インデックス投資の代名詞ともいえるバンガード(Vanguard)。
1976年に世界初のインデックスファンドを個人投資家に提供し、投資の民主化を実現した。VOO・VTI等の人気ETFで知られる同社を解説する。
バンガードの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | The Vanguard Group, Inc. |
| 設立 | 1974年 |
| 本社 | 米国ペンシルベニア州 |
| 創業者 | ジョン・ボーグル |
| 運用資産 | 約7.1兆ドル(約1,000兆円超) |
| 上場 | 非上場(投資家が所有者) |
バンガードの名前の由来は何ですか?
フランス革命戦争の「ナイルの海戦」で活躍した、英雄ホレーショ・ネルソン提督の旗艦名に由来します。「先駆者」という意味が込められています。
歴史的な功績
世界初のインデックスファンド
1976年8月31日、バンガードは「First Index Investment Trust」(現:バンガード500インデックス・ファンド)を設定。
世界初の個人投資家向けインデックスファンドとして、投資の歴史を変えた。
- 設定:1976年8月31日
- 投資対象:S&P500指数
- 資産総額:約789億ドル(2025年1月時点)
- 経費率:0.04%
創業者ジョン・ボーグル
「インデックスファンドの父」と呼ばれるジョン・ボーグル氏は、「コストを下げることが投資家のリターンを最大化する」という信念のもと、低コスト投資を普及させた。
2019年に逝去したが、その理念は今もバンガードに受け継がれている。
独自の企業構造
バンガードは他の運用会社と決定的に異なる構造を持つ。
投資家が所有者
- バンガードのファンドがバンガード社を所有
- ファンドの所有者=投資家
- つまり、投資家が間接的にバンガードを所有
この構造により、利益は投資家にコスト削減として還元される。
アットコストの原則
バンガードは「アットコスト(at cost)の原則」に基づき、運用コストを極限まで下げている。
| 項目 | バンガード | 業界平均 |
|---|---|---|
| 平均経費率 | 0.07% | 0.27% |
| 差 | 業界平均の約1/4 | - |
人気のバンガードETF
主要ETF一覧
| ティッカー | 名称 | 投資対象 | 経費率 |
|---|---|---|---|
| VOO | Vanguard S&P 500 ETF | S&P500 | 0.03% |
| VTI | Vanguard Total Stock Market ETF | 全米株式 | 0.03% |
| VT | Vanguard Total World Stock ETF | 全世界株式 | 0.07% |
| VEA | Vanguard FTSE Developed Markets ETF | 先進国(除く米国) | 0.05% |
| VWO | Vanguard FTSE Emerging Markets ETF | 新興国 | 0.08% |
| BND | Vanguard Total Bond Market ETF | 米国債券 | 0.03% |
VOOの詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投資対象 | S&P500指数 |
| 経費率 | 0.03% |
| 分配金利回り | 約1.3% |
| 純資産 | 約5,000億ドル |
VOO、VTI、VTは日本の個人投資家にも大人気のETFだ。
ブラックロックとの違い
| 項目 | バンガード | ブラックロック |
|---|---|---|
| 運用資産 | 約7兆ドル | 約11.6兆ドル |
| 順位 | 世界2位 | 世界1位 |
| ETFブランド | Vanguard ETF | iShares |
| 上場 | 非上場 | NYSE上場(BLK) |
| 特徴 | 低コスト重視 | 品揃え重視 |
バンガードとブラックロック、どちらを選べばいいですか?
どちらも低コストで優秀です。S&P500なら、バンガードのVOO(経費率0.03%)とブラックロックのIVV(経費率0.03%)で差はほぼありません。好みや使い慣れた方を選べば大丈夫です。
2024年の動向
新CEO就任
2024年7月、元ブラックロック幹部のサリム・ラムジ氏がCEOに就任。
ブラックロックのETF・インデックス投資部門グローバルヘッドを務めた人物で、バンガードの更なる成長が期待されている。
日本での投資方法
バンガードETFは日本からも購入できる。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 海外ETF | SBI証券、楽天証券等でVOO、VTI等を購入 |
| 投資信託 | 楽天・全米株式インデックスファンド(VTI連動) |
| eMAXIS Slim | バンガード製品ではないが同様の低コスト投資が可能 |
まとめ
バンガードは、インデックス投資を世界に広めたパイオニアだ。
- 1976年、世界初のインデックスファンドを個人投資家に提供
- 運用資産7兆ドル超で世界2位
- 投資家が所有者という独自構造で低コストを実現
- 平均経費率0.07%は業界平均の約1/4
- VOO、VTI、VT等のETFが日本でも人気
長期投資を志す投資家にとって、バンガードは欠かせない存在だ。
よくある質問(記事のおさらい)
バンガードは投資家がファンドを所有し、そのファンドがバンガード社を所有するという独自構造です。外部株主への利益還元が不要なため、運用コストを極限まで下げ、投資家に還元しています。これを「アットコストの原則」と呼びます。
VOOはS&P500(米国大型500社)、VTIは全米株式(約4,000社)に投資します。リターンはほぼ同じですが、VTIの方がやや分散が効いています。シンプルさを重視するならVOO、より広い分散を好むならVTIがおすすめです。
SBI証券や楽天証券などで海外ETFとして購入できます。VOO、VTI、VT等は人気商品で、NISA(成長投資枠)の対象にもなっています。また、楽天・全米株式インデックスファンドのようにVTIに連動する投資信託を購入する方法もあります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。