「今使っている証券会社より、別の証券会社の方が良さそう」——NISA口座を開設した後で、こう思った方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、NISA口座の金融機関変更は可能です。ただし、いくつかの条件と注意点があります。
この記事では、NISA口座を変更する手順と注意点を解説します。
NISA口座の変更は可能
変更の条件
NISA口座の金融機関変更には、以下の条件があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 買付の有無 | その年にNISAで買付をしていないこと |
| 変更時期 | 年1回のみ変更可能 |
| 手続き期間 | 前年10月1日〜当年9月30日に手続き |
その年に1円でもNISAで買付をしていると、その年は金融機関を変更できません。翌年分からの変更となります。
新NISAでも変更OK
2024年から始まった新NISAでも、金融機関変更は可能です。ルールは旧NISAと同様です。
変更手続きの流れ
NISA口座の金融機関変更は、以下の手順で行います。
現在NISA口座がある証券会社に連絡し、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を請求します。Webから請求できる証券会社もあります。
請求から約1〜2週間で、廃止通知書が届きます。郵送が一般的です。
変更先の証券会社でNISA口座の開設申込を行います。同時に証券総合口座の開設も必要です(すでに持っている場合は不要)。
新しい証券会社に廃止通知書を提出します。郵送またはアップロードで提出します。
税務署でNISA口座の重複がないか審査されます。約1〜2週間かかります。
審査が完了すると、新しい証券会社でNISA口座が開設されます。積立設定などを行いましょう。
手続きのタイミング
ベストなタイミングは9〜12月
金融機関変更のベストなタイミングは、9〜12月です。
| 手続き時期 | 変更が適用される年 |
|---|---|
| 10月〜12月に手続き完了 | 翌年1月から新しい証券会社でNISA利用可能 |
| 1月〜9月に手続き開始 | 当年から変更可能(その年に買付していない場合) |
翌年1月から新しい証券会社でNISAを使いたいなら、10〜11月に手続きを始めるのがおすすめです。年末は混み合うことがあります。
手続き期間の目安
| 手続き | 期間 |
|---|---|
| 廃止通知書の請求〜到着 | 1〜2週間 |
| 新証券会社への提出〜審査完了 | 1〜2週間 |
| 合計 | 2〜4週間 |
変更時の注意点
注意点1:保有資産は移管できない
NISA口座を変更しても、保有している資産(株式や投資信託)は新しい証券会社に移管できません。
| 資産の扱い | 内容 |
|---|---|
| 旧証券会社の資産 | そのまま非課税で保有継続 |
| 新証券会社 | 新規買付は新しい証券会社で |
今持っているファンドはどうなるんですか?
旧証券会社のNISA口座で買った資産は、そのまま非課税で保有し続けられます。売却するまで非課税枠は使えますが、新規買付はできなくなります。気にならなければそのまま持ち続け、新しい証券会社で新規買付すればOKです。
注意点2:その年に買付していると変更できない
その年に1円でもNISAで買付をしていると、その年中は金融機関変更ができません。
1月からクレカ積立を設定していると、1月1日に買付が行われ、その年は変更できなくなります。変更を予定しているなら、積立設定を早めに解除しておきましょう。
注意点3:非課税投資枠はリセットされない
金融機関を変更しても、その年に使った非課税投資枠はリセットされません。
注意点4:2つの口座を持つことになる
変更すると、旧証券会社と新証券会社の両方に口座を持つことになります。管理が少し複雑になる点は理解しておきましょう。
主要証券会社の変更手続き
SBI証券から変更する場合
- SBI証券のWebサイトで「勘定廃止通知書」を請求
- 郵送で届く(約1週間)
- 変更先の証券会社に提出
楽天証券から変更する場合
- 楽天証券のWebサイトまたはカスタマーセンターで請求
- 郵送で届く(約1週間)
- 変更先の証券会社に提出
SBI証券や楽天証券へ変更する場合
- 現在の証券会社で廃止通知書を取得
- SBI証券・楽天証券のWebサイトからNISA口座開設申込
- 廃止通知書をアップロードまたは郵送
- 審査完了後、NISA口座開設
変更すべきかの判断基準
変更した方がいいケース
- [クレカ積立](/news/posts/credit-card-tsumitate-guide/)の還元率が大きく違う
- 投信保有ポイントの差が大きい
- 今の証券会社の使い勝手が悪い
- 手数料体系が不利
変更しなくてもいいケース
- わずかなポイント差のため(年間数百円程度)
- 今の証券会社に不満がない
- 手続きが面倒に感じる
- 旧口座の資産を売却したくない
よくある質問
一概には言えません。売却せずに保有し続けても非課税のまま運用できます。ただし、2つの口座を管理するのが面倒なら、売却して新証券会社で買い直すのも一つの選択です。売却時点で含み益があっても、NISA口座なので非課税です。
年1回までなら何度でも変更できます。ただし、頻繁に変更すると口座管理が複雑になるため、長く使える証券会社を選ぶことをおすすめします。
廃止通知書を請求した時点で、旧証券会社ではNISA買付ができなくなります。新証券会社で買付できるのは、審査完了後です。手続き期間中(2〜4週間)は買付できない期間が発生します。
まとめ
NISA口座の金融機関変更についてまとめます。
- NISA口座の金融機関変更は可能
- その年に買付していないことが条件
- 変更は年1回のみ
- 手続きは9〜12月がベスト
- 保有資産は移管できない(旧口座で非課税保有継続)
- 手続き期間は2〜4週間
- クレカ積立の還元率や使い勝手で判断
証券会社選びに後悔があるなら、早めに変更手続きを検討しましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。