「60代も働き続けるなら、年金は減らされるんでしょ?」
——これまでの常識が変わります。
2026年4月、年金制度が大きく改正されます。在職老齢年金の支給停止基準が50万円から62万円に引き上げられ、約20万人が新たに満額受給可能に。さらにiDeCoの加入年齢も70歳未満まで延長されます。
働きながら年金を受け取る人、60代後半も資産形成を続けたい人——両方にとって朗報です。
在職老齢年金の改正
支給停止基準の引き上げ
在職老齢年金って、何のことですか?
65歳以上で働きながら厚生年金を受け取る場合、給与と年金の合計が一定額を超えると、年金が減額される仕組みです。これまでは月50万円が基準でしたが、2026年4月から62万円に引き上げられます。
| 項目 | 改正前 | 改正後(2026年4月〜) |
|---|---|---|
| 支給停止基準 | 月50万円 | 月62万円 |
| 対象年齢 | 65歳以上 | 65歳以上 |
| 影響人数 | - | 約20万人が新たに満額受給 |
具体的な計算例
具体的にどれくらい変わるんですか?
例えば、年金が月15万円、給与が月40万円の場合を見てみましょう。
改正前(基準50万円):
- 年金+給与=55万円
- 基準超過分:55万円−50万円=5万円
- 年金カット:5万円÷2=2.5万円
- 実際の年金:15万円−2.5万円=12.5万円
改正後(基準62万円):
- 年金+給与=55万円
- 基準62万円以下なのでカットなし
- 実際の年金:15万円(満額)
この例では、年間30万円の差が出ます。60代後半も働き続ける人にとって、大きな変化です。
誰がメリットを受けるか
特に恩恵が大きい人:
- 65歳以降もフルタイムで働く予定の人
- 役員報酬や専門職で高収入の人
- 再雇用で給与が下がったが、それでも高めの人
働く意欲が高い人にとっては朗報ですね!
その通りです。「働くと年金が減る」という心理的なブレーキが緩和されます。人手不足対策として、政府は高齢者の就労を促したいという意図もあります。
iDeCoの改正
加入年齢の延長
iDeCoも変わるんですか?
はい、大きく変わります。現在は65歳未満が加入条件ですが、2027年1月から70歳未満まで延長されます。65歳以降も働き続ける人は、さらに5年間、節税しながら資産形成できるようになります。
| 項目 | 現行 | 改正後(2027年1月〜) |
|---|---|---|
| 加入年齢上限 | 65歳未満 | 70歳未満 |
| 第1号(自営業等)上限 | 月68,000円 | 月75,000円 |
| 第2号(会社員)上限 | 月23,000円 | 月62,000円 |
加入年齢延長と掛金上限引き上げは2027年1月施行です。2026年4月の改正とは時期が異なるので注意してください。
5年延長の効果
5年延長されると、どれくらい違いますか?
仮に月2万円を65歳から70歳まで5年間積み立てると、元本だけで120万円。さらに年収500万円の人なら、5年間で約30万円の節税効果が見込めます。運用益も非課税なので、複利効果も期待できます。
5年間の効果(月2万円積立の場合):
- 積立元本:120万円
- 節税効果(年収500万円の場合):約30万円
- 運用益(年3%想定):約9万円(非課税)
その他の改正ポイント
106万円の壁の見直し
2026年4月から、社会保険の適用拡大も段階的に進みます。
「106万円の壁」ってなくなるんですか?
完全になくなるわけではありませんが、段階的に緩和されます。従業員50人超の企業では、週20時間以上勤務のパート・アルバイトも社会保険に加入する流れが続いています。
厚生年金の算定上限
| 時期 | 標準報酬月額上限 |
|---|---|
| 現行 | 65万円 |
| 2027年 | 段階的引き上げ開始 |
| 2029年 | 75万円 |
高所得者の年金保険料と将来の受給額が増える改正です。65万円超の給与がある人は、保険料が増える一方、将来の年金も増えます。
今から準備すべきこと
2026年4月に向けて
チェックリスト:
- 自分の年金見込み額を確認(ねんきんネット)
- 在職老齢年金の支給停止に該当しているか確認
- 65歳以降の働き方・収入計画を検討
- 会社員は会社の再雇用制度を確認
2027年1月に向けて
iDeCo活用のための準備:
- 現在のiDeCo加入状況を確認
- 65歳以降も拠出を続けるか検討
- 運用商品の見直し(年齢に応じたリスク調整)
- 受取方法(一時金 or 年金)の検討
早めに準備しておくと安心ですね。
その通りです。特にiDeCoは手続きに時間がかかる場合があるので、2027年1月に向けて余裕を持って準備しましょう。
「ねんきんネット」では、将来の年金見込み額をシミュレーションできます。在職老齢年金の影響も試算できるので、改正後にどう変わるか確認してみましょう。
まとめ
2026年4月からの年金改革、ポイントをまとめます。
在職老齢年金の改正(2026年4月〜):
- 支給停止基準:50万円→62万円
- 約20万人が新たに満額受給可能
- 働く高齢者の「年金減額」が緩和
iDeCoの改正(2027年1月〜):
- 加入年齢:65歳→70歳まで延長
- 掛金上限:第1号75,000円、第2号62,000円
- 5年間で約30万円の追加節税も可能
今から準備すること:
- ねんきんネットで年金見込み額を確認
- 65歳以降の働き方を計画
- iDeCoの運用・受取方法を検討
「長く働く」時代の制度設計——年金改革は、60代後半も現役で働く人を後押しする方向に進んでいます。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
よくある質問
2026年4月から施行されます。支給停止基準が月50万円から月62万円に引き上げられ、約20万人が新たに満額受給可能になります。
2027年1月から、70歳未満まで加入可能になります。現行は65歳未満が条件です。同時に掛金上限も引き上げられます。
年金と給与の合計が基準額(改正後62万円)を超えた分の半額が、年金からカットされます。超えなければ満額受給できます。
ねんきんネットで年金見込み額を確認し、65歳以降の働き方を計画しましょう。iDeCoは手続きに時間がかかるため、早めの検討をおすすめします。