「著名人が紹介する投資で月利10%」「LINEグループで投資仲間と情報交換」——こんな誘いに心当たりはありませんか?
2024年のSNS型投資詐欺被害は871億円、前年の3倍に急増しています。この記事では、最新の投資詐欺の手口と見分け方を解説します。大切な資産を守るために、ぜひ知っておいてください。
投資詐欺の被害状況
まず、投資詐欺の深刻な実態を把握しましょう。
| 項目 | 2024年の数値 |
|---|---|
| SNS型投資詐欺被害額 | 871億円(前年比3倍) |
| 平均被害額 | 1,365万円 |
| 1件1,000万円超の割合 | 非常に高い |
1件で1,000万円以上って、本当ですか?
本当です。投資詐欺は「少額から始めて信頼させ、徐々に高額を引き出す」手口が多いため、気づいた時には大金を失っているケースが後を絶ちません。誰もが被害者になりうるという意識を持ってください。
SNS型投資詐欺の主な手口
1. 著名人なりすまし広告
最も多い手口が、著名人の名前や写真を悪用した偽の投資広告です。
- 有名投資家、経営者、タレントの写真を無断使用
- 「○○氏が教える必勝法」と謳う
- SNS広告や偽のニュースサイトで誘導
イーロン・マスク氏のディープフェイク動画で仮想通貨を宣伝する詐欺が確認されています。AIで作られた動画は本物と見分けがつきにくくなっています。
2. LINEグループへの勧誘
InstagramやFacebookで知り合った人から、LINEの「投資グループ」に招待される手口です。
- グループ内で「先生」が投資指南
- 他のメンバー(実はサクラ)が「儲かった」と報告
- 徐々に信頼させ、投資を勧められる
3. 偽の投資アプリ・サイト
専用の投資アプリや証券口座を使うよう指示され、そこで取引するパターンです。
- 画面上では利益が出ているように表示
- 実際には一切取引されていない
- 出金しようとすると「税金」「手数料」を要求
最初の少額は実際に出金できることがあるのが巧妙な点です。「本当に儲かった」と信用させてから、大金を振り込ませます。
4. 恋愛感情を利用(ロマンス詐欺)
SNSやマッチングアプリで知り合い、恋愛感情を持たせた上で投資を勧める手口です。
- 「二人の将来のために一緒に投資しよう」
- 信頼関係を築いてから金銭を要求
- 投資詐欺とロマンス詐欺の複合型
実際の詐欺メッセージ例
これらのようなメッセージが来たら、詐欺を疑ってください。
SNS広告の例
「【緊急】○○氏が暴露!誰でも月収100万円を稼げる投資法」
「私はこの方法で3ヶ月で500万円を手に入れました。今だけ無料で教えます」
「AIが自動で取引。放置で月利15%の実績」
LINEグループでの典型的なやり取り
先生「明日はA株が上がります。今のうちに買いましょう」
Aさん「先生ありがとうございます!昨日の銘柄で50万円プラスです!」
Bさん「私も30万円増えました!先生すごい!」
※AさんBさんは全員サクラです
出金を拒否する時の言い訳
詐欺サイトでは、利益が出ているように見せかけた後、出金しようとすると様々な理由で拒否されます。
- 「出金するには20%の税金を先に振り込む必要があります」
- 「システムエラーです。追加で50万円入金すれば解消します」
- 「VIP会員にアップグレード(10万円)すれば出金できます」
- 「本人確認のため、別口座に確認金(5万円)を振り込んでください」
→ 正規の証券会社では、追加入金を求められることは絶対にありません
投資詐欺の見分け方チェックリスト
以下の項目に一つでも当てはまったら、詐欺を疑ってください。
Check 1:「必ず儲かる」と言っていないか
「必ず儲かる」「確実に利益が出る」「あなただけに教える」は詐欺の常套句です。投資に「必ず」はありません。
Check 2:金融庁の登録業者か
金融商品を扱う業者は、金融庁への登録が必要です。金融庁のウェブサイトで登録状況を確認しましょう。
「金融庁 免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で検索するか、金融庁公式サイト(https://www.fsa.go.jp/)にアクセスします。
- 株式・投資信託 → 「金融商品取引業者」
- FX → 「金融商品取引業者」
- 暗号資産 → 「暗号資産交換業者」
