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トランプ「相互関税」ショック後の投資戦略 — 日本への関税15%確定で何が変わったのか
経済・マーケット

トランプ「相互関税」ショック後の投資戦略 — 日本への関税15%確定で何が変わったのか

2026-02-21
2026-02-21 更新

トランプ政権の相互関税は発表→停止→再開を経て、日本への関税率が15%で確定。自動車産業への打撃や為替への影響を踏まえ、個人投資家が今とるべきポートフォリオ戦略を解説します。

「トランプ関税って結局どうなったんですか?ニュースが多すぎてよくわからなくて……」

2025年4月に発表されたトランプ大統領の「相互関税」は、発表→わずか1日で停止→再開→税率変更と、めまぐるしい展開を見せました。2025年9月、日本に対する関税率は最終的に15%で確定しています。

この混乱は日本の自動車産業に大きな打撃を与え、個人投資家のポートフォリオにも影響を及ぼしています。

この記事では、相互関税の経緯を時系列で整理し、2026年以降の投資戦略を考えます。

トランプ相互関税の経緯 — 何が起きたのか

まず、約1年にわたる「相互関税騒動」の時系列を振り返りましょう。

時期 出来事
2025年4月 相互関税を発表。日本に24%の国別関税率を設定
2025年4月(翌日) 一時停止を発表。全世界一律10%の基礎関税のみ適用
2025年8月 相互関税の適用を再開
2025年9月 日本への最終税率が15%で確定
2025年9月 自動車関税を27.5%→15%に引き下げ
読者
読者

発表した翌日に停止って……市場は大混乱だったんじゃないですか?

西山(資産運用アドバイザー)
西山(資産運用アドバイザー)

おっしゃる通りです。2025年4月の発表時には日経平均が急落し、翌日の停止発表で急反発するという激しい値動きになりました。「トランプ砲」に振り回された投資家は少なくなかったはずです。

「相互関税」とは

相手国が米国製品に課している関税と同水準の関税を、米国側も課すという考え方です。トランプ政権は「貿易赤字の解消」を理由に導入しましたが、実際の計算方法には批判もあり、各国との交渉が続いています。

日本の自動車産業への影響 — 最大2.6兆円の利益消失

相互関税で最も大きな打撃を受けているのが自動車産業です。

トヨタ、ホンダ、日産など大手7社の2026年3月期の連結営業利益は、最大で2兆6,733億円が消失する見通しとされています。

読者
読者

自動車関税は27.5%から15%に下がったんですよね?それでもそんなに影響が大きいんですか?

西山
西山

15%に下がったとはいえ、従来の2.5%と比べれば大幅な引き上げです。また、部品にかかる関税や鉄鋼・アルミ関税も加わるため、トータルのコスト増は相当な規模になります。各社は米国内での生産拡大やサプライチェーンの再構築で対応を急いでいます。

自動車株への影響

自動車関連株は2025年4〜8月に大きく下落しましたが、9月の税率確定後は「最悪のシナリオは回避された」として反発しています。ただし、関税コストを完全に吸収できるわけではなく、業績への下押し圧力は続いています。

「米国一強」ポートフォリオの転換点

トランプ関税は、個人投資家のポートフォリオにも重要な問いを突きつけています。

読者
読者

S&P500のインデックスファンドに全額投資しているんですが、見直した方がいいですか?

西山
西山

検討する価値はあります。これまでの10年間は「米国株に全振り」が最適解でしたが、トランプ関税や地政学リスクの高まりにより、米国一極集中のリスクが意識され始めています。楽天証券のレポートでも「米国一強のその先へ」というテーマが掲げられており、分散投資の重要性が再認識されています。

為替リスクが投資の成否を分ける

2026年の投資において、為替リスクのコントロールが運用の成否を分ける重要な要素になると指摘する専門家が増えています。

日銀の利上げと米国の利下げにより日米金利差が縮小すれば、円高が進行する可能性があります。円高が進めば、米国株のドル建てリターンが円建てで目減りするため、為替ヘッジの有無がパフォーマンスを大きく左右します。

