「オルカンとS&P500、結局どっちがいいの?」
「両方買うのはダメ?」
新NISAで最も人気のある2つのファンド。この記事では、両者の違いをデータで比較し、選び方の考え方を解説します。
オルカンとS&P500の基本
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
通称「オルカン」。MSCI ACWIに連動し、全世界約3,000銘柄に投資します。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
米国の大型株500社(S&P500指数)に投資します。Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIAなどが含まれます。
比較表
| 項目 | オルカン | S&P500 |
|---|---|---|
| 投資対象 | 全世界約3,000銘柄 | 米国500銘柄 |
| 米国株比率 | 約65% | 100% |
| 信託報酬 | 0.05775%程度 | 0.09372%程度 |
| 利用者数(2025年6月) | 約516万人 | 約511万人 |
オルカンの中身は約65%が米国株
オルカンは「全世界分散」なんですよね?
分散はされていますが、実は約65%が米国株です。
オルカンの国別構成比を見ると、米国が圧倒的です。
| 国 | 構成比 |
|---|---|
| 米国 | 約65.9% |
| 日本 | 約4.7% |
| 英国 | 約3.5% |
| その他 | 約25.9% |
つまり、オルカンを買っても約3分の2は米国株に投資していることになります。
過去リターンの比較
過去20年(2005〜2025年)の年率リターンです。
| 指標 | S&P500 | オルカン |
|---|---|---|
| 年率リターン | 11.42% | 8.14% |
| 標準偏差(リスク) | 14.56% | 13.84% |
過去20年では、S&P500のほうがリターンが高く、オルカンのほうがリスク(値動きの幅)がやや小さい結果になっています。
2025年の動き
ただし、2025年は様相が異なります。
| ファンド | 2025年リターン(5月中旬まで) |
|---|---|
| オルカン | -4.0% |
| S&P500 | -7.8% |
2025年は米国株が調整局面にあり、オルカンのほうが下落幅が小さい結果になっています。
両方買うのは意味がある?
両方買えば分散になりますか?
残念ながら、分散効果はほぼありません。
オルカンの約65%が米国株なので、両者の値動きは非常に近くなります。
「オルカンとS&P500の値動きは極めて近く、どちらを持ってもほぼ同じ。逆に言えば、両方を持っても資産分散としてはほぼ意味がない」
― SBI証券アナリストコメントより
両方買うと、実質的には「米国株比率を少し上げた」だけの効果になります。
どちらを選ぶべきか
S&P500がおすすめの人
- 米国経済の成長に自信がある
- AI・テクノロジーセクターに期待している
- より高いリターンを狙いたい
- リスク許容度が高い
オルカンがおすすめの人
- リスクを少しでも抑えたい
- 米国一国への集中が不安
- 「どの国が成長するかわからない」と考える
- シンプルに1本で運用したい
迷ったらオルカン
迷っているなら、オルカンを選んでおけば大きな間違いはありません。
理由は以下の通りです。
- 米国が強ければ、オルカンも恩恵を受ける(65%が米国株)
- 米国が弱くても、他国でカバーできる可能性がある
- 「どの国が伸びるか」を自分で予測する必要がない
一方、「米国の優位性が今後も続く」と確信を持てるなら、S&P500を選ぶのも合理的です。
よくある質問
分散効果としてはほぼ意味がありません。オルカンの約65%が米国株なので、両者の値動きは非常に近くなります。両方買うと「米国株比率を少し上げた」程度の効果しかありません。どちらか一方に絞ることをおすすめします。
新NISAなら売却しても翌年に非課税枠が復活するため、乗り換えのハードルは低いです。ただし、頻繁な乗り換えは複利効果を損なう可能性があります。基本的には最初に選んだファンドを長期保有するのがおすすめです。
「危険」とは言い切れませんが、一国集中のリスクはあります。米国経済が長期停滞した場合、リターンが低迷する可能性があります。ただし、米国は世界経済の中心であり、今後も成長が期待されています。リスク許容度と投資期間に応じて判断しましょう。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| オルカンの米国株比率 | 約65% |
| 過去20年リターン | S&P500 > オルカン |
| 2025年の下落幅 | オルカン < S&P500 |
| 両方持つ意味 | 分散効果はほぼなし |
| 迷ったら | オルカン |
どちらも優秀なファンドです。大切なのは「どちらを選ぶか」よりも、選んだファンドを長期で持ち続けることです。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
参考: