「S&P500に投資しておけば安心」——そう考えている方も多いのではないでしょうか。
確かに、米国株は長期的に右肩上がりの成長を続けてきました。しかし、日本から米国株に投資する場合、株価の上昇だけでなく「為替」の影響を受けることを忘れてはいけません。
2026年は、米国株のリターンと為替変動がせめぎ合う年になりそうです。
2026年の米国株と為替の見通し
米国株は引き続き上昇予想
各社の予測によると、S&P500は2026年も堅調な推移が見込まれています。
| 金融機関 | 2026年末予想 | 上昇率 |
|---|---|---|
| ゴールドマン・サックス | 6,500 | +8%程度 |
| モルガン・スタンレー | 6,500 | +8%程度 |
| バンク・オブ・アメリカ | 6,600 | +10%程度 |
AI関連投資の継続や企業収益の成長が、株価を押し上げると予想されています。
一方、為替は円高方向へ?
株価が上がるなら問題ないんじゃないですか?
ここが落とし穴なんです。株価が上がっても、円高になればその分リターンが相殺されてしまいます。
2026年は、以下の理由から円高圧力がかかると見られています。
- FRB(米連邦準備制度)の利下げ継続
- 日銀の追加利上げ観測
- 日米金利差の縮小
金利が高い国の通貨は買われやすく、金利差が縮まると、これまでドル買い・円売りに動いていた資金が逆流する可能性があります。
為替リスクが米国株リターンに与える影響
株価+10%でも円高-10%なら±0
為替リスクの怖さは、株価の上昇を帳消しにしてしまう点にあります。
| シナリオ | 株価変動 | 為替変動 | 実質リターン |
|---|---|---|---|
| 理想 | +10% | 0% | +10% |
| 相殺 | +10% | -10%(円高) | ±0% |
| 最悪 | +10% | -15%(円高) | -5% |
株価が上がっても損することがあるんですね...
2025年は円安が進んだので、逆に為替で利益が出た方も多かったはず。でも2026年はその逆になる可能性があります。
2025年と2026年の違い
2024年は1ドル=160円台まで円安が進行し、米国株投資家にとっては追い風でした。
しかし2026年は、日米金利差縮小により円高に転じる可能性が指摘されています。仮に150円→130円(約13%の円高)となれば、株価の上昇分がほぼ相殺されてしまいます。
為替リスクへの対策
1. 積立投資で購入単価を平準化
ドルコスト平均法は、為替リスクにも有効です。
為替レートが高い時も安い時も定額で購入し続けることで、ドルの購入単価が平準化されます。
- 為替の高値掴みを避けられる
- 精神的に続けやすい
- タイミングを考えなくていい
2. 円建て資産との分散
米国株だけに集中投資するのではなく、円建て資産との分散を検討しましょう。
- 日本株(為替リスクなし)
- 国内債券
- J-REIT
「オルカン」のような全世界株式ファンドも、米国以外の地域に分散されているので、米国100%よりはリスク分散になります。
3. 為替ヘッジ型商品の検討
為替変動の影響を抑えたい場合は、為替ヘッジ付きの投資信託という選択肢もあります。
- 円高でもリターンが目減りしにくい
- 為替変動を気にせず投資できる
- ヘッジコストがかかる(年1〜2%程度)
- 円安局面では恩恵を受けられない
ヘッジコストは日米金利差に連動するため、金利差が縮小すればコストも下がる可能性があります。
2026年の米国株投資戦略
- 為替リスクを織り込んだ期待リターンで考える
- 積立投資を継続し、購入単価を平準化
- 円建て資産との分散を検討
- 長期投資なら短期の為替変動は気にしすぎない
長期投資なら為替はあまり気にしなくていいんですか?
10年、20年の長期で見れば、為替は円高・円安を繰り返します。短期的な変動に一喜一憂せず、淡々と積み立てることが大切です。
まとめ
- 2026年は日米金利差縮小で円高圧力がかかる可能性
- 株価が上がっても、為替で相殺されるリスクがある
- 対策は積立投資・分散・長期目線
- 短期の為替変動に振り回されず、投資方針を維持することが重要
よくある質問
長期投資なら遅くありません。ただし2026年は為替リスクを考慮し、一括投資より積立投資で購入単価を分散させることをおすすめします。
一概には言えません。ヘッジコスト(年1〜2%程度)がかかるため、長期投資ではコストが積み重なります。円高が気になる方は一部をヘッジ型にするなど、バランスを取る方法もあります。
長期投資なら売却する必要はありません。為替は長期的に変動を繰り返すため、円高局面は「ドルを安く買える時期」と考え、積立を継続することが有効です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。
投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。