日本の銀行業界を代表するメガバンク3行。
2025年4-9月期は3行とも過去最高益を更新し、金利上昇の恩恵を受けている。三菱UFJ・三井住友・みずほの違いと投資判断のポイントを解説する。
メガバンク3行の基本情報
| 項目 | 三菱UFJ FG | 三井住友 FG | みずほ FG |
|---|---|---|---|
| 証券コード | 8306 | 8316 | 8411 |
| 設立 | 2001年 | 2002年 | 2003年 |
| 売上高(2025年3月期) | 約13.6兆円 | 約9兆円 | 約7兆円 |
| 時価総額 | 約21.6兆円 | 約16兆円 | 約10兆円 |
メガバンクって何行あるんですか?
一般的に「3メガバンク」と呼ばれ、三菱UFJ、三井住友、みずほの3行を指します。りそなを加えて「4メガ」と呼ぶこともあります。
2025年4-9月期の業績
純利益(過去最高益)
| 銀行 | 純利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 三菱UFJ FG | 1兆2,929億円 | +3% |
| 三井住友 FG | 9,335億円 | +29% |
| みずほ FG | 6,899億円 | +22% |
| 3行合計 | 約2.9兆円 | +16% |
3行とも連結純利益が過去最高を記録した。
好業績の背景
日銀が2024年3月にマイナス金利政策を解除し、「金利のある世界」が到来。
- 預金金利より高い金利で貸し出す主力事業が復調
- 企業の資金需要が堅調
- 海外事業の成長
各行の強みと特徴
三菱UFJ フィナンシャル・グループ
規模で圧倒的な国内最大手。
- 売上高13.6兆円でメガバンク最大
- タイ、インドネシアでの現地子会社運営
- 海外事業比率が高い
- 新金融ブランド「エムット」を立ち上げ
- ウェルスナビ、カンム、マネーツリーを買収
三井住友フィナンシャルグループ
収益性(ROE)に強み。
- フィリピン、ベトナム市場で積極展開
- デジタル総合金融「Olive」「Trunk」
- 収益性(ROE)がメガバンクで最高水準
- 三井住友カードとの連携
みずほフィナンシャルグループ
顧客基盤と提携戦略が特徴。
- 顧客基盤の広さと企業向け総合金融
- 楽天グループとの提携強化
- 2024年12月「みずほ楽天カード」提供開始
- AI与信のUPSIDERをグループに
- 中小企業支援を強化
株主還元
配当金
| 銀行 | 2024年3月期 | 2025年3月期(予想) | 増配額 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ | 41円 | 50円 | +9円 |
| 三井住友 | 270円 | 330円 | +60円 |
| みずほ | 105円 | 115円 | +10円 |
3行とも大幅増配を発表。
自社株買い
三菱UFJと三井住友は、それぞれ1,000億円を上限に自社株買いを実施。
配当と自社株買い、どちらが投資家にとって良いですか?
配当は直接収入になり、自社株買いはEPS(1株利益)上昇による株価上昇が期待できます。高配当狙いなら配当重視、キャピタルゲイン狙いなら自社株買い重視で選ぶ方法もあります。
今後の注目ポイント
デジタル・中小企業向けサービス
メガバンクは従来、大企業〜中堅企業が主要顧客だった。
しかし今後は、デジタルやAIを活用した中小企業向けサービスの成否が、次の成長を左右する可能性がある。
金利動向
日銀の追加利上げがあれば、銀行の収益はさらに改善する見込み。
一方、景気後退や不良債権増加のリスクにも注意が必要。
投資家への示唆
株価バリュエーション
| 銀行 | 株価(目安) | PBR | 配当利回り |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ | 約1,900円 | 約1.0倍 | 約2.6% |
| 三井住友 | 約3,600円 | 約0.9倍 | 約3.0% |
| みずほ | 約3,900円 | 約0.8倍 | 約2.9% |
どれを選ぶべきか?
| 重視するポイント | おすすめ |
|---|---|
| 規模・安定性 | 三菱UFJ |
| 収益性・ROE | 三井住友 |
| 配当利回り | みずほ・三井住友 |
| デジタル戦略 | 三井住友 |
まとめ
メガバンク3行は、金利上昇の恩恵で好業績が続いている。
- 2025年4-9月期は3行とも過去最高益
- 三菱UFJ:規模最大、海外に強み
- 三井住友:収益性(ROE)、デジタル戦略
- みずほ:楽天連携、中小企業向け
- 3行とも大幅増配を実施
- 今後は金利動向とデジタル戦略が注目点
分散投資として3行すべてに投資する方法も選択肢の一つだ。
よくある質問(記事のおさらい)
三菱UFJは売上高最大で海外事業に強み、三井住友は収益性(ROE)とデジタル戦略に強み、みずほは楽天グループとの提携や中小企業向けサービスに注力しています。規模では三菱UFJ、収益性では三井住友がリードしています。
2025年3月期予想で、三菱UFJ約2.6%、三井住友約3.0%、みずほ約2.9%程度です。3行とも増配傾向にあり、高配当株として注目されています。
金利上昇は銀行にとってプラス要因です。預金金利より高い金利で貸し出す「利ざや」が拡大し、収益が改善します。2024年のマイナス金利解除後、メガバンクの業績は大きく改善しています。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。