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投資初心者が陥る5つの罠|詐欺・ぼったくりの見分け方
投資信託 初心者向け

投資初心者が陥る5つの罠|詐欺・ぼったくりの見分け方

2025-12-16
2025-12-16 更新

「投資を始めたら詐欺に遭った」「窓口で勧められた商品が実はぼったくりだった」——そんな失敗を防ぐために、投資初心者が陥りやすい5つの罠と、その見分け方を解説します。

「投資を始めたいけど、詐欺に遭わないか心配」「どの商品を選べばいいかわからない」——そんな不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。

残念ながら、投資の世界には初心者を狙った罠が数多く存在します。2024年のSNS型投資詐欺の被害額は1,268億円と、前年比179%増という深刻な状況です。

この記事では、投資初心者が陥りやすい5つの罠と、その見分け方・対処法を解説します。

罠①:SNS投資詐欺

被害額は1日3億4,000万円以上

警察庁の発表によると、2024年のSNS型投資詐欺の被害状況は以下の通りです。

項目 2024年
認知件数 10,237件(前年比+166%)
被害総額 1,268億円(前年比+179%)
1日あたり被害額 約3億4,700万円
1件あたり平均被害額 約1,242万円
読者
読者

1件で1,000万円以上も騙し取られるんですか?

青山(専門家)
青山(専門家)

そうなんです。投資詐欺は被害額が大きくなりやすい特徴があります。最初は少額で信用させ、徐々に大きな金額を要求してくる手口が一般的です。

詐欺の典型的な手口

SNS投資詐欺の典型的な流れは以下の通りです。

  1. 著名人を装った偽広告:有名投資家や芸能人の画像を無断使用した広告がSNSに表示される
  2. LINEグループへの誘導:広告をクリックした人をLINEグループに招待
  3. 「儲かっている」演出:グループ内で「100万円が500万円になった」などの虚偽報告
  4. 少額から投資を勧める:最初は数万円の投資で「利益」を見せる
  5. 大金を要求:信用させた後、大きな金額の投資を促す
  6. 出金できない:「手数料が必要」「税金を払え」などと言われ、追加入金を要求される
警告

個人名義の口座への振込を指示された場合、それは100%詐欺です。正規の投資では、証券会社の口座を通じて取引します。

悪用されているSNS

SNS・サイト 割合
Instagram 29.8%
Facebook 17.5%
投資サイト 14.3%

特にInstagramとFacebookの広告から被害に遭うケースが多く、著名人の画像を使った広告には要注意です。

被害者の特徴

被害者は50〜70代が全体の67.4%を占めています。「投資経験がない」「SNSに不慣れ」な層が狙われやすい傾向があります。

読者
読者

若い人は大丈夫なんですか?

青山
青山

若い世代でも被害は出ています。特にマッチングアプリで知り合った人から投資を勧められる「ロマンス詐欺」は、20〜30代の被害も多いです。

SNS投資詐欺を見分けるポイント

以下に当てはまる場合は、詐欺の可能性が高いです。

  • 「必ず儲かる」「元本保証」と言っている
  • 著名人の名前や画像を使っている広告
  • LINEやDMでのみやり取りしている
  • 金融庁に登録されていない業者
  • 個人名義の口座への振込を指示される
  • 出金しようとすると「手数料」「税金」を要求される
確認方法

金融庁の「金融商品取引業者等検索」で業者が登録されているか確認できます。登録されていない業者からの勧誘は無視しましょう。

罠②:窓口で勧められる「ぼったくり商品」

銀行・証券会社の窓口は要注意

「銀行や証券会社なら安心」と思っていませんか?

窓口で勧められる金融商品は、手数料が高い「ぼったくり商品」であることが少なくありません。

読者
読者

えっ、銀行って信用できないんですか?

