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レバレッジ投資信託は危険?仕組みとリスクを解説|レバナスの落とし穴
投資信託

レバレッジ投資信託は危険?仕組みとリスクを解説|レバナスの落とし穴

2025-12-16
2025-12-16 更新

レバレッジ投資信託の仕組みとリスクを解説。レバナス(レバレッジNASDAQ)の落とし穴、減価の仕組み、初心者におすすめしない理由を紹介。

「レバナス」「レバレッジETF」——SNSで話題のこれらの商品、仕組みを理解せずに手を出すと大損することがあります。

2022年のハイテク株下落では、レバナス投資家が大きな損失を被りました。この記事では、レバレッジ投資信託の仕組みとリスクを解説します。

レバレッジ投資信託とは

レバレッジ投資信託とは、指数の日々の値動きを2倍や3倍に増幅させる投資信託です。

種類 特徴
2倍レバレッジ レバナス、楽天レバレッジNASDAQ-100 日々の値動きを2倍に
3倍レバレッジ TQQQ(米国ETF) 日々の値動きを3倍に
インバース 日経ダブルインバース 日々の値動きを逆方向に2倍

「レバナス」とは

「レバナス」とは、NASDAQ-100指数の2倍の値動きを目指す投資信託の愛称です。正式名称は「iFreeレバレッジ NASDAQ100」などがあります。

レバレッジの基本的な仕組み

上昇相場の場合

指数が10%上昇すると、2倍レバレッジは約20%上昇します。

指数 2倍レバレッジ
初日 10,000 10,000
10%上昇 11,000 12,000
さらに10%上昇 12,100 14,400

下落相場の場合

指数が10%下落すると、2倍レバレッジは約20%下落します。

指数 2倍レバレッジ
初日 10,000 10,000
10%下落 9,000 8,000
さらに10%下落 8,100 6,400
黒澤(投資アナリスト)
黒澤(投資アナリスト)

上昇相場では大きく儲かりますが、下落相場では損失も2倍になります。指数が20%下落すると、2倍レバレッジは約40%の損失です。

レバレッジ投信の最大の罠:減価

「減価」とは

レバレッジ投資信託には「減価」という現象があります。これは、上下を繰り返す相場では、長期的に元本が減っていく現象です。

具体例:横ばい相場での減価

指数が「+10%」「-10%」を繰り返す場合を考えます。

指数 通常ファンド 2倍レバレッジ
初日 100 100 100
+10% 110 110 120
-10%(110の10%=11) 99 99 96
+10% 108.9 108.9 115.2
-10% 98.01 98.01 92.16
減価の恐怖

指数はほぼ横ばい(98.01)なのに、2倍レバレッジは92.16まで減少しています。これが「減価」です。上下を繰り返すだけで、レバレッジ商品は価値が目減りしていきます。

なぜ減価が起こるのか

レバレッジ投資信託は「日々の」値動きを2倍にする商品であり、長期間の値動きを2倍にするわけではありません。

黒澤
黒澤

例えば、指数が100→110→99と動くと、日々の変動は+10%、-9.09%です。2倍レバレッジは+20%、-18.18%となり、100→120→98.18となります。毎日の計算がリセットされるため、長期では減価が発生します。

2022年の「レバナス悲劇」

何が起きたか

2021年末から2022年にかけて、NASDAQ-100指数は大きく下落しました。

時期 NASDAQ-100 レバナス
2021年11月(高値) 約16,000 約40,000円
2022年10月(安値) 約10,500 約15,000円
下落率 −34% −62%
読者
読者

指数は34%しか下がってないのに、レバナスは62%も下がったんですか?

黒澤
黒澤

はい。レバレッジの減価効果で、指数の下落率の約2倍以上下落しました。2021年末に「レバナス積立」を始めた人の多くが、大きな含み損を抱えました。

レバレッジ投信のメリット・デメリット

メリット
  • 上昇相場では大きく儲かる
  • 短期トレードには使える可能性
  • 少額で大きなリターンを狙える
デメリット
  • 下落相場では大損
  • 減価で長期保有に向かない
  • 信託報酬が高い(年0.5〜1%程度)
  • 精神的負担が大きい
  • 新NISAでは対象外

初心者におすすめしない理由

理由1:長期投資に向かない

レバレッジ投信は減価の影響で、長期保有するほど不利になります。「積立投資でコツコツ」という戦略とは相性が悪いです。

理由2:精神的に持たない

2倍レバレッジで20%の含み損は、通常ファンドの40%下落に相当する精神的ダメージがあります。暴落時に狼狽売りしてしまう人が多いです。

理由3:新NISAで使えない

レバレッジ投資信託は新NISAの対象外です。利益に課税されるため、税制面でも不利になります。

理由4:通常インデックスで十分

長期投資なら、通常のインデックスファンド(全世界株式、S&P500)で年5〜7%のリターンが期待できます。レバレッジをかける必要はありません。

レバレッジ投信が向いている人

ほとんどの人にはおすすめしませんが、以下のような人なら検討の余地があります。

条件 理由
短期トレードが得意 減価の影響を受けにくい
相場観に自信がある 上昇トレンドを見極められる
失っても困らない余裕資金 最悪ゼロになっても良い覚悟
リスクを完全に理解している 仕組みを説明できる

代わりにおすすめのファンド

長期の資産形成には、通常のインデックスファンドがおすすめです。

ファンド名 信託報酬 リスク
eMAXIS Slim 全世界株式 0.05775%
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 0.09372%
eMAXIS Slim NASDAQ-100 0.2035% やや高
黒澤
黒澤

NASDAQに投資したいなら、レバレッジなしのNASDAQ-100インデックスがおすすめです。レバナスと違い、長期保有でも減価の心配がありません。

まとめ

レバレッジ投資信託のリスクをまとめます。

  • レバレッジ投信は日々の値動きを2倍や3倍にする商品
  • 下落相場では損失も2倍以上
  • 「減価」により横ばい相場でも価値が減る
  • 長期投資に向かない
  • 新NISAでは対象外
  • 初心者には通常のインデックスファンドがおすすめ

「大きく儲けたい」という欲に負けず、シンプルな長期投資を心がけましょう。

よくある質問

Q
Q1. レバナスを長期積立している人もいますが、大丈夫ですか?
A

上昇相場が続けば利益が出ますが、減価のリスクは常にあります。2022年のように大きく下落すると、回復に非常に長い時間がかかります。長期積立には通常のインデックスファンドをおすすめします。

Q
Q2. レバレッジETF(SPXLやTQQQなど)も同じリスクがありますか?
A

はい、仕組みは同じです。日々の値動きを3倍にするため、減価のリスクは2倍レバレッジ以上に大きくなります。短期トレード向けの商品であり、長期保有には向きません。

Q
Q3. インバース(逆張り)ETFはどうですか?
A

インバースETFも減価のリスクがあります。「相場が下がると儲かる」と思いがちですが、長期で持つと価値が減っていきます。相場の下落を予測してもタイミングが難しく、初心者にはおすすめしません。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。