「NISAで損失が出たらどうなるの？」
「損益通算できないって本当？」
NISAは「非課税」という大きなメリットがありますが、損失が出た場合のデメリットも理解しておく必要があります。
この記事では、NISAで損失が出た場合の仕組みと対処法を解説します。
NISAで損失が出たらどうなる？
損益通算ができない
通常の課税口座（特定口座・一般口座）では、損失が出た場合に他の利益と相殺して税金を減らすことができます。これを「損益通算」といいます。
しかし、NISA口座の損失は「なかったもの」として扱われるため、損益通算ができません。
| 口座 | 損益通算 |
|---|---|
| 特定口座・一般口座 | できる |
| NISA口座 | できない |
繰越控除もできない
課税口座では、その年に相殺しきれなかった損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。
しかし、NISA口座では繰越控除もできません。
なぜNISAでは損益通算できないんですか？
NISAは「利益が非課税」という特別な優遇を受けています。利益に課税されないのだから、損失も税金計算に使えない——という考え方です。
具体例で理解する
ケース1：課税口座のみの場合
| 口座 | 損益 |
|---|---|
| 特定口座A | +50万円（利益） |
| 特定口座B | -30万円（損失） |
| 課税対象 | +20万円 |
利益50万円から損失30万円を差し引いて、20万円に対して約20%（約4万円）の税金がかかります。
ケース2：NISAと課税口座の場合
| 口座 | 損益 |
|---|---|
| 特定口座 | +50万円（利益） |
| NISA口座 | -30万円（損失） |
| 課税対象 | +50万円 |
NISA口座の損失は「なかったもの」扱いのため、利益50万円全額に課税されます（約10万円の税金）。
損益通算・繰越控除ができないことは、NISAのほぼ唯一のデメリットです。ただし、長期投資で利益が出れば、非課税のメリットの方が大きくなります。
NISAで損失が出た時の対処法
1. 焦って売らない
一時的な値下がりで焦って売却すると、損失が確定してしまいます。
でも、もっと下がるかもしれませんよね？
短期的にはその可能性もあります。ただし、インデックス投資で長期保有を前提にしているなら、一時的な下落で売る必要はありません。歴史的に見れば、世界の株式市場は暴落後も回復してきました。
2. 積立投資を続ける
値下がりしている時こそ、安く買えるチャンスです。
毎月一定額を積み立てることで、高い時は少なく、安い時は多く買えます。下落時に積立をやめると、このメリットを活かせません。
3. 投資先を見直す
損失が出ている原因を冷静に分析しましょう。
- 一時的な市場全体の下落か、個別銘柄の問題か
- ハイリスクな商品に偏っていないか
- 自分のリスク許容度に合っているか
インデックスファンドで市場全体が下がっているなら、時間が解決する可能性が高いです。
4. 損失を確定させるべきケース
以下の場合は、損失を確定させることも検討します。
- その銘柄・商品に将来性を感じない
- より良い投資先が見つかった
- 現金が必要になった
ただし、新NISAでは売却すると翌年に非課税枠が復活するため、損切りのハードルは下がっています。
新NISAの非課税枠の復活
新NISAでは、売却した翌年に非課税枠が復活します。例えば、100万円で買った商品を80万円で売却した場合、翌年に100万円分（取得価額ベース）の枠が復活します。
損失が出ても、翌年に非課税枠が戻ってくるんですね！
はい。ただし、損失自体は取り戻せません。非課税枠が復活しても、損した分のお金が戻ってくるわけではないので注意してください。
NISAで損失を出さないために
長期投資を前提にする
NISAは長期・積立・分散に適した制度です。
短期売買を繰り返すと、高値で買って安値で売る「損切り」を繰り返すリスクが高まります。
分散投資を心がける
1つの銘柄に集中投資すると、その銘柄が下落した時のダメージが大きくなります。
無理のない金額で投資する
生活防衛資金を確保した上で、余裕資金で投資しましょう。
生活費を投資に回すと、下落時に売らざるを得なくなるリスクがあります。
よくある質問
取り戻せません。NISA口座の損失は税務上「存在しない」扱いのため、確定申告をしても損益通算や繰越控除はできません。
できません。NISA口座内で発生した損失は、どの口座に移しても損益通算の対象になりません。課税口座に移した後に発生した損益は対象になります。
一概には言えません。長期で回復が見込めるなら保有継続、将来性がないなら損切りも選択肢です。新NISAでは翌年に非課税枠が復活するため、より良い投資先への乗り換えもしやすくなっています。
まとめ
NISAで損失が出た場合、損益通算・繰越控除ができないというデメリットがあります。
- NISA口座の損失は「なかったもの」として扱われる
- 他の口座の利益と損益通算できない
- 対処法は焦って売らない・積立を続ける
- 新NISAでは売却翌年に非課税枠が復活
- 長期・分散投資で損失リスクを抑える
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