青山
青山

銀行や証券会社自体は信用できます。ただ、窓口の担当者は「手数料収入」で評価されることが多いため、顧客にとってベストな商品ではなく、会社にとって利益になる商品を勧めることがあるんです。

ぼったくり商品の特徴

項目 ぼったくり商品 優良商品
購入時手数料 2〜3% 0%(ノーロード)
信託報酬 1〜2%/年 0.1%以下/年
商品タイプ アクティブファンド インデックスファンド
販売チャネル 銀行・証券窓口 ネット証券

例えば、購入時手数料2%、信託報酬1.5%の商品を100万円分購入すると:

  • 購入時手数料:2万円
  • 信託報酬(年間):1万5,000円

一方、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)なら:

  • 購入時手数料:0円
  • 信託報酬(年間):約578円

同じ100万円を投資しても、初年度だけで約3万5,000円の差が出ます。

ぼったくりを避ける方法

  1. ネット証券で自分で選ぶ:SBI証券、楽天証券などのネット証券を使う
  2. 信託報酬を確認する:0.2%以下を目安に
  3. 窓口での勧誘は断る:「自分で調べて決めます」と伝える

罠③:一括投資で高値掴み

「まとまったお金があるから一括投資」は危険

ボーナスや退職金など、まとまったお金が入ったときに「全額投資しよう」と考える人は多いです。

しかし、一括投資は「高値掴み」のリスクがあります。

読者
読者

でも、早く投資した方が複利効果で有利って聞きましたけど…

青山
青山

理論上はその通りです。ただ、投資タイミングを見極めるのはプロでも難しい。高値で一括投資して、その後暴落したら精神的に耐えられない人が多いんです。

2024年8月の「令和のブラックマンデー」

2024年8月、日経平均株価は1日で4,451円下落しました。新NISAが始まって最初の大暴落で、パニック売りをしてしまった初心者も少なくありませんでした。

一括投資で高値掴みしていた人は、含み損が大きく膨らんだことでしょう。

対策:時間分散投資(ドルコスト平均法)

まとまった資金がある場合でも、6ヶ月〜1年かけて分散して投資することをおすすめします。

投資方法 メリット デメリット
一括投資 上昇相場で有利 高値掴みのリスク
分散投資 購入単価を平準化 上昇相場ではやや不利

ドルコスト平均法なら、価格が高いときは少なく、安いときは多く購入できるため、平均購入単価を抑えられます。

罠④:暴落時のパニック売り

「下がったから売る」は最悪の行動

投資を始めたばかりの人が最も陥りやすい罠が、暴落時のパニック売りです。

読者
読者

でも、どんどん下がっていくのを見てたら怖くなりますよね…

青山
青山

気持ちはわかります。でも、下がったときに売るのは「安く売る」ということ。つまり、損失を確定させる行為なんです。

過去の暴落と回復

歴史を振り返ると、株式市場は暴落しても必ず回復してきました。

暴落 下落率 回復までの期間
リーマンショック(2008年) -56% 約4年
コロナショック(2020年) -34% 約5ヶ月
令和のブラックマンデー(2024年) -12% 約2ヶ月

長期投資を前提にしていれば、暴落は「安く買えるチャンス」です。

パニック売りを防ぐコツ

  1. 生活防衛資金を確保してから投資する:お金が必要になって売らざるを得ない状況を防ぐ
  2. リスク許容度に合った投資額にする:下落しても平常心でいられる金額
  3. 積立設定を自動化する:自分で判断しなくていい仕組みを作る
  4. 相場を見ない:毎日チェックすると不安になりやすい
ポイント

全世界株式や米国株式に15年以上投資を続けた場合、過去どの時期に始めてもプラスのリターンになっています(ただし将来を保証するものではありません)。

罠⑤:SNS情報への過信

インフルエンサーの推奨銘柄は危険

「〇〇さんが推奨していたから買った」——これも投資初心者がよく陥る罠です。

読者
読者

でも、フォロワーが多い人なら信用できるんじゃないですか?

