ポートフォリオの主軸にはなりません。株式市場の暴落時に下落を緩和する「保険」としての位置づけが基本です。
中央銀行の購入トレンドや地政学リスクが続く限り、金価格の上昇基調は維持されやすいといえます。ただし短期的には10〜15%の急落リスクが常にあり、「いつまでも上がり続ける」とは限りません。ドルコスト平均法で時間分散するのが安全です。
円安トレンドが続くなら「為替ヘッジなし」が有利、円高に転じるなら「ヘッジあり」が有利です。迷った場合は「ヘッジなし」をメインにしつつ、一部を「ヘッジあり」にして為替リスクを分散する方法もあります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。