米国株市場で圧倒的な存在感を放つNVIDIA。
2024年12月、トランプ大統領が同社の最新AIチップ「H200」の対中輸出を条件付きで許可したことで、株価が上昇しました。
この決定が意味するものと、NVIDIA株の今後について解説します。
H200チップとは
NVIDIAの最新AI向けGPU
H200は、NVIDIAの「Hopper」アーキテクチャに基づく最新のAI向けチップです。
- 先代H100のアップグレード版
- 141GBのHBM3eメモリ搭載
- メモリ帯域幅4.8TB/s
- TSMCの4nm製造プロセス
- 販売価格:1枚約600万円(税抜)
ChatGPTなどの生成AIを動かすには、大量のAIチップが必要です。H200は、その中でも最高性能を誇るチップの一つです。
1枚600万円って、すごい値段ですね...
はい、一般消費者向けではなく、データセンター向けの製品です。Microsoft、Google、Amazonなどの大手テック企業が大量に購入しています。
対中輸出緩和の背景
バイデン政権の規制からの方針転換
バイデン政権下では、中国への高性能AIチップ輸出を厳しく規制していました。
これは、AI技術が軍事利用される懸念からでした。
しかし、トランプ大統領就任後、2025年12月に方針を転換。H200の対中輸出を条件付きで許可しました。
条件付き許可の内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 「承認された顧客」への販売 |
| 関税 | 15〜25%(従来より引き上げ) |
| 審査 | 商務省が取り決めを最終調整中 |
関税がかかるなら、中国企業は買わないのでは?
関税分を上乗せしても、NVIDIAのチップは代替が難しいんです。AI開発には最先端チップが必須なので、需要は続くと見られています。
NVIDIA株への影響
株価上昇の理由
対中輸出緩和のニュースを受けて、NVIDIA株は上昇しました。
理由は明確です。
- 中国市場での売上増加期待:世界最大のAI市場の一つ
- 規制リスクの後退:政策変更で不透明感が解消
- 収益見通しの改善:アナリストの業績予想引き上げ
アナリストの評価
| 証券会社 | 評価 | 目標株価 |
|---|---|---|
| バーンスタイン | アウトパフォーム | 275ドル |
| ウェドブッシュ | アウトパフォーム | 250ドル以上 |
バーンスタイン・ソシエテ・ジェネラル・グループは、このニュースを受けて「アウトパフォーム」評価を再確認し、目標株価275ドルを維持しました。
投資判断のポイント
NVIDIA株のメリット
- AI市場の圧倒的なリーダー
- 高い利益率(粗利率70%超)
- 継続的な技術革新
- データセンター需要は成長継続
- 高いバリュエーション(PER 30倍以上)
- 競合の追い上げ(AMD、Intelなど)
- 政策変更リスク
- AI投資バブル崩壊リスク
日本から投資する方法
NVIDIA株は日本からも買えますか?
はい、SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券で米国株として購入できます。新NISAの成長投資枠でも購入可能です。
ただし、米国株には為替リスクがあることを忘れずに。円高になると、株価が上がってもリターンが相殺される可能性があります。
インデックス経由という選択肢
個別株投資に抵抗がある場合は、インデックスファンド経由でNVIDIAに投資する方法もあります。
| ファンド | NVIDIAの組入比率(目安) |
|---|---|
| S&P500 | 約6〜7% |
| NASDAQ100 | 約8〜9% |
| 半導体ETF(SOX連動) | 約10%以上 |
インデックスファンドなら、NVIDIAだけでなく他のテック企業にも分散されます。個別株リスクを抑えつつ、成長の恩恵を受けられます。
今後の注目点
2025年に確認すべきこと
- 決算での中国売上:実際に売上が増加しているか
- 新製品「Blackwell」の動向:次世代チップの需要
- 政策変更リスク:トランプ政権の対中政策
- 競合の動き:AMD、Intelの追い上げ
NVIDIAは今、AI時代の「勝ち組」ですが、テクノロジー業界は変化が激しい。継続的にウォッチすることが大切です。
まとめ
- トランプ大統領がH200チップの対中輸出を条件付きで許可
- 中国市場での売上増加期待でNVIDIA株が上昇
- バーンスタインは目標株価275ドル、「アウトパフォーム」評価
- 高いバリュエーションや政策リスクには注意
- インデックス経由で分散投資する方法も
よくある質問
AI市場の成長は始まったばかりという見方が主流です。ただし、株価は期待を織り込んでおり、高値掴みのリスクもあります。一括購入より、分割購入でタイミングを分散させることをおすすめします。
はい、成長投資枠で米国株として購入可能です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などで取り扱いがあります。
AMDやIntelがAI向けチップを開発していますが、現時点ではNVIDIAが圧倒的なシェアを持っています。ただし、テクノロジー業界は競争が激しく、将来的には勢力図が変わる可能性もあります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。