「子どもの将来のために投資を始めたい」「教育資金を効率的に準備したい」——そんな親御さんの願いが、ついに叶う時代がやってきます。
2025年12月に発表された令和8年度(2026年度)税制改正大綱で、NISAのつみたて投資枠が18歳未満にも開放されることが決まりました。2027年1月からスタート予定のこの新制度は、かつてのジュニアNISAの反省を踏まえ、より使いやすく設計されています。
この記事では、2026年NISA改正の全容と、親子で取り組む非課税投資戦略について詳しく解説します。
2026年NISA改正の概要——何が変わるのか
つみたて投資枠の年齢制限撤廃
今回の改正の最大のポイントは、NISA口座の開設可能年齢の下限(現行18歳)が撤廃されることです。
0歳から投資ができるようになるんですか?
そうなんです。生まれたばかりの赤ちゃんでもNISA口座を開設できるようになります。ただし、対象は「つみたて投資枠」のみで、親や祖父母が代わりに運用する形になります。
具体的な変更点は以下の通りです。
| 項目 | 現行制度 | 2027年1月以降 |
|---|---|---|
| 口座開設可能年齢 | 18歳以上 | 0歳以上(年齢制限なし) |
| 対象投資枠 | つみたて・成長投資枠 | 18歳未満はつみたて投資枠のみ |
| 年間投資上限 | 360万円 | 18歳未満は60万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円 | 18歳未満は600万円 |
なぜ今、改正が行われるのか
政府は「貯蓄から投資へ」の流れを加速させるため、NISA口座数の目標を3,400万口座に設定しています。2025年6月末時点で約2,700万口座に達していますが、目標達成には若年層への普及が欠かせません。
2024年1月の新NISAスタート以降、口座開設は順調に増加しています。しかし、20代以下の口座開設率は他の年代と比べて低く、この層へのアプローチが課題となっていました。
18歳未満向けNISA枠の詳細
年間60万円、総額600万円の非課税投資
18歳未満向けのNISA枠(通称「こどもNISA」)の詳細は以下の通りです。
- 年間投資上限額:60万円
- 非課税保有限度額:600万円
- つみたて投資枠のみ利用可能
- 低コストのインデックスファンドが対象
- 成長投資枠は利用不可
- 高レバレッジ投資信託は対象外
- 原則12歳まで引き出し不可
月5万円の積立ができるということですね。毎月コツコツ続けやすい金額かもしれません。
その通りです。年間60万円は月額換算で5万円。祖父母からの贈与と組み合わせれば、無理なく継続できる金額設計になっています。
12歳から引き出し可能——旧制度との大きな違い
かつてのジュニアNISAが2023年に廃止された理由は、原則18歳まで払い出し不可という厳しい制限にありました。教育資金など急な出費に対応できず、利用者は全NISA口座のわずか15%程度にとどまりました。
新制度では、以下の条件で12歳以降の払い出しが可能になります。
払い出しが可能なのは、子の入学金、教育費、または生活費の支払いのためという事由が必要です。
払い出しには、子ども本人がその払い出しに同意したことを示す書類が必要です。
同意書を含む一定の書類を口座を開設している金融機関に提出します。
災害により居住家屋が全壊した場合などは、税務署長の確認を受けることで12歳より前でも払い出しが可能です。
18歳以降は生涯非課税枠に統合
重要なポイントとして、18歳未満の期間に投資した金額は、18歳以降の生涯非課税限度額(1,800万円)に含まれます。
たとえば、0歳から17歳まで毎年60万円ずつ投資して600万円の枠を使い切った場合、18歳以降に利用できる非課税枠は1,200万円(1,800万円 - 600万円)となります。
早く始めすぎると、大人になってからの枠が減ってしまうということですか?
