「オルカンとS&P500、どっちを選べばいい?」
——この質問に対して、専門家からは新しい視点が提示されています。それは、「どちらか一択」ではなく「+α」を加えるという考え方です。
新NISA3年目。「とりあえずオルカン」から一歩進んで、資産を守りながら増やす戦略を考えてみませんか。
なぜ「+α」が必要なのか
オルカン・S&P500の「死角」
オルカン(全世界株式)とS&P500は優れた投資先ですが、万能ではありません。
オルカンの実態:
- 約60%が米国株
- 日本株は約5%
- 実質的に米国株偏重
S&P500の特徴:
- 100%米国株
- 通貨はドル建て
- 米国経済への依存度が高い
でも、米国株が一番成長してるんじゃ?
過去20年はそうでした。でも、過去の実績が未来を保証するわけではありません。2000年代の「失われた10年」では、S&P500はほぼ横ばいでした。分散の意味を考え直す時期かもしれません。
為替リスクを考える
日本に住み、円で生活する私たちにとって、為替変動は大きなリスク要因です。
具体例:
- 1ドル=150円で100万円分のS&P500を購入
- 株価は変わらず、1ドル=120円に円高進行
- 円換算で約80万円に減少(20%の損失)
株価が上がっても、円高になれば利益が相殺されます。逆に、円安になれば株価が下がっても利益が出ることもあります。
「分散」の本当の意味
オルカンは「全世界に分散」と言われますが、資産クラスは「株式」のみです。
本当の分散投資とは:
- 地域の分散(米国、日本、新興国など)
- 資産クラスの分散(株式、債券、不動産、金など)
- 通貨の分散(ドル、円、ユーロなど)
オルカンやS&P500を「軸」としつつ、異なる値動きをする資産を加えることで、ポートフォリオ全体のリスクを下げながらリターンを狙うことができます。
第3の選択肢5つ
1. 日本株ファンド
特徴:
- 為替リスクがない
- 「金利のある世界」で銀行株などが好調
- 配当利回りが比較的高い
おすすめファンド例:
- eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
- 日経平均高配当株50指数連動ETF(1489)
日本に住む以上、円建て資産を一定程度持つことは合理的です。為替リスクの「自然なヘッジ」になります。
2. 債券ファンド
特徴:
- 株式と逆の値動きをしやすい
- リスクを抑えたい人向け
- 金利上昇局面では価格下落リスク
おすすめファンド例:
- eMAXIS Slim 先進国債券インデックス
- ニッセイ国内債券インデックスファンド
金利が上がると債券は下がるんですよね?
はい、短期的にはそうです。ただし、債券は満期まで持てば額面で返ってくるので、長期投資なら金利上昇局面でも問題は限定的です。株式の下落時に「クッション」の役割を果たします。
3. ゴールド(金)
特徴:
- インフレヘッジとして機能
- 「有事の金」——株式暴落時に上昇しやすい
- 配当や利息はない
おすすめファンド例:
- 三菱UFJ純金ファンド
- SMT ゴールドインデックス・オープン
2025年、金価格は史上最高値を更新しました。インフレ懸念や地政学リスクが背景にあります。オルカンやS&P500よりも好成績を収めた年でした。
4. REIT(不動産投資信託)
特徴:
- 不動産に間接的に投資
- 株式とは異なる値動き
- 分配金利回りが高め
おすすめファンド例:
- eMAXIS Slim 国内リートインデックス
- 三井住友・DC外国リートインデックスファンド
J-REITって金利上昇に弱いんじゃ?
