「謎のAI企業」として知られるPalantir Technologies。
CIAや米軍との取引で知られ、2024年にはS&P500・NASDAQ100に採用されて株価が急騰した。その実態と投資家が知るべきポイントを解説する。
Palantirの基本情報
Palantir(パランティア)は、ビッグデータ分析プラットフォームを専門とする米国企業だ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Palantir Technologies Inc. |
| 設立 | 2003年 |
| 本社 | 米国コロラド州デンバー |
| CEO | アレックス・カープ |
| 創業者 | ピーター・ティール他 |
| 上場市場 | NASDAQ(ティッカー:PLTR) |
| 時価総額 | 約4,300億ドル(約65兆円) |
ピーター・ティールって、あのPayPalの創業者ですか?
その通りです。PayPal共同創業者であり、Facebook初の外部投資家としても知られる著名投資家です。9.11同時多発テロ後のテロ対策支援のため、Palantirを創業しました。
設立の経緯
Palantirは、2001年の米同時多発テロ後に設立された。
テロ対策支援のため、米諜報機関向けにビッグデータ解析ソフトウェアの構築を始めたことが事業の発端だ。社名の「Palantir」は、J.R.R.トールキンの『指輪物語』に登場する「見る石」に由来する。
主力製品
Palantirは4つの主要プラットフォームを展開している。
1. Gotham(政府向け)
軍やテロ対策アナリストが使用する情報分析ツール。
- CIA(中央情報局)
- 米国防総省
- 各国の情報機関
2008年にリリースされた最初のプラットフォームで、テロリストの追跡や軍事作戦の支援に使用されている。
2. Foundry(企業向け)
商業課題に対処するためのデータ分析プラットフォーム。
2016年にリリースされ、製造業、金融、ヘルスケアなど様々な業界で活用されている。
3. Apollo
クラウド環境でのソフトウェア運用を支援するプラットフォーム。2021年に展開開始。
4. AIP(AI Platform)
2023年にリリースされた、AIを活用した業務支援プラットフォーム。
生成AIを企業の既存システムに統合し、ビジネスプロセスを自動化する。現在、最も成長している分野。
業績と主要契約
業績推移
| 指標 | 2024年 |
|---|---|
| 顧客数 | 711社・団体 |
| 収益成長率 | 前年比20%超 |
| 株価(S&P500最高) | 予想売上高の85倍 |
大型契約
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2024年11月 | 米海軍と約10億ドルの契約 |
| 2025年 | 米陸軍と最大100億ドル(10年間)の契約 |
米陸軍との契約は、75の個別契約を1つに統合する大規模なものだ。
株価の急騰と論争
S&P500・NASDAQ100採用
2024年、PalantirはS&P500とNASDAQ100の両方に採用された。
これにより株価は急騰し、時価総額は4,000億ドルを超えた。
割高論争
一方で、The Economistは Palantirを「史上最も過大評価された企業」と評した。
- 時価総額4,300億ドルは2024年の収益の600倍以上
- S&P500で最も高いPER(予想売上高の85倍)
- 成長期待が株価を押し上げている状況
日本での展開
Palantirは日本市場にも進出している。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2019年11月 | SOMPOと共同で日本法人設立 |
| 2020年11月 | 富士通が5,000万ドル出資 |
| 2023年12月 | 富士通がStrategic Alliance Partnerに |
富士通との提携により、日本市場だけでなく北米・欧州・APACへも事業領域を拡大している。
投資家が注目すべきポイント
強み
- 政府との強固な関係:CIAや米軍との長期契約
- AIPの成長:AI活用プラットフォームが急拡大
- 競合障壁:機密情報を扱うため参入障壁が高い
リスク
- 割高なバリュエーション:PERが極めて高い
- 政府依存:政府予算の変動に影響される
- 地政学リスク:政治的な変化の影響を受けやすい
投資するには怖い株価水準ですね…
確かに割高感は否めません。ただ、AI活用が進む中で政府・企業両方からの需要は拡大しています。長期目線で、成長が続くかどうかを見極める必要があります。
日本での投資方法
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 米国株直接購入 | SBI証券、楽天証券等で購入可能 |
| 投資信託 | NASDAQ100連動型に含まれる |
| ETF | QQQ等で間接投資 |
まとめ
Palantirは、政府系ビッグデータ分析で成長を続けるAI企業だ。
- ピーター・ティールが9.11後に創業
- CIA、米軍など政府機関が主要顧客
- AI活用プラットフォーム「AIP」が急成長
- 2024年S&P500・NASDAQ100に採用で株価急騰
- 割高なバリュエーションが論争に
成長期待は高いが、高いバリュエーションにはリスクも伴う。投資判断は慎重に行うべき銘柄だ。
よくある質問(記事のおさらい)
Palantirは、ビッグデータ分析プラットフォームを提供する米国企業です。政府機関向けの「Gotham」、企業向けの「Foundry」、AI活用支援の「AIP」などのプラットフォームを展開しています。
CIAや米軍など情報機関との取引が多く、機密性の高い業務を扱っているためです。創業者ピーター・ティールの存在や、テロ対策を発端とした設立経緯も神秘性を高めています。
はい、SBI証券や楽天証券などで米国株として購入できます。また、2024年にNASDAQ100に採用されたため、NASDAQ100連動型の投資信託やETF(QQQ等)を通じた投資も可能です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。