為替ヘッジ付きファンドのコスト

為替ヘッジにはコストがかかります。日米金利差が大きい現状ではヘッジコストが年3〜4%程度になることもあり、ヘッジをかけること自体がリターンを押し下げる要因になり得ます。ヘッジの要否は慎重に判断してください。

2026年に個人投資家が取るべき4つの戦略

戦略1: 地域分散を見直す

オルカン(全世界株式)のようなグローバル分散型のファンドは、米国一極集中のリスクを自然に分散してくれます。S&P500一本で運用している方は、全世界株式への配分を検討してみてください。

戦略2: 日本株の「相対的割安感」に注目

J.P.モルガンのレポートによると、日本株は「絶対評価では割高感があるが、相対評価では依然として割安」と指摘されています。高市政権の積極財政と企業改革の進展が追い風になる可能性があります。

戦略3: 中間選挙までのリスクシナリオを想定する

2026年11月3日の米国中間選挙は、トランプリスクの方向性を変え得る最大のイベントです。共和党が議席を減らせば、トランプ政権の関税政策が軟化する可能性があります。逆に、さらに強硬になるリスクもあります。

読者
読者

中間選挙まで待ってから投資した方がいいですか?

西山
西山

「イベントを待って投資する」のは、結果的にタイミング投資になってしまいます。積立投資を続けながら、中間選挙の結果を踏まえてリバランスを行うのがおすすめです。選挙結果がどうなっても、投資を継続することが重要です。

戦略4: 関税の影響を受けにくいセクターに注目

関税の影響を受けやすい業種と受けにくい業種を意識することも有効です。

関税の影響 セクター 理由
大きい 自動車、鉄鋼、電子部品 米国への輸出比率が高い
中程度 機械、化学 一部製品が関税対象
小さい サービス、通信、内需 国内市場中心
プラス 半導体製造装置 米国の国内生産強化で需要増
USMCAの見直しに注意

2026年からはUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の見直し協議が始まります。域内の部品比率基準がさらに厳格化される可能性があり、メキシコに生産拠点を持つ日本企業にとっては追加のリスク要因です。

まとめ

  • トランプ相互関税は発表→停止→再開を経て、日本への税率15%で確定
  • 自動車7社で最大2.6兆円の利益消失見通し、自動車関税は27.5%→15%に引き下げ
  • 「米国一強」のポートフォリオに転換点、地域分散の重要性が再認識
  • 為替リスクのコントロールが2026年の投資成否を分ける
  • 2026年11月の中間選挙がトランプリスクの方向性を変える最大のイベント

関税政策は予測が難しく、トランプ大統領のSNS一つで市場が動く状況が続いています。こうした不確実性の高い環境では、特定のシナリオに賭けるよりも、分散投資と積立投資を軸にした「全天候型」のポートフォリオを心がけることが大切です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

よくある質問(記事のおさらい)

Q
Q1. トランプ相互関税で日本への税率は何%ですか?
A

最終的に15%で確定しています。当初は24%の国別関税率が設定されましたが、一時停止・再開を経て、2025年9月に15%に落ち着きました。

Q
Q2. 自動車産業への影響はどの程度ですか?
A

日本の自動車大手7社の2026年3月期の連結営業利益は、最大で2兆6,733億円が消失する見通しです。自動車関税は27.5%から15%に引き下げられましたが、従来の2.5%と比べれば大幅な引き上げです。

Q
Q3. S&P500一本の投資は見直すべきですか?
A

検討する価値はあります。トランプ関税や地政学リスクにより米国一極集中のリスクが意識されています。全世界株式(オルカン)への配分を組み入れることで、地域分散が可能です。

Q
Q4. 為替ヘッジはつけるべきですか?
A

日米金利差が縮小して円高が進めば、ヘッジなしの米国株投資はリターンが目減りします。ただし、現状のヘッジコストは年3〜4%と高いため、コストとリスクのバランスを慎重に判断してください。

Q
Q5. 2026年で最も注意すべきイベントは?
A

11月3日の米国中間選挙です。共和党の議席増減によってトランプ政権の関税政策の方向性が大きく変わる可能性があり、マーケットへの影響も大きいとみられています。