枠の総額という観点ではその通りです。ただし、投資は「時間」が最大の武器です。0歳から始めれば18年間の複利効果を得られます。枠の大きさよりも運用期間の長さの方が、最終的なリターンに大きく影響するでしょう。
親子で投資する具体的な戦略
戦略1:贈与税を活用した資金準備
子どもの投資資金は、親や祖父母からの贈与で準備することになります。年間60万円の投資枠は、贈与税の基礎控除(年間110万円)の範囲内ですので、贈与税の心配はありません。
| 贈与者 | 年間贈与額 | 贈与税 |
|---|---|---|
| 父母から | 60万円 | 非課税(110万円以下) |
| 祖父母から | 60万円 | 非課税(110万円以下) |
| 両方から | 120万円 | 10万円分は課税対象 |
祖父母が教育資金として孫に贈与したい場合、こどもNISAは非常に効率的な選択肢になります。
戦略2:教育資金と資産形成の二刀流
12歳から引き出し可能という設計は、中学・高校・大学の教育資金としての活用を想定しています。
0歳から毎月3万円(年36万円)を積み立てた場合:
- 12歳時点の積立元本:432万円
- 年利5%で運用した場合の想定評価額:約580万円
- 高校・大学の入学金や学費に活用可能
一方で、引き出さずに18歳まで運用を続ければ、さらに大きな資産形成が期待できます。
戦略3:お子さんの金融教育の機会に
こどもNISAは、お子さんに投資や資産形成について教える絶好の機会でもあります。
「あなたの口座で毎月お金が働いているんだよ」と説明しながら、運用状況を一緒に確認する。こうした体験が、将来の金融リテラシーにつながります。
子どもが自分のお金のことを考えるきっかけになりそうですね。
おすすめの投資対象
こどもNISAで投資できるのは、つみたて投資枠の対象商品に限られます。長期投資に適した低コストのインデックスファンドが中心です。
| ファンド種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 全世界株式(オルカン) | 世界中の株式に分散投資 | 手間なく国際分散したい人 |
| S&P500 | 米国の大企業500社に投資 | 米国経済の成長に期待する人 |
| バランス型 | 株式と債券を組み合わせ | リスクを抑えたい人 |
18年以上の長期運用を前提とするなら、株式100%のインデックスファンドが有力な選択肢といえるでしょう。
注意点とリスク
投資リスクは避けられない
非課税制度とはいえ、投資である以上、元本割れのリスクは存在します。
教育資金として確実に必要な金額は、預貯金で確保しておくことをおすすめします。こどもNISAで運用する資金は、「あれば嬉しいが、なくても困らない」という位置づけで考えましょう。
親権者の責任
18歳未満のNISA口座は、親権者が運用の責任を負います。売買の判断や商品選択は親が行いますが、あくまで子どもの資産であることを忘れないでください。
子どものお金を親が勝手に使ってしまうリスクはないんでしょうか?
12歳以降の払い出しには子どもの同意書が必要です。また、払い出し事由も「教育費・生活費」に限定されています。こうした仕組みで、親による不正利用を防いでいます。
制度開始は2027年1月
税制改正大綱は発表されましたが、正式な施行は2027年1月1日の予定です。国会での法案審議を経て、2026年中に詳細が確定する見通しです。
まとめ
2026年度NISA改正のポイントをおさらいします。
- 18歳未満もNISAのつみたて投資枠を利用可能に(2027年1月開始予定)
- 年間60万円、総額600万円までの非課税投資が可能
- 12歳から教育費等の理由で引き出し可能(旧ジュニアNISAより柔軟)
- 18歳未満の投資額は、18歳以降の生涯非課税枠(1,800万円)に含まれる
- 投資リスクは存在するため、教育資金の全額をこどもNISAに頼らない
親子で投資を始めることは、資産形成だけでなく、お子さんの金融教育にもつながります。制度の正式決定を待ちつつ、今から準備を進めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
よくある質問
2027年1月1日からの開始が予定されています。2025年12月発表の税制改正大綱に基づき、2026年中に国会で正式に法案が成立する見通しです。
月額換算で5万円です。毎月5万円ずつ積み立てれば、年間60万円の枠を使い切ることができます。ボーナス月に増額するなど、柔軟な設定も可能です。
最大の違いは引き出し可能年齢です。旧ジュニアNISAは原則18歳まで払い出し不可でしたが、新制度では12歳から教育費等の理由で引き出せます。また、年間投資上限は80万円から60万円に減少しています。
18歳になると自動的に通常のNISA口座に移行します。18歳未満で投資した金額(最大600万円)は、生涯非課税限度額の1,800万円に含まれるため、残りの1,200万円が新たに投資可能な枠となります。
可能です。年間60万円は贈与税の基礎控除(年間110万円)の範囲内なので、贈与税はかかりません。祖父母から孫への資産移転と、孫の資産形成を同時に実現できる点が魅力です。