「配当金で不労所得を得たい」——そんな夢を叶えるのが高配当株投資です。しかし、配当利回りが高いだけで銘柄を選ぶと失敗します。
この記事では、日本株で高配当ポートフォリオを作るための銘柄選定のポイントを解説します。
高配当株投資の基本
配当利回りとは
配当利回り = 年間配当金 ÷ 株価 × 100
| 配当利回り | 評価 |
|---|---|
| 1〜2% | 普通 |
| 3〜4% | 高配当 |
| 5%以上 | 超高配当(要注意) |
配当利回りが高い=良い株ではない
配当利回りが高い理由は2つあります。
- 配当金が高い(良い)
- 株価が下がっている(悪い)
株価が下がって配当利回りが高くなっている銘柄は、業績悪化で減配のリスクがあります。
銘柄選定の5つのポイント
ポイント1:配当利回り3%以上
| 基準 | 目安 |
|---|---|
| 配当利回り | 3〜5% |
配当利回り3%以上を目安に。ただし、5%を超える銘柄は「なぜ高いのか」を確認しましょう。株価下落が原因なら要注意です。
ポイント2:配当性向50%以下
配当性向 = 配当金総額 ÷ 純利益 × 100
| 配当性向 | 評価 |
|---|---|
| 30%以下 | 余裕あり |
| 30〜50% | 適正 |
| 50〜70% | やや高め |
| 70%以上 | 減配リスクあり |
配当性向が高いとダメなんですか?
配当性向が高いと、利益が減った時に配当を維持できなくなります。50%以下なら、業績が多少悪化しても配当を維持できる余力があります。
ポイント3:自己資本比率40%以上
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100
| 自己資本比率 | 評価 |
|---|---|
| 60%以上 | 優良 |
| 40〜60% | 健全 |
| 20〜40% | やや低め |
| 20%以下 | 財務リスクあり |
ポイント4:営業利益率10%以上
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
| 営業利益率 | 評価 |
|---|---|
| 15%以上 | 高収益 |
| 10〜15% | 良好 |
| 5〜10% | 普通 |
| 5%以下 | 低収益 |
ポイント5:連続配当10年以上
| 連続配当 | 評価 |
|---|---|
| 20年以上 | 最優良 |
| 10〜20年 | 優良 |
| 5〜10年 | 良好 |
| 5年未満 | 要確認 |
リーマンショックやコロナショックでも減配しなかった企業は、配当を維持する強い意志を持っています。
銘柄選定のチェックリスト
スクリーニング条件
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 配当利回り | 3%以上 |
| 配当性向 | 50%以下 |
| 自己資本比率 | 40%以上 |
| 営業利益率 | 10%以上 |
| 連続配当 | 10年以上 |
| 時価総額 | 1,000億円以上 |
セクター分散の重要性
セクター偏りのリスク
高配当株は特定のセクター(銀行、商社、通信など)に偏りがちです。1つのセクターに集中すると、そのセクターが不況になった時にポートフォリオ全体が大打撃を受けます。
おすすめのセクター配分
| セクター | 配分目安 | 代表銘柄例 |
|---|---|---|
| 商社 | 15〜20% | 三菱商事、伊藤忠 |
| 銀行・金融 | 15〜20% | 三菱UFJ、オリックス |
| 通信 | 10〜15% | NTT、KDDI |
| メーカー | 10〜15% | トヨタ、コマツ |
| 不動産 | 10〜15% | 三井不動産、住友不動産 |
| その他 | 20〜30% | 各種 |
1セクター20%以内を目安にしましょう。最低でも5〜10銘柄以上に分散することをおすすめします。
ポートフォリオ構築例
500万円で組む高配当ポートフォリオ例
| 銘柄 | セクター | 配分 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 三菱商事 | 商社 | 15% | 75万円 |
| 伊藤忠商事 | 商社 | 10% | 50万円 |
| 三菱UFJ | 銀行 | 15% | 75万円 |
| NTT | 通信 | 15% | 75万円 |
| KDDI | 通信 | 10% | 50万円 |
| トヨタ自動車 | 自動車 | 10% | 50万円 |
| JT | 食品 | 10% | 50万円 |
| オリックス | 金融 | 15% | 75万円 |
期待される配当収入
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 投資総額 | 500万円 |
| 平均配当利回り | 約3.5% |
| 年間配当金 | 約17.5万円 |
| 月換算 | 約1.5万円 |
買い方のコツ
一括購入は避ける
上記のスクリーニング条件で10〜20銘柄をピックアップします。
一括で買わず、数ヶ月〜1年かけて分散して購入します。
市場全体が下落した時はチャンス。配当利回りが上がった優良銘柄を買い増します。
年1回程度、業績や配当方針をチェックし、必要に応じて入れ替えます。
権利確定日に注意
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 権利確定日 | 配当を受け取る権利が確定する日 |
| 権利付き最終日 | この日までに株を買えば配当がもらえる |
| 権利落ち日 | 配当権利がなくなる日(株価が下がりやすい) |
権利確定日の直前に買うのは避けましょう。権利落ち後に株価が配当分だけ下がることが多いです。
高配当株の落とし穴
減配リスク
業績悪化で配当が減らされることがあります。減配が発表されると株価も下落するダブルパンチに。
成長性の低さ
高配当企業は成熟企業が多く、株価の大幅な上昇は期待しにくい傾向があります。
税金
配当金には約20%の税金がかかります(NISA口座なら非課税)。
よくある質問
単元未満株(1株から購入)なら数千円から始められます。SBI証券の「S株」や楽天証券の「かぶミニ」を活用しましょう。
成長投資枠で購入可能です。配当金が非課税になるメリットは大きいですが、値上がり益が期待できるインデックス投資の方がNISAのメリットを活かせるという考え方もあります。
最低でも10銘柄、できれば20銘柄以上に分散するのがおすすめです。1銘柄あたり10%以内、1セクター20%以内を目安にしましょう。
まとめ
日本株高配当ポートフォリオの作り方をまとめます。
- 配当利回りだけでなく5つの指標をチェック
- 配当利回り3%以上、配当性向50%以下
- 自己資本比率40%以上、営業利益率10%以上
- 連続配当10年以上の銘柄を選ぶ
- セクター分散で1セクター20%以内
- 一括購入を避け分散して買う
優良な高配当株を選んで、安定した配当収入を目指しましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。