「不動産投資で不労所得を得ませんか?」——こんな電話営業を受けたことはありませんか?
特に会社員をターゲットにしたワンルームマンション投資は、実は落とし穴だらけです。この記事では、ワンルーム投資の現実と、失敗しない方法を解説します。
ワンルーム投資とは
基本的な仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投資対象 | 都心のワンルームマンション1室 |
| 購入方法 | ローン(35年など) |
| 収入 | 家賃収入 |
| 支出 | ローン返済、管理費、修繕積立金、固定資産税など |
営業トークの例
- 「月々わずかな負担で資産形成」
- 「節税になります」
- 「年金代わりになります」
- 「家賃保証があるので安心」
- 「都心は値下がりしません」
ワンルーム投資の落とし穴
落とし穴1:新築プレミアムで割高
| 物件 | 価格 | 表面利回り |
|---|---|---|
| 新築ワンルーム | 3,000万円 | 3〜4% |
| 中古ワンルーム(同エリア) | 2,000万円 | 5〜6% |
新築ワンルームは広告費や営業マンの人件費が上乗せされています。購入した瞬間に2〜3割の価値が下がるケースも珍しくありません。
落とし穴2:実質利回りはもっと低い
| 項目 | 金額(年間) |
|---|---|
| 家賃収入 | 96万円(月8万円) |
| 管理費・修繕積立金 | -18万円 |
| 固定資産税 | -10万円 |
| 管理委託費 | -5万円 |
| 空室・滞納リスク | -5万円 |
| 実質収入 | 58万円 |
| 3,000万円の物件なら利回り | 約1.9% |
営業マンが言う「利回り4%」は、経費を引く前の表面利回りです。実質利回りは1〜2%程度まで下がることも。
落とし穴3:「節税」の正体
「節税になる」と言われますが、それは不動産投資で赤字が出ているからです。
節税って良いことじゃないんですか?
赤字で節税しても、結局は損をしています。「100万円の赤字で20万円節税」は、80万円の損失です。黒字で税金を払う方がはるかにマシです。
落とし穴4:サブリース(家賃保証)の罠
「空室でも家賃保証」と言われますが:
- 家賃保証額は数年ごとに見直し(減額)
- 解約には高額な違約金
- サブリース会社が倒産するリスク
落とし穴5:売却時の損失
| 時期 | 購入価格 | 売却価格 | 損益 |
|---|---|---|---|
| 購入時 | 3,000万円 | - | - |
| 10年後 | - | 2,100万円 | -900万円 |
| 20年後 | - | 1,500万円 | -1,500万円 |
よくある失敗パターン
パターン1:営業電話で即決
「今日契約すれば特別価格」などの言葉に押されて、その場で契約してしまう。
パターン2:シミュレーションを鵜呑み
営業マンが作る収支シミュレーションは、都合の良い数字で作られています。空室率や修繕費が甘く見積もられていることが多いです。
パターン3:ローンの重さを甘く見る
35年ローンを組むと、その間に転職や病気で収入が減った場合、返済が困難になります。
不動産に投資するならREIT
REITとは
J-REIT(不動産投資信託)は、多くの投資家から資金を集めて不動産に投資し、賃料収入や売却益を分配する商品です。
| 項目 | ワンルーム投資 | J-REIT |
|---|---|---|
| 最低投資額 | 数千万円 | 数万円〜 |
| 分散投資 | 1物件のみ | 数十〜数百物件 |
| 流動性 | 売却に時間がかかる | すぐ売れる |
| 管理の手間 | あり | なし |
| 配当利回り | 1〜2% | 3〜5% |
不動産に投資したいなら、J-REITの方が圧倒的におすすめです。少額から始められ、分散投資ができ、いつでも売却できます。
おすすめのREIT投資方法
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| J-REIT ETF | 複数のREITに分散投資 |
| 東証REIT指数連動ファンド | 投資信託で手軽に |
| 個別J-REIT | 特定の物件タイプに投資 |
よくある質問
いいえ。ただし、成功するには不動産の知識、物件を見極める目、管理のノウハウが必要です。「初心者でも簡単」という営業トークを鵜呑みにしないことが大切です。
節税目的の不動産投資は、赤字を出して税金を減らすものです。赤字を出す投資は「投資」ではなく「損失」です。節税したいならiDeCoの方が確実です。
まず冷静に収支を計算してください。赤字が続くなら、損切りで売却することも選択肢です。「損を確定させたくない」と持ち続けると、損失が拡大する可能性があります。
まとめ
ワンルーム投資の落とし穴をまとめます。
- 新築プレミアムで割高購入になる
- 実質利回りは1〜2%まで下がる
- 「節税」は赤字だから税金が減るだけ
- サブリース(家賃保証)は数年で減額される
- 売却時に大損するリスク
- 不動産に投資するならJ-REITがおすすめ
電話営業や「簡単に儲かる」という言葉には騙されないようにしましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。