企業の規模を測る最も基本的な指標「時価総額」。
株価×発行済株式数で算出され、企業の市場価値を表す。計算方法からランキングまでわかりやすく解説する。
時価総額とは
時価総額は、企業が株式市場で評価されている「市場価値」を表す指標だ。
時価総額 = 株価 × 発行済株式数
例:株価1,000円、発行済株式数1億株の場合
→ 時価総額 = 1,000円 × 1億株 = 1,000億円
時価総額が高いほど良い会社ですか?
必ずしもそうとは限りません。時価総額は「市場からの評価」であり、将来性への期待で高くなることもあります。収益性や成長性と合わせて判断することが重要です。
株式の分類
時価総額によって、株式は大きく3つに分類される。
| 分類 | 時価総額の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 大型株 | 1兆円以上 | 安定性が高い、値動きは穏やか |
| 中型株 | 1,000億〜1兆円 | 成長と安定のバランス |
| 小型株 | 1,000億円未満 | 成長余地が大きい、値動きも大きい |
- TOPIX100(大型株):時価総額・流動性が高い上位100銘柄
- 全業種の中央値:約192億円
時価総額の変動要因
時価総額は株価の変動によって日々変化する。
上昇要因
- 業績の好調
- 新製品・サービスの発表
- M&A(買収)の発表
- 市場全体の上昇
下落要因
- 業績の悪化
- 不祥事・事故
- 競合の台頭
- 市場全体の下落
世界の時価総額ランキング
世界トップ5(2024-2025年)
| 順位 | 企業 | 時価総額(ドル) | 日本円換算(目安) |
|---|---|---|---|
| 1 | NVIDIA | 5兆ドル超 | 約760兆円 |
| 2 | Apple | 約3.4兆ドル | 約530兆円 |
| 3 | Microsoft | 約3兆ドル | 約470兆円 |
| 4 | Alphabet | 約2兆ドル | 約310兆円 |
| 5 | Amazon | 約2兆ドル | 約310兆円 |
NVIDIAは2025年に世界初の時価総額5兆ドル超えを達成した。
日本の時価総額ランキング
日本トップ5(2025年12月時点)
| 順位 | 企業 | 時価総額(円) |
|---|---|---|
| 1 | トヨタ自動車 | 約46兆円 |
| 2 | 三菱UFJ FG | 約22兆円 |
| 3 | ソフトバンクグループ | 約15兆円 |
| 4 | ソニーグループ | 約15兆円 |
| 5 | 日立製作所 | 約14兆円 |
トヨタは2位の倍以上の時価総額で、日本企業では圧倒的な存在感を持つ。
時価総額の使い方
投資判断での活用
| 目的 | 活用法 |
|---|---|
| 企業規模の把握 | 時価総額で大型・中型・小型を判断 |
| 同業他社比較 | 同じ業界内での相対的な位置づけ |
| 割安判断 | 売上高や利益と比較して割安かどうか |
PSR(株価売上高倍率)との組み合わせ
PSR = 時価総額 ÷ 売上高
- PSRが低いほど「割安」
- 成長企業の評価によく使われる
注意点
- 時価総額だけで判断しない:将来性が期待されて高くなる場合もある
- 業績との比較が重要:PERやPBRと組み合わせて判断
- 成長性も考慮:小型株は成長余地が大きいが、リスクも高い
- 市場環境の影響:株式市場全体の動向で変動
大型株と小型株、どちらに投資すべきですか?
リスク許容度によります。大型株は安定性が高く初心者向け、小型株は成長余地が大きいが値動きも激しいです。分散投資として両方に投資する方法もあります。
まとめ
時価総額は、企業の市場価値を測る基本指標だ。
- 計算式:株価 × 発行済株式数
- 大型株は1兆円以上、小型株は1,000億円未満
- 世界1位はNVIDIA(5兆ドル超)
- 日本1位はトヨタ自動車(約46兆円)
- 時価総額だけでなく、収益性や成長性も考慮が必要
企業分析の第一歩として、時価総額を理解しておこう。
よくある質問(記事のおさらい)
一般的に大型株(時価総額1兆円以上)は経営が安定しており、倒産リスクは低いとされます。ただし、株価下落リスクはあり、「安全」とは言い切れません。
時価総額を売上高で割った指標をPSR(株価売上高倍率)と呼びます。成長企業はPSRが高くなりやすく、成熟企業は低くなる傾向があります。
小型株は時価総額が小さい分、成長余地が大きく、株価が数倍になる可能性もあります。ただし、値動きが激しく、情報も少ないため、リスクも高いです。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。