確かに金利上昇は逆風ですが、インフレで不動産価格や賃料が上がれば相殺される面もあります。長期的には、株式とは異なる値動きでポートフォリオの安定に貢献します。
5. 新興国株式
特徴:
- 高い経済成長への期待
- ボラティリティ(値動きの幅)が大きい
- 人口増加国が多い
おすすめファンド例:
- eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
- SBI・新興国株式インデックス・ファンド
新興国はリスクが高いため、ポートフォリオの一部(5〜15%程度)に留めるのが一般的です。
ポートフォリオ例
パターン1:オルカン中心(安定志向)
| 資産 | 比率 |
|---|---|
| オルカン | 70% |
| 日本高配当株 | 20% |
| 国内債券 | 10% |
こんな人向け:
- リスクを抑えたい
- 配当収入も欲しい
- 為替リスクを軽減したい
パターン2:S&P500中心(成長志向)
| 資産 | 比率 |
|---|---|
| S&P500 | 60% |
| 日本株(TOPIX) | 20% |
| ゴールド | 10% |
| 先進国債券 | 10% |
こんな人向け:
- 米国株の成長を取りたい
- でも分散もしたい
- インフレヘッジも考慮
パターン3:バランス重視
| 資産 | 比率 |
|---|---|
| オルカン | 50% |
| 日本株 | 20% |
| 先進国債券 | 15% |
| ゴールド | 10% |
| 新興国株式 | 5% |
こんな人向け:
- 幅広く分散したい
- リスクとリターンのバランス重視
- 長期的に安定した運用を目指す
どれが正解なんですか?
「正解」はありません。大切なのは、自分のリスク許容度と投資目的に合ったポートフォリオを選ぶことです。若い人はリスクを取れるので株式比率を高く、退職が近い人は安定志向で債券比率を高く、といった具合です。
NISAでの実践方法
つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け
| 投資枠 | 投資先例 |
|---|---|
| つみたて投資枠(年120万円) | オルカン、S&P500 |
| 成長投資枠(年240万円) | 日本高配当ETF、ゴールド、REIT |
つみたて投資枠はインデックスファンドが中心。成長投資枠でETFやその他のファンドを購入する、という使い分けがスムーズです。
段階的に構築する
いきなり複雑なポートフォリオを組む必要はありません。
オルカンまたはS&P500を「軸」として積立を開始します。これがポートフォリオの50〜70%を占めます。
為替リスク軽減のため、日本株ファンドを10〜20%追加します。日本高配当株50やTOPIXが選択肢です。
リスクを抑えたい場合は債券ファンド、インフレヘッジを意識するならゴールドを5〜10%追加します。
年に1回程度、目標の比率からずれていたら調整します。新規の積立分で調整するのが非課税枠を無駄にしない方法です。
よくある疑問
「シンプルにオルカン100%じゃダメ?」
ダメではありません。オルカン100%は合理的な選択肢の一つです。
ただし、「分散している」と思っていても実質的に米国株60%という点は理解しておくべきです。その上で「自分はこれでいい」と判断するなら問題ありません。
「複雑にすると管理が大変では?」
確かにその通りです。管理が面倒で投資を続けられなくなるなら本末転倒です。
おすすめの対処法:
- 最大でも5ファンド程度に抑える
- 全世界株式(オルカン)+ 1〜2ファンドから始める
- リバランスは年1回で十分
「バランスファンドを買えばいいのでは?」
バランスファンドは一つのファンドで複数資産に分散できる便利な商品です。
メリット:
- 自動でリバランスされる
- 管理がシンプル
デメリット:
- 信託報酬がやや高め
- 自分で比率を調整できない
「手間をかけたくない」という人にはバランスファンドも良い選択肢です。
まとめ
新NISA「第3の選択肢」についてまとめます。
なぜ+αが必要か:
- オルカン・S&P500は実質的に米国株偏重
- 為替リスクがある
- 資産クラスの分散ができていない
5つの選択肢:
- 日本株ファンド(為替リスクなし)
- 債券ファンド(リスク軽減)
- ゴールド(インフレヘッジ)
- REIT(不動産)
- 新興国株式(高成長期待)
実践のポイント:
- オルカン・S&P500を「軸」に
- 段階的にポートフォリオを構築
- 年1回のリバランスで十分
「オルカン一択」から一歩進んで、自分に合った「守りながら増やす」戦略を考えてみてください。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
よくある質問
ダメではありません。オルカン100%は合理的な選択肢です。ただし、実質的に米国株が60%を占めること、為替リスクがあることは理解しておきましょう。
為替リスク軽減なら日本株ファンド、リスク軽減なら債券ファンド、インフレヘッジならゴールドがおすすめです。投資目的に合わせて選んでください。
オルカン・S&P500を50〜70%に、第3の選択肢を合計で30〜50%程度が目安です。リスク許容度に応じて調整してください。
ファンド数を5つ程度に抑えれば管理可能です。リバランスも年1回で十分。新規の積立分で調整するのが効率的です。