「投資で利益が出たけど、確定申告は必要?」
特定口座(源泉徴収あり)を使っていれば確定申告は不要ですが、申告した方が得になるケースもあります。この記事では、投資の確定申告が必要なケースと、e-Taxでの申告方法を解説します。
確定申告が必要なケース
ケース1:一般口座で利益が出た
| 口座の種類 | 確定申告 |
|---|---|
| 特定口座(源泉徴収あり) | 不要 |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 必要 |
| 一般口座 | 必要 |
| NISA口座 | 不要(非課税) |
ケース2:給与以外の所得が20万円超
給与所得者で、給与以外の所得(投資の利益など)が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。ただし、特定口座(源泉徴収あり)は源泉徴収で完結するため、この20万円には含まれません。
ケース3:複数口座の損益通算
A証券で50万円の利益、B証券で30万円の損失がある場合、確定申告で損益通算すると、20万円分の利益として計算され、B証券で払いすぎた税金が還付されます。
確定申告した方がいいケース
ケース1:損失の繰越控除
| 年 | 損益 | 繰越後の課税対象 |
|---|---|---|
| 2024年 | -100万円 | 翌年以降に繰越 |
| 2025年 | +50万円 | 0円(繰越損失と相殺) |
| 2026年 | +60万円 | 10万円(残りの繰越損失と相殺) |
損失を繰り越せるんですか?
確定申告すれば、損失を3年間繰り越せます。翌年以降の利益と相殺できるので、損失が出た年こそ確定申告をおすすめします。
ケース2:配当控除
| 課税所得 | 総合課税の税率 | 分離課税(約20%)との比較 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 約7.2% | 総合課税が有利 |
| 330万円以下 | 約17.2% | 総合課税が有利 |
| 695万円以下 | 約27.2% | 分離課税が有利 |
課税所得が330万円以下なら、配当を総合課税で申告し、配当控除を受けた方が税金が安くなる場合があります。
ケース3:外国税額控除
米国株の配当には米国で10%、日本で約20%の二重課税がかかっています。確定申告で外国税額控除を申請すると、米国で払った税金の一部が還付されます。
| 項目 | 金額(例) |
|---|---|
| 米国株配当 | 100ドル |
| 米国源泉税(10%) | -10ドル |
| 手取り | 90ドル |
| 日本の税金(約20%) | -18ドル |
| 外国税額控除で還付 | +10ドル程度 |
e-Taxの準備
必要なもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| マイナンバーカード | 電子申告に必要 |
| ICカードリーダー | またはスマホ(マイナポータルアプリ) |
| 年間取引報告書 | 証券会社から届く(1月中旬〜) |
| 源泉徴収票 | 会社から届く |
事前準備
マイナポータルアプリをインストールし、マイナンバーカードでログインします。
国税庁のe-Taxサイトで利用者識別番号を取得します(初回のみ)。
証券会社から届く「年間取引報告書」または「特定口座年間取引報告書」を手元に用意します。
e-Taxでの申告手順
手順1:確定申告書等作成コーナーにアクセス
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」をクリックします。
手順2:申告書の種類を選択
| 選択肢 | 対象者 |
|---|---|
| 所得税 | 給与所得者、個人事業主 |
| 分離課税 | 株式の譲渡所得がある人 |
「株式等の譲渡所得」がある場合は、分離課税の申告書を選択します。
手順3:収入を入力
| 入力項目 | 入力元 |
|---|---|
| 給与所得 | 源泉徴収票 |
| 株式譲渡所得 | 年間取引報告書 |
| 配当所得 | 年間取引報告書 |
手順4:控除を入力
| 控除の種類 | 内容 |
|---|---|
| 外国税額控除 | 外国株の配当がある場合 |
| 配当控除 | 配当を総合課税にした場合 |
| 損失の繰越控除 | 前年以前の損失を繰り越す場合 |
手順5:送信
入力内容を確認し、マイナンバーカードで電子署名してe-Taxで送信します。
確定申告のスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1月中旬 | 年間取引報告書が届く |
| 2月16日〜3月15日 | 確定申告期間 |
| 申告後2〜3週間 | 還付金の振込(e-Taxの場合) |
e-Taxで申告すると、還付が早いのがメリットです。紙の申告だと1〜2ヶ月かかりますが、e-Taxなら2〜3週間で振り込まれます。
よくある間違い
間違い1:NISAの利益を申告
NISA口座の利益は非課税なので、確定申告に記載する必要はありません。記載すると課税対象になってしまう可能性があるので注意。
間違い2:特定口座の損益を合算忘れ
複数の証券会社で特定口座を持っている場合、各社の損益を合算して申告しないと、損益通算のメリットが得られません。
間違い3:損失の繰越を忘れる
損失が出た年に確定申告しないと、翌年以降に繰り越せません。利益が出なくても、損失が出た年は申告しましょう。
よくある質問
損失の繰越や、複数口座の損益通算をしたい場合は申告した方がいいです。また、外国株の配当で外国税額控除を受けたい場合も申告が必要です。
確定申告書で「住民税を自分で納付」を選択すれば、投資の利益が会社に通知されません。「特別徴収」を選ぶと、住民税の増加で会社に分かる可能性があります。
確定申告期間内なら「訂正申告」、期限後なら「修正申告」または「更正の請求」で修正できます。気づいたら早めに対応しましょう。
まとめ
投資の確定申告についてまとめます。
- 特定口座(源泉徴収あり)なら基本的に確定申告不要
- 複数口座の損益通算をするなら確定申告が必要
- 損失は3年間繰り越せる(要確定申告)
- 外国株の配当は外国税額控除で還付あり
- e-Taxなら自宅で完結、還付も早い
- NISA口座は申告不要(非課税)
賢く確定申告して、払いすぎた税金を取り戻しましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。