青山
青山

フォロワー数と投資の実力は関係ありません。中には、自分が買った銘柄をフォロワーに買わせて価格を上げ、その後売り抜けるような悪質なケースもあります。

SNS情報の問題点

  • ファクトチェックがされていない:誰でも何でも発信できる
  • エコーチェンバー効果:同じ意見の人だけが集まり、偏った見方が増幅される
  • 利益相反:推奨する人が利益を得る仕組みになっていることも
  • 結果の都合のいい切り取り:利益が出たときだけ報告し、損失は隠す

正しい情報収集の方法

以下のような一次情報を参照するようにしましょう。

  • 金融庁の公式サイト:制度や規制の正確な情報
  • 証券会社の公式情報:商品の詳細、手数料
  • 企業の決算報告書:個別株投資の場合
  • 書籍:体系的に学べる
注意

SNSで話題になっている銘柄に飛び乗るのは非常に危険です。「みんなが買っている」というのは、すでに高値になっている可能性が高いです。

投資初心者が身を守るための5つの原則

ここまで紹介した5つの罠を踏まえて、投資初心者が身を守るための原則をまとめます。

原則1:「必ず儲かる」は100%詐欺

投資に「必ず」はありません。元本保証を謳う投資話は詐欺です。

原則2:手数料を必ず確認する

購入前に信託報酬を確認。0.2%以上なら、より低コストの商品がないか探しましょう。

原則3:一括投資より積立投資

特に初心者は、時間分散でリスクを抑えることをおすすめします。

原則4:暴落は「買い増しチャンス」と考える

長期投資なら、短期的な下落は気にしない。むしろ安く買えるチャンス。

原則5:SNSより一次情報を信じる

インフルエンサーの推奨より、公式情報や書籍で学ぶ。

まとめ

投資初心者が陥りやすい5つの罠を紹介しました。

  • SNS投資詐欺:2024年の被害額は1,268億円。著名人の偽広告に注意
  • 窓口のぼったくり商品:手数料が高い商品を避け、ネット証券で自分で選ぶ
  • 一括投資で高値掴み:時間分散でリスクを抑える
  • 暴落時のパニック売り:長期視点を持ち、むしろ買い増しを検討
  • SNS情報への過信:一次情報を確認し、自分で判断する

「騙されない」ための知識を身につけることが、資産形成の第一歩です。

少しでも怪しいと感じたら、すぐに決断せず、信頼できる人や専門家に相談しましょう。

よくある質問

Q
Q1. SNS投資詐欺に遭ったらどうすればいいですか?
A

すぐに警察(#9110)や消費生活センター(188)に相談してください。被害回復は難しいですが、早期の相談が重要です。振込先の銀行に連絡して口座凍結を依頼することもできます。

Q
Q2. 銀行で勧められた商品を買ってしまったのですが、解約すべきですか?
A

商品の内容と手数料を確認しましょう。信託報酬が1%を超えていたり、毎月分配型だったりする場合は、低コストのインデックスファンドへの乗り換えを検討してください。ただし、解約時の税金も考慮が必要です。

Q
Q3. 暴落したときに売らずに持ち続けるのが正解なのですか?
A

長期投資を前提としているなら、基本的にはそうです。ただし、生活資金を投資に回していた場合は例外です。投資は生活防衛資金を確保した上での余剰資金で行いましょう。

Q
Q4. SNSの投資情報は全部無視すべきですか?
A

全部無視する必要はありませんが、鵜呑みにしないことが重要です。SNSで得た情報は必ず一次情報で確認し、自分で判断しましょう。特に「儲かる銘柄」の推奨は無視するのが無難です。

Q
Q5. 安全に投資を始めるにはどうすればいいですか?
A

①生活防衛資金を確保 → ②ネット証券でNISA口座を開設 → ③低コストのインデックスファンド(オルカンやS&P500)で積立投資を始める、という手順がおすすめです。少額から始めて、徐々に慣れていきましょう。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。