「iDeCoってよく聞くけど、NISAとどう違うの?」
「2027年から制度が変わるって聞いたけど、今から始めても大丈夫?」
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除になる節税効果の高い制度です。さらに2027年1月からは掛金上限が大幅に引き上げられることが決まっています。
この記事では、iDeCoの仕組みから2027年の改正内容まで解説します。
iDeCoとは
iDeCo(イデコ)は、自分で積み立てて運用する私的年金制度です。正式名称は「個人型確定拠出年金」。
毎月決まった金額を積み立て、投資信託や定期預金で運用し、60歳以降に受け取ります。
iDeCoの3つの税制メリット
1. 掛金が全額所得控除
毎月の掛金が全額、所得から差し引かれるため、所得税・住民税が安くなります。
2. 運用益が非課税
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoなら運用益はすべて非課税です。
3. 受け取り時も税制優遇
60歳以降に受け取るとき、「退職所得控除」や「公的年金等控除」が適用されます。
現行の掛金上限額(2025年12月時点)
iDeCoの掛金上限は、職業や企業年金の有無によって異なります。
| 職業・働き方 | 月額上限 | 年額上限 |
|---|---|---|
| 自営業・フリーランス | 68,000円 | 816,000円 |
| 会社員(企業年金なし) | 23,000円 | 276,000円 |
| 会社員(企業型DCのみ) | 20,000円 | 240,000円 |
| 会社員(DBあり)・公務員 | 20,000円 | 240,000円 |
| 専業主婦(夫) | 23,000円 | 276,000円 |
公務員やDBのある会社員の掛金上限は、2024年12月に月額12,000円から20,000円に引き上げられました。
2027年1月からの大改正
2025年度税制改正大綱により、iDeCoは2027年1月から大きく変わります。
掛金上限の引き上げ
| 対象 | 現行 | 2027年1月〜 |
|---|---|---|
| 会社員(企業年金なし) | 月額23,000円 | 月額62,000円 |
| 会社員(企業年金あり)・公務員 | 月額20,000円(iDeCo単体) | iDeCo単体上限撤廃、企業年金と合わせて月額62,000円 |
企業年金のない会社員は、掛金を約2.7倍に増やせるようになります。
加入年齢の引き上げ
現行では原則65歳未満までですが、2027年1月からは70歳未満まで加入できるようになります。
50代・60代からでも、より長く積み立てを続けられるようになります。
退職所得控除ルールの変更(2026年1月〜)
2026年1月1日から、iDeCoを一時金で受け取った後、退職金を受け取るまでの「5年ルール」が「10年ルール」に延長されます。
これまでは5年空ければ退職所得控除がそれぞれ満額適用されましたが、今後は10年空ける必要があります。
iDeCoで実際にいくら節税できる?
年収500万円の会社員が月額23,000円(年間27.6万円)を拠出した場合の概算です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間掛金 | 276,000円 |
| 所得税軽減(税率10%の場合) | 約27,600円 |
| 住民税軽減(税率10%) | 約27,600円 |
| 年間節税額 | 約55,200円 |
| 30年間の節税総額 | 約165万円 |
年収が高いほど所得税率が上がるため、節税効果も大きくなります。
iDeCoと新NISAの違い
| 項目 | iDeCo | 新NISA |
|---|---|---|
| 所得控除 | あり | なし |
| 運用益非課税 | あり | あり |
| 引き出し | 60歳まで不可 | いつでも可能 |
| 年間上限 | 14.4〜81.6万円 | 360万円 |
| 口座管理手数料 | あり(月171円〜) | なし |
どっちを優先すべきですか?
一般的にはまず新NISAを優先し、余裕があればiDeCoを追加するのがおすすめです。ただし、60歳まで使う予定のないお金であれば、節税効果の大きいiDeCoを優先する考え方もあります。
iDeCoのメリット・デメリット
- 掛金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受け取り時も税制優遇
- 60歳まで引き出せないので強制的に貯まる
- 転職しても持ち運べる
- 60歳まで引き出せない
- 口座管理手数料がかかる
- 元本保証ではない
- [受け取り方](/news/posts/ideco-how-to-receive/)によっては税金がかかる
iDeCoの始め方
1. 金融機関を選ぶ
手数料の安さと商品ラインナップで選びます。SBI証券・楽天証券は運営管理手数料が無料です。
- 国民年金基金連合会への手数料:月額105円(どこでも共通)
- 運営管理手数料:金融機関により0円〜数百円
- 合計で月額171円〜が最安ライン
2. 加入申し込み
オンラインまたは書類で申し込みます。会社員の場合は勤務先の証明書類が必要です。口座開設には1〜2ヶ月ほどかかります。
3. 運用商品を選ぶ
投資信託、定期預金などから選びます。長期運用なら低コストのインデックスファンドがおすすめです。
4. 掛金を設定
毎月の掛金額を決めます。最低5,000円から、1,000円単位で設定できます。
よくある質問
間に合います。今から始めておけば、2027年1月の改正時にスムーズに掛金を増額できます。口座開設には1〜2ヶ月かかるため、早めの手続きがおすすめです。
原則として、途中で脱退して資産を引き出すことはできません。ただし、掛金の拠出を停止することは可能です。停止しても、それまで積み立てた資産は60歳まで運用され続けます。
iDeCoの資産はそのまま持ち運べます。ただし、転職先に企業型DCがある場合は手続きや掛金上限額が変わる可能性があります。
まとめ
iDeCoは、所得控除による節税効果が最大の魅力です。2027年1月からは掛金上限が大幅に引き上げられ、より使いやすい制度になります。
- 掛金が全額所得控除
- 2027年1月から掛金上限が月額62,000円に
- 加入年齢も70歳未満に引き上げ
- 60歳まで引き出せない点に注意
- 新NISAとの併用がおすすめ
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
参考: