株式投資で銘柄を分析する際に欠かせない「PER」「PBR」「ROE」。
この3つの指標を理解すれば、割安株や成長株を見極める基礎が身につく。計算方法から活用法までわかりやすく解説する。
PER(株価収益率)とは
基本
PER(Price Earnings Ratio)は「株価収益率」とも呼ばれ、株価が利益の何倍かを示す指標だ。
PER = 株価 ÷ 1株あたりの純利益(EPS)
例:株価1,500円、EPS100円の場合
→ PER = 1,500 ÷ 100 = 15倍
意味
PERは「今の株価を回収するのに、利益何年分必要か」を表す。
- PER15倍 → 今の利益が15年続けば株価分の利益を得られる
- PERが低いほど「割安」と判断される
目安
| PER | 判断 |
|---|---|
| 15倍未満 | 割安 |
| 15倍程度 | 適正 |
| 15倍以上 | 割高 |
PERが低ければ必ず買いですか?
いいえ、業種によって目安は異なります。成長企業はPER50倍以上でも買われることがあり、成熟産業はPER10倍でも割高とみなされることもあります。同業種内で比較するのが基本です。
PBR(株価純資産倍率)とは
基本
PBR(Price Book-value Ratio)は「株価純資産倍率」とも呼ばれ、株価が純資産の何倍かを示す指標だ。
PBR = 株価 ÷ 1株あたりの純資産(BPS)
例:株価1,000円、BPS1,000円の場合
→ PBR = 1,000 ÷ 1,000 = 1倍
意味
PBRは「株価が会社の解散価値の何倍か」を表す。
- PBR1倍 → 株価と純資産が同じ=会社を解散したら株価分が戻る
- PBR1倍未満 → 純資産より株価が安い=「解散価値割れ」で割安
目安
| PBR | 判断 |
|---|---|
| 1倍未満 | 割安(解散価値割れ) |
| 1倍 | 解散価値と同等 |
| 1倍以上 | 成長期待を織り込み |
日本企業はPBR1倍割れの企業が多く、東証から改善要請が出されている。
ROE(自己資本利益率)とは
基本
ROE(Return On Equity)は「自己資本利益率」とも呼ばれ、株主のお金をどれだけ効率的に利益に変えたかを示す指標だ。
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)
例:純利益100億円、自己資本1,000億円の場合
→ ROE = 100 ÷ 1,000 × 100 = 10%
意味
ROEは「株主が投資したお金で、会社が何%の利益を稼いだか」を表す。
- ROEが高いほど「経営効率が良い」と評価される
- 投資家は自分のお金が効率よく増えることを望む
目安
| ROE | 判断 |
|---|---|
| 10%以上 | 効率的な経営 |
| 8%程度 | 平均的 |
| 5%以下 | 改善が必要 |
3つの指標の関係
PER・PBR・ROEには重要な関係式がある。
PBR = PER × ROE
または
ROE = PBR ÷ PER
関係式の意味
- 高ROEの企業はPBRが高くなりやすい(成長期待)
- 高ROEの企業はPERも高くなりやすい(割高に見える)
投資判断への活用
「高ROEで低PBR」の企業があれば、割安の可能性がある。
例えば:
- ROE15%(効率的)
- PBR0.8倍(解散価値割れ)
→ 市場に見落とされている「お宝銘柄」かもしれない
実践的な活用法
同業他社との比較
| 銘柄 | PER | PBR | ROE | 判断 |
|---|---|---|---|---|
| A社 | 10倍 | 0.8倍 | 8% | 割安? |
| B社 | 20倍 | 1.5倍 | 7.5% | 割高? |
| C社 | 15倍 | 1.2倍 | 8% | 適正? |
A社は同業他社と比べてPER・PBRが低く、ROEも遜色ないため、割安の可能性がある。
注意点
- 業種によって適正水準は異なる
- 一時的な利益で指標が歪むことがある
- 1つの指標だけで判断しない
- 成長性や将来性も考慮が必要
まとめ
PER・PBR・ROEは、株式投資の基本指標だ。
- PER(株価収益率):15倍未満が割安の目安
- PBR(株価純資産倍率):1倍未満が割安の目安
- ROE(自己資本利益率):10%以上が効率的
- 関係式:PBR = PER × ROE
- 「高ROEで低PBR」は割安の可能性
これらの指標を組み合わせて、投資判断に活用しよう。
よくある質問(記事のおさらい)
どちらか一方ではなく、両方を見るべきです。PERは収益性、PBRは資産価値を見る指標です。成長株はPERが重視され、バリュー株はPBRが重視される傾向があります。
必ずしもそうとは限りません。ROEは負債を増やすことでも上昇します(財務レバレッジ)。負債が多すぎると経営リスクが高まるため、ROEだけでなく自己資本比率も確認すべきです。
証券会社のアプリやウェブサイト、Yahoo!ファイナンス、四季報などで確認できます。SBI証券や楽天証券のスクリーニング機能を使えば、PER15倍以下などの条件で銘柄を検索することも可能です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。