米国高配当ETFの中でも特に人気なのがVYM、HDV、SPYDの3つです。どれも「高配当」を謳っていますが、中身は大きく異なります。
この記事では、この3つのETFを配当利回り、構成銘柄、リスク特性の観点から徹底比較し、あなたに合った選び方を解説します。
3つのETFの基本情報
概要比較
| 項目 | VYM | HDV | SPYD |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | Vanguard High Dividend Yield ETF | iShares Core High Dividend ETF | SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF |
| 運用会社 | バンガード | ブラックロック | ステート・ストリート |
| 設定年 | 2006年 | 2011年 | 2015年 |
| 経費率 | 0.06% | 0.08% | 0.07% |
| 銘柄数 | 約400銘柄 | 約75銘柄 | 約80銘柄 |
| 配当利回り | 約2.8〜3.2% | 約3.3〜3.8% | 約4.0〜5.0% |
投資方針の違い
| ETF | 投資方針 |
|---|---|
| VYM | 平均以上の配当利回りを持つ大型株に広く分散投資 |
| HDV | 財務健全性が高く、持続的な配当が期待できる企業に厳選投資 |
| SPYD | S&P500の中から配当利回り上位80銘柄に均等投資 |
VYM(バンガード高配当株式ETF)
特徴
上位構成銘柄
| 銘柄 | セクター | 比率 |
|---|---|---|
| ブロードコム | 情報技術 | 約4% |
| JPモルガン | 金融 | 約4% |
| エクソンモービル | エネルギー | 約3% |
| ジョンソン&ジョンソン | ヘルスケア | 約3% |
| プロクター&ギャンブル | 生活必需品 | 約3% |
VYMは「安定重視」の高配当ETFです。配当利回りは控えめですが、400銘柄以上に分散されているため、リスクを抑えながら配当収入を得たい人に向いています。
HDV(iシェアーズ・コア高配当株ETF)
特徴
上位構成銘柄
| 銘柄 | セクター | 比率 |
|---|---|---|
| エクソンモービル | エネルギー | 約9% |
| ジョンソン&ジョンソン | ヘルスケア | 約7% |
| アッヴィ | ヘルスケア | 約6% |
| シェブロン | エネルギー | 約5% |
| ベライゾン | 通信 | 約5% |
エネルギー株の比率が高いですね。
HDVはエネルギーとヘルスケアで約40%を占めます。原油価格の影響を受けやすい点は注意が必要です。
SPYD(SPDR S&P500高配当株式ETF)
特徴
上位構成銘柄
| 銘柄 | セクター | 比率 |
|---|---|---|
| 80銘柄に均等配分 | - | 各約1.25% |
SPYDは80銘柄に均等配分するため、特定銘柄への集中がありません。
セクター構成
| セクター | 比率 |
|---|---|
| 金融 | 約20% |
| 不動産 | 約20% |
| 公益事業 | 約15% |
| エネルギー | 約10% |
| その他 | 約35% |
SPYDは「高配当重視」の人向けです。ただし、景気敏感株が多いため、暴落時には他の2つより大きく下落する傾向があります。
3つのETFを比較
配当利回り比較
| ETF | 配当利回り(2024年実績) |
|---|---|
| VYM | 約2.9% |
| HDV | 約3.5% |
| SPYD | 約4.5% |
暴落時のパフォーマンス(2020年コロナショック)
| ETF | 最大下落率 | 回復までの期間 |
|---|---|---|
| VYM | 約-35% | 約12ヶ月 |
| HDV | 約-35% | 約14ヶ月 |
| SPYD | 約-45% | 約18ヶ月 |
SPYDはコロナショック時に約45%下落しました。高配当の裏には高リスクがあることを理解しておきましょう。
経費率比較
| ETF | 経費率 |
|---|---|
| VYM | 0.06%(最安) |
| SPYD | 0.07% |
| HDV | 0.08% |
どれを選ぶべきか
選び方のフローチャート
結局、どれを選べばいいですか?
以下の基準で選んでみてください。
| こんな人には | おすすめETF |
|---|---|
| 安定性を重視したい | VYM |
| 財務健全性を重視したい | HDV |
| 配当利回りを最大化したい | SPYD |
| 初心者で迷っている | VYM |
| 複数を組み合わせたい | VYM + SPYD |
組み合わせ例
| パターン | 配分 | 特徴 |
|---|---|---|
| 安定型 | VYM 100% | リスク低め、配当3%前後 |
| バランス型 | VYM 50% + SPYD 50% | 配当3.5%程度、適度なリスク |
| 高配当型 | SPYD 50% + HDV 50% | 配当4%以上、リスク高め |
日本から投資する方法
米国ETFを直接購入
SBI証券、楽天証券、マネックス証券で購入可能です。
| 証券会社 | 手数料 | 為替手数料 |
|---|---|---|
| SBI証券 | 約定代金の0.495% | 25銭(住信SBI経由で安くなる) |
| 楽天証券 | 約定代金の0.495% | 25銭 |
| マネックス証券 | 約定代金の0.495% | 25銭 |
投資信託で間接投資
米国高配当ETFに投資する投資信託もあります。
| 投資信託 | 信託報酬 | 連動ETF |
|---|---|---|
| SBI・V・米国高配当株式 | 0.1238% | VYM |
| 楽天・米国高配当株式 | 0.192% | VYM |
投資信託なら円で購入でき、配当も自動再投資されます。手間を省きたいなら投資信託がおすすめです。
よくある質問
成長投資枠で購入可能です。VYM、HDV、SPYDいずれも新NISA対象です。配当金は非課税ですが、米国での10%源泉徴収は避けられません。
ありですが、VYMとHDVは構成銘柄がかなり重複しています。分散効果を高めるなら、VYM + SPYDの組み合わせがおすすめです。
いずれも四半期ごと(年4回)に配当が支払われます。VYMとHDVは3月・6月・9月・12月、SPYDも同様です。
まとめ
米国高配当ETF(VYM・HDV・SPYD)の比較をまとめます。
- VYM:400銘柄に分散、安定重視、配当約3%
- HDV:財務健全性重視、厳選75銘柄、配当約3.5%
- SPYD:配当利回り最高、約4.5%、ただしリスクも高い
- 初心者にはVYMがおすすめ
- 組み合わせるならVYM + SPYD
自分のリスク許容度に合ったETFを選びましょう。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。