「株はいつ売ればいいの?」——投資を始めた人が必ず悩む問題です。
結論から言うと、長期投資なら「基本的に売らない」が正解です。ただし、売るべきタイミングもあります。
この記事では、株や投資信託の売り時の考え方を解説します。
初心者がやりがちな「売り」の失敗
失敗パターン1:早すぎる利益確定
株価が少し上がると「今のうちに利益を確定しよう」と売ってしまうパターンです。
| 行動 | 結果 |
|---|---|
| 10%上がったから売却 | その後さらに50%上昇 |
| 「もったいない」と後悔 | 高値で買い直して損失 |
長期投資では、上昇途中で売ると機会損失になります。特にインデックス投資は「持ち続ける」ことで複利効果を最大化できます。
失敗パターン2:損切りできない
株価が下がっても「そのうち戻るはず」と持ち続け、塩漬けになるパターンです。
| 行動 | 結果 |
|---|---|
| 10%下落→「戻るはず」 | さらに30%下落 |
| 「今売ったら損が確定」 | 資金が拘束され機会損失 |
失敗パターン3:暴落時の狼狽売り
暴落時にパニックになって売ってしまうパターンです。
| 行動 | 結果 |
|---|---|
| 暴落で怖くなって売却 | 安値で売却、損失確定 |
| 回復後に買い戻し | 高値で買い直し |
長期投資の基本:売らない
インデックス投資なら「持ち続ける」
インデックス投資の基本は「買って持ち続ける」ことです。
売らなくていいんですか?
はい。全世界株式や米国株式インデックスは、長期的には右肩上がりで成長してきました。短期的な上下を気にせず、持ち続けることで複利効果を最大化できます。
過去のデータ
| 保有期間 | 元本割れの確率(全世界株式) |
|---|---|
| 1年 | 約30% |
| 5年 | 約15% |
| 10年 | 約5% |
| 15年以上 | ほぼ0% |
売るべきタイミング
とはいえ、いつかは売る必要があります。以下は「売っても良い」タイミングです。
1. お金が必要になった時
人生でお金が必要なタイミングで売却するのは正しい判断です。
| ライフイベント | 対応 |
|---|---|
| 住宅購入の頭金 | 必要な分だけ売却 |
| 子供の教育費 | 必要な時期に合わせて売却 |
| 老後の生活費 | 定期的に取り崩し |
2. 目標金額に達した時
「1,000万円貯まったら売る」など、事前に決めた目標に達した時。
3. 投資方針を変える時
リスク許容度の変化や、より良いファンドへの乗り換えなど、投資方針を見直す時。
4. リバランスの時
資産配分が崩れた場合、リバランス(再配分)のために一部を売却することがあります。
個別株の売り時
個別株はインデックスとは異なり、売り時の判断が重要です。
売りを検討すべきケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 買った理由がなくなった | 成長期待がなくなった |
| 業績が悪化した | 将来の回復が見込めない |
| 目標株価に達した | 当初の目標を達成 |
| より良い投資先が見つかった | 資金を振り替える |
| ポートフォリオの偏り | 1銘柄に集中しすぎている |
損切りのルール
個別株では損切りルールを決めておくことが重要です。
- 買値から−10%下落したら売却
- 買値から−20%下落したら売却
- ルールを決めて機械的に実行する
売らない方がいいケース
1. 株価が少し上がっただけ
「10%上がったから利確」は、長期投資ではもったいないです。
2. 株価が下がって不安
暴落時こそ「安く買えるチャンス」です。積立投資なら、下落時に多くの口数を買えます。
3. SNSで「売り」と言われている
他人の意見に流されて売るのはNGです。自分の投資方針を貫きましょう。
老後の「取り崩し」戦略
長期投資の出口戦略として、老後に資産を取り崩す方法を紹介します。
定率取り崩し
資産の一定割合(例:年4%)を取り崩す方法です。
| 年 | 資産残高 | 取り崩し額(4%) |
|---|---|---|
| 1年目 | 3,000万円 | 120万円 |
| 2年目 | 2,880万円 × 1.05 = 3,024万円 | 121万円 |
| 3年目 | 3,024万円 × 1.05 = 3,175万円 | 127万円 |
※運用リターンが取り崩し率を上回れば、資産は減らない
定額取り崩し
毎月一定額(例:月10万円)を取り崩す方法です。
新NISAで積み立てた資産を、老後に少しずつ取り崩すのが理想的な出口戦略です。一括で売却する必要はありません。
まとめ
株の売り時についてまとめます。
- 長期投資なら「基本的に売らない」が正解
- お金が必要な時に売るのは正しい判断
- 暴落時の狼狽売りは最悪のパターン
- 個別株は損切りルールを決めておく
- 老後は定率または定額で取り崩し
- 他人の意見に流されて売らない
「いつ売るか」より「いつまで持てるか」を考えて、長期投資を続けましょう。
よくある質問
長期投資では、利益が出ていても「売らない」のが基本です。お金が必要になるまで持ち続けることで、複利効果を最大化できます。短期的な利益確定を繰り返すと、機会損失になることが多いです。
暴落を予測することは誰にもできません。「暴落が来そう」と思って売ると、その後上昇してしまうことも多いです。長期投資なら、暴落も乗り越えて持ち続ける覚悟が必要です。
インデックスファンドなら、含み損でも持ち続けるのが基本です。個別株の場合は、業績悪化など「買った理由がなくなった」なら損切りも選択肢です。「戻るはず」という根拠のない期待は危険です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。