PDFまたはExcelファイルで一覧が公開されています。業者名で検索し、登録があるか確認します。
一覧に載っていない業者は無登録業者です。無登録業者との取引は法律で禁止されており、取引すること自体が違法行為に加担することになります。
金融庁は「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」で警告済みの業者リストも公開しています。怪しいと思ったら、こちらも確認しましょう。
Check 3:著名人のなりすましではないか
著名人が投資を勧めている場合、本人の公式サイト・公式SNSで確認しましょう。公式マークがないアカウントからの勧誘は疑ってください。
Check 4:振込先が不審ではないか
以下の場合は極めて危険です。
- 振込先が個人名義
- 振込先が無関係の法人名義
- 振込のたびに口座が変わる
Check 5:投資アプリは実在するか
勧められた「投資アプリ」や「暗号資産取引所」が実在するか、公式ストアで確認しましょう。偽アプリの可能性があります。
「これは詐欺?」迷ったら
- 警察相談専用電話:#9110
- 消費者ホットライン:188
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:0570-016811
少しでも不安を感じたら、一人で判断せず相談してください。
詐欺に遭わないための心構え
1. 「うまい話」は疑う
投資の世界に「楽して儲かる」方法はありません。年利10%以上を謳う時点で、かなり怪しいと考えてください。
インデックス投資の長期平均リターンは年5〜7%程度です。「月利10%」「年利30%」は、まともな投資ではありえない数字です。
2. 急かされたら要注意
「今だけ」「限定」「急いで」と急かすのは詐欺の特徴です。冷静に考える時間を与えないのが手口です。
3. 知らない人からの投資話は無視
SNSやマッチングアプリで知り合った人から投資を勧められたら、基本的に無視してください。
4. 家族や友人に相談
投資を決める前に、信頼できる人に相談しましょう。「誰にも言わないで」と言われたら、それ自体が危険信号です。
5. 金融リテラシーを高める
基本的な投資知識を身につけることで、詐欺を見抜く力がつきます。新NISAなどの公的制度を理解しておくことも重要です。
よくある詐欺の誘い文句
以下のような言葉を聞いたら、警戒してください。
- 「必ず儲かる」「元本保証」
- 「あなただけに特別に教える」
- 「今すぐ始めないと損」
- 「友人の紹介だから安心」
- 「○○(著名人)も投資している」
- 「税金を払えば出金できる」
- 「AIが自動で稼いでくれる」
もし被害に遭ってしまったら
すぐにやるべきこと
- これ以上の送金をストップ
- 警察に被害届を提出(#9110 または最寄りの警察署)
- 振込先の金融機関に連絡(口座凍結の可能性)
- 証拠を保全(やり取りのスクリーンショット、振込明細など)
被害回復は難しい
残念ながら、振り込んだお金を取り戻すのは非常に困難です。詐欺グループは海外にいることが多く、捜査にも限界があります。「引っかからないこと」が最大の防御です。
まとめ
投資詐欺から身を守るポイントを整理します。
- 2024年のSNS型投資詐欺被害は871億円、平均被害額1,365万円
- 主な手口:著名人なりすまし、LINEグループ勧誘、偽アプリ
- 「必ず儲かる」は100%詐欺
- 金融庁の登録業者か確認する習慣を
- 振込先が個人名義、口座が毎回変わる場合は危険
- 迷ったら#9110(警察)や188(消費者ホットライン)に相談
大切な資産を守るために、「自分は大丈夫」と思わず、常に警戒心を持ちましょう。
よくある質問
なりすましの可能性が高いです。著名人が個人に直接投資を勧めることはまずありません。本人の公式サイト・公式SNS(認証マーク付き)で確認してください。
いいえ。最初だけ少額を出金させて信用させ、その後に大金を振り込ませる手口が一般的です。「出金できた=安全」ではありません。
残念ながら、被害回復は非常に困難です。詐欺グループは海外にいることが多く、振り込んだお金を取り戻せるケースは稀です。被害に遭わないことが最大の防御です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。