2024年の日本株市場で、最も明暗が分かれたのが半導体関連株でした。
同じ「半導体株」というカテゴリーでも、90%以上上昇した銘柄と60%近く下落した銘柄があります。
なぜこれほど差がついたのか、そして2026年はどうなるのかを解説します。
2024年の半導体株 騰落ランキング
上昇した銘柄
| 銘柄 | 2024年騰落率 | 主な要因 |
|---|---|---|
| アドバンテスト | +91.7% | AI向け半導体テスト需要 |
| ソフトバンクG | +46.0% | 子会社Arm株の上昇 |
| ディスコ | +30%程度 | 半導体製造装置好調 |
下落した銘柄
| 銘柄 | 2024年騰落率 | 主な要因 |
|---|---|---|
| レーザーテック | -59.2% | 空売りファンドの標的 |
| 信越化学工業 | -10.5% | シリコンウェハー需要低迷 |
| 東京エレクトロン | -4.2% | 下半期に失速 |
同じ半導体株なのに、なぜこんなに差がついたんですか?
「半導体」と一口に言っても、事業内容は様々です。AI向けに強い企業は恩恵を受け、そうでない企業は苦戦しました。
上昇・下落の理由を分析
アドバンテストが+91%上昇した理由
アドバンテストは、半導体の「テスト(検査)装置」を製造する企業です。
- AI向け半導体(GPU)のテスト需要が急増
- NVIDIAなど大手顧客との取引
- 競合が少なく、高いシェアを維持
ChatGPTの登場以降、AI向け半導体の需要が爆発的に増加。その製造に欠かせないテスト装置を手がけるアドバンテストは、まさに「AI銘柄」として買われました。
レーザーテックが-59%急落した理由
一方、レーザーテックは空売りファンドの標的となり、株価が急落しました。
2024年、米国の空売りファンドがレーザーテックに対するレポートを発表。不正会計の疑惑などが指摘され、株価は大きく下落しました。
空売りファンドって何ですか?
株価が下がると利益が出る「空売り」をして、その後にネガティブな情報を発表する投資ファンドです。狙われた銘柄は急落することがあります。
東京エレクトロンが失速した理由
2023年に94%上昇した東京エレクトロンは、2024年は-4%と失速しました。
主な要因:
- 台湾有事リスクへの懸念(トランプ氏の発言)
- オランダASMLの2025年見通し悪化
- 半導体製造装置の需要サイクル
半導体産業には「シリコンサイクル」と呼ばれる需要の波があり、約3〜4年周期で好況・不況を繰り返します。2024年後半は調整局面に入った可能性があります。
2026年の半導体株 注目ポイント
1. AI投資は継続するか
半導体株の行方を左右するのは、AI向け投資の継続性です。
- 生成AIの普及は始まったばかり
- データセンター投資は引き続き活発
- Microsoft、Google、Amazonなど大手のAI投資継続
- AI投資の「期待先行」感も
- 収益化の遅れで投資が減速する可能性
- バブル崩壊リスク
2. 政府の支援策
日本政府は2030年度までに10兆円以上の半導体支援を計画しています。
| 分野 | 支援規模 |
|---|---|
| 次世代半導体(研究開発) | 約6兆円 |
| 金融支援(出資・債務保証) | 約4兆円以上 |
| 従来型半導体支援 | 約9,900億円 |
ラピダス(次世代半導体製造)など、国策銘柄への期待も高まっています。
3. 地政学リスク
半導体産業は、地政学リスクの影響を受けやすい分野です。
- 台湾リスク:TSMCが集中する台湾の地政学的緊張
- 米中対立:輸出規制の影響
- トランプ政権の政策:関税や貿易政策の変更
半導体は成長産業ですが、地政学リスクは常に意識しておく必要があります。分散投資を心がけましょう。
2026年、個別株は買いか?
初心者はインデックスが無難
半導体株は値動きが大きく、個別銘柄の選定が難しいのが現実です。
2024年の結果を見ても、「半導体株だから上がる」とは限りません。
個別株に投資するなら
経験者で個別株に投資する場合は、以下を確認しましょう。
- 業績の安定性:売上・利益の推移
- AI向け比率:成長分野へのエクスポージャー
- バリュエーション:PER・PBRの水準
- 決算説明会:経営陣のコメント
まとめ
- 2024年の半導体株は銘柄によって明暗が分かれた
- アドバンテスト+91%、レーザーテック-59%と真逆の結果
- AI向けに強い企業が恩恵を受けた
- 2026年はAI投資の継続性・政府支援・地政学リスクに注目
- 初心者は個別株よりインデックス投資が無難
よくある質問
成長産業ですが、銘柄選定が難しいのが現実です。AI向けに強い企業は引き続き期待できますが、すでに株価に織り込まれている可能性もあります。初心者はインデックス投資が無難です。
空売りファンドの影響で急落しましたが、業績自体は堅調という見方もあります。ただし、リスクが高いため、投資経験が浅い方にはおすすめしません。
SOX指数に連動するETFなど、半導体セクター全体に投資する方法もあります。個別株よりは分散されますが、セクター集中のリスクがある点は理解しておきましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。