「個別株に興味があるけど、1銘柄買うのに何十万円も必要なのはハードルが高い」——そんな方におすすめなのが単元未満株(ミニ株)です。
通常、日本株は100株単位でしか買えませんが、単元未満株なら1株から購入可能。数百円〜数千円から個別株投資を始められます。
単元未満株(ミニ株)とは
日本の株式市場では、株の売買単位は100株(1単元)と決められています。例えば、1株5,000円の銘柄を買うには、通常50万円(5,000円×100株)が必要です。
単元未満株とは、この100株に満たない株数(1〜99株)で取引できる仕組みのこと。「ミニ株」「S株」「かぶミニ」などは、証券会社ごとのサービス名称です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 単元株 | 100株(通常の取引単位) |
| 単元未満株 | 1〜99株(100株未満の取引) |
| ミニ株 | 単元未満株の通称 |
| S株 | SBI証券のサービス名 |
| かぶミニ | 楽天証券のサービス名 |
| ワン株 | マネックス証券のサービス名 |
1株から買えるなら、投資信託より個別株の方が面白そうですね。
個別株は「この会社を応援したい」という気持ちで投資できるのが魅力です。ただし、投資信託のような分散効果はないので、リスク管理には注意が必要です。
単元未満株のメリット
1. 少額から投資できる
最大のメリットは、数百円〜数千円から投資できること。100株単位では数十万円必要な銘柄も、1株なら数千円で購入できます。
| 銘柄 | 株価(例) | 100株の場合 | 1株の場合 |
|---|---|---|---|
| トヨタ自動車 | 約2,800円 | 約28万円 | 約2,800円 |
| 任天堂 | 約9,000円 | 約90万円 | 約9,000円 |
| 三菱UFJ | 約1,800円 | 約18万円 | 約1,800円 |
2. 分散投資しやすい
少額で買えるため、複数の銘柄に分散しやすくなります。10万円あれば、10〜20銘柄に分けて投資することも可能です。
高配当株投資では、複数の業種に分散することが重要です。単元未満株なら、少ない資金でも分散ポートフォリオを組めます。
3. 投資の練習になる
実際のお金を使って投資することで、デモトレードでは得られないリアルな経験を積めます。少額なら失敗しても痛手は小さいです。
4. 配当金がもらえる
1株でも株主なので、配当金を受け取る権利があります。保有株数に応じた配当金が振り込まれます。
配当利回り4%、株価2,500円の銘柄を10株保有した場合:
- 投資額:25,000円
- 年間配当:約1,000円(税引前)
単元未満株のデメリット
1. リアルタイム取引ができない(一部除く)
多くの証券会社では、単元未満株の約定は1日1〜2回に限られます。注文を出しても、すぐには約定しません。
| 証券会社 | 約定タイミング |
|---|---|
| SBI証券(S株) | 前場始値・後場始値・後場引け |
| マネックス証券(ワン株) | 後場始値 |
| 楽天証券(かぶミニ) | リアルタイム取引可能 |
楽天証券ならリアルタイムで取引できるんですね!
はい。楽天証券の「かぶミニ」は業界で唯一リアルタイム取引に対応しています(2025年12月現在)。ただし、スプレッド(売値と買値の差)が0.22%かかる点は注意が必要です。
2. 指値注文ができない
単元未満株では、基本的に指値注文(希望価格を指定する注文)ができません。成行注文のみで、約定価格はその時の市場価格になります。
3. 株主優待がもらえないことが多い
ほとんどの企業は、100株以上保有する株主を対象に株主優待を提供しています。単元未満株だけでは優待をもらえないケースが多いです。
一部の企業では1株から株主優待を提供しています。例えば、上新電機は1株保有で買い物優待券がもらえます。「端株優待」で検索すると、対象企業が見つかります。
4. 議決権がない
単元未満株の株主は、株主総会での議決権がありません。会社の意思決定に参加することはできません。
5. 利益が小さい
投資額が小さい分、リターンも小さくなります。株価が10%上がっても、1万円投資なら利益は1,000円です。
「時間をかけて調べた割にリターンが小さい」と感じることもあるでしょう。効率重視なら、投資信託で積立投資する方が手間は少ないです。
主要証券会社のサービス比較
| 証券会社 | サービス名 | 買付手数料 | 売却手数料 | 約定タイミング |
|---|---|---|---|---|
| SBI証券 | S株 | 無料 | 無料 | 1日3回 |
| 楽天証券 | かぶミニ | 無料 | 無料 | リアルタイム |
| マネックス証券 | ワン株 | 無料 | 約定代金の0.55% | 1日1回 |
| auカブコム証券 | プチ株 | 約定代金の0.55% | 約定代金の0.55% | 1日2回 |
SBI証券か楽天証券がおすすめです。どちらも売買手数料が無料で、取扱銘柄も多いです。リアルタイム取引したいなら楽天証券、約定回数を重視するならSBI証券を選びましょう。
単元未満株の買い方
SBI証券のサイトから口座開設を申し込みます。マイナンバーカードがあれば最短翌営業日に開設できます。
銀行振込やクイック入金で証券口座に資金を入金します。
「国内株式」→「S株」を選択し、購入したい銘柄を検索します。
買いたい株数を入力し、注文を確定します。成行注文のみで、指値はできません。
前場始値・後場始値・後場引けのいずれかで約定します。「注文照会」で結果を確認しましょう。
単元未満株と新NISA
単元未満株も新NISAの成長投資枠で購入可能です。配当金や売却益が非課税になるメリットを活かせます。
つみたて投資枠では単元未満株は買えません。成長投資枠を使うことになるため、年間240万円の枠と合わせて管理しましょう。
単元未満株に向いている人・向いていない人
向いている人
- 少額から個別株を試してみたい
- 複数銘柄に分散投資したい
- 投資の勉強を実践でしたい
- 高配当株を少しずつ買い増したい
向いていない人
- 短期売買(デイトレード)をしたい
- 株主優待が目的
- 大きなリターンを狙いたい
- 投資に手間をかけたくない
投資の入り口としては最適ですが、本格的に資産を増やしたいなら、投資信託との併用をおすすめします。単元未満株でお気に入り企業に投資しつつ、メインはインデックスファンドで積み立てる、というスタイルが効率的です。
まとめ
単元未満株(ミニ株)のポイントを整理します。
- 単元未満株なら1株から個別株投資が可能
- 数百円〜数千円で有名企業の株主になれる
- 配当金はもらえるが、株主優待は基本なし
- SBI証券・楽天証券なら売買手数料無料
- リアルタイム取引は楽天証券の「かぶミニ」のみ
- 新NISAの成長投資枠で非課税投資も可能
少額から個別株を始めたい方は、まず1株買ってみることから始めましょう。
よくある質問
はい。単元未満株を買い増して100株になると、通常の単元株として扱われます。株主優待の対象になり、議決権も得られます。コツコツ買い増して100株を目指すのも一つの戦略です。
はい、もらえます。保有株数に応じて配当金が支払われます。1株でも株主なので、配当を受け取る権利があります。
SBI証券(S株)と楽天証券(かぶミニ)は売買手数料無料です。ただし、楽天証券はリアルタイム取引時に0.22%のスプレッドがかかります。手数料無料の証券会社を選べば、コストは気にならないレベルです。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。