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新NISAの非課税枠を使い切れなかったらどうなる?翌年繰り越しのルール
NISA・iDeCo

新NISAの非課税枠を使い切れなかったらどうなる?翌年繰り越しのルール

2025-12-16
2025-12-16 更新

新NISAで年間360万円を使い切れなかったら翌年に繰り越せる?答えはNo。ただし生涯1,800万円の枠は残ります。枠の仕組みと無理なく使う方法を解説。

新NISAで年間360万円投資できるって聞いたけど、そんなに投資できない…使い切れなかった分はどうなるの?」

この疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、年間投資枠は翌年に繰り越せません。ただし、焦る必要はありません。この記事で、新NISAの枠の仕組みを正しく理解しましょう。

新NISAの2つの「枠」

新NISAには2種類の枠があります。混同しやすいので、まず整理しましょう。

枠の種類 上限 特徴
年間投資枠 360万円/年 毎年リセット、繰り越し不可
生涯非課税保有限度額 1,800万円 累計の上限、翌年以降も使える

年間投資枠とは

1年間(1月1日〜12月31日)に投資できる上限額です。

  • つみたて投資枠:年間120万円
  • 成長投資枠:年間240万円
  • 合計:年間360万円

生涯非課税保有限度額とは

一生涯を通じて、非課税で保有できる資産の上限額です。

  • 上限:1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)

年間投資枠は繰り越せない

読者
読者

今年60万円しか投資できなかったら、来年は300万円繰り越して420万円投資できますか?

青山(独立系FP)
青山(独立系FP)

残念ながらできません。年間投資枠は毎年1月1日にリセットされ、使い切れなかった分は消滅します。来年も上限は360万円のままです。

具体例

2024年:つみたて投資枠120万円のうち、60万円しか投資できなかった

  • 残り60万円は繰り越せない

2025年:年間投資枠がリセット

  • 投資できるのは360万円(前年の残り60万円は加算されない)
ポイント

年間投資枠は「その年だけの権利」です。使い切れなくても焦る必要はありませんが、毎年リセットされることは覚えておきましょう。

生涯枠は翌年以降も使える

一方、生涯非課税保有限度額(1,800万円)は、使わなかった分が翌年以降に引き継がれます。

具体例

  • 2024年:60万円投資 → 生涯枠の残り1,740万円
  • 2025年:120万円投資 → 生涯枠の残り1,620万円
  • 生涯枠1,800万円に達するまで、何年かけてもOK
青山
青山

生涯枠は「一生涯の上限」なので、毎年フルに360万円投資できなくても問題ありません。自分のペースで1,800万円を目指せばOKです。

売却したら枠は復活する?

新NISAでは、保有商品を売却すると、翌年以降に非課税枠が復活します。これは旧NISAにはなかった大きなメリットです。

注意点:復活するのは「取得価額」

復活する枠は、売却時の時価ではなく取得時の価額(買った時の金額)です。

例:100万円で買った投資信託が150万円に値上がりして売却

  • 売却時の時価:150万円
  • 復活する非課税枠:100万円(取得価額)
タイミング

枠が復活するのは売却した翌年です。同じ年には復活しません。

年間360万円を使い切る必要はない

読者
読者

毎年360万円投資しないともったいないですか?

青山
青山

そんなことはありません。大切なのは無理のない範囲で継続することです。年間360万円は「上限」であって「義務」ではありません。

現実的な投資ペースの例

毎月の積立額 年間投資額 生涯枠1,800万円に達する期間
1万円 12万円 150年(実質達しない)
3万円 36万円 50年
5万円 60万円 30年
10万円 120万円 15年
20万円 240万円 7.5年
30万円 360万円 5年
考え方

多くの人は毎月3〜10万円程度の積立が現実的です。15年以上かけて1,800万円を埋めるペースでも、十分な資産形成が可能です。

年末ギリギリの投資に注意

「今年の枠を使い切ろう」と年末ギリギリに投資する場合、以下の点に注意が必要です。

約定日と受渡日の違い

投資信託の場合、注文してから実際に買付が完了するまで数日かかります。

  • 注文日:注文を出した日
  • 約定日:取引が成立した日
  • 受渡日:実際に購入が完了する日

新NISAの「その年の投資」としてカウントされるのは「受渡日」ベースです。年末ギリギリに注文しても、受渡日が翌年になると、翌年の枠を使うことになります。

目安

年内に枠を使い切りたい場合は、12月中旬までに注文を完了させましょう。年末年始は休業日も多いため、余裕を持った計画が必要です。

枠を使い切れない人へのアドバイス

1. 無理に使い切ろうとしない

年間360万円を使い切れなくても、生涯枠は残っています。焦って投資を増やす必要はありません

2. 積立額を少しずつ増やす

余裕ができたら、積立額を月1万円ずつ増やすなど、無理のないペースで投資額を増やしましょう。

3. ボーナス時にスポット投資

毎月の積立に加えて、ボーナス時にまとまった金額を投資する方法もあります。楽天証券やSBI証券では「ボーナス月設定」も可能です。

4. 生活防衛資金を優先

投資枠を埋めることより、生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)を確保することの方が優先です。投資は余剰資金で行いましょう。

まとめ

新NISAの非課税枠について、ポイントを整理します。

  • 年間投資枠(360万円)は翌年に繰り越せない
  • 生涯非課税枠(1,800万円)は翌年以降も使える
  • 売却すると翌年以降に枠が復活(取得価額ベース)
  • 毎年360万円を使い切る「義務」はない
  • 無理のないペースで継続することが大切
  • 年末ギリギリの投資は受渡日に注意

焦らず、自分のペースで資産形成を続けましょう。

よくある質問

Q
Q1. 今年使い切れなかった年間投資枠は来年に繰り越せますか?
A

いいえ、繰り越せません。年間投資枠は毎年1月1日にリセットされ、使い切れなかった分は消滅します。ただし、生涯枠(1,800万円)は翌年以降も使えるので、焦る必要はありません。

Q
Q2. 新NISAで売却したら非課税枠は復活しますか?
A

はい、翌年以降に復活します。ただし、復活するのは売却時の時価ではなく「取得価額」(買った時の金額)です。同じ年には復活しない点も注意してください。

Q
Q3. 毎年360万円投資しないともったいないですか?
A

そんなことはありません。360万円は「上限」であって「義務」ではありません。毎月5万円(年60万円)のペースでも30年で1,800万円に達します。無理のない範囲で継続することが大切です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。