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オーストラリア、外国人の中古住宅購入を2年間禁止 — 2025年4月〜2027年3月のFIRB規制変更と日本人投資家への影響
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オーストラリア、外国人の中古住宅購入を2年間禁止 — 2025年4月〜2027年3月のFIRB規制変更と日本人投資家への影響

2026-03-11
2026-03-11 更新

オーストラリアが2025年4月から外国人による中古住宅の購入を全面禁止。新築・空き地は引き続き購入可能ですが、FIRB規制の強化とランドバンキング取り締まりの影響は甚大です。日本人投資家が押さえるべきポイントを解説します。

オーストラリアで不動産投資を検討している方にとって、2025年4月1日に発効した規制変更は見逃せません。アルバニージー政権は住宅価格高騰への対策として、外国人による中古住宅(established dwellings)の購入を2年間全面禁止する措置を導入しました。

この記事では、禁止の対象範囲、例外規定、日本人投資家が引き続き購入可能な物件タイプ、そしてランドバンキング取り締まり強化の詳細まで、規制変更の全体像を解説します。

規制の概要 — 何が禁止されたのか

オーストラリアの住宅市場

オーストラリアの住宅市場
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2025年4月1日から2027年3月31日までの2年間、外国人(foreign persons)はオーストラリア国内の中古住宅を購入できなくなりました。この措置は「Treasury Laws Amendment (Foreign Investment) Bill 2025」により法制化されています。

「外国人」の定義

オーストラリア外国投資法における「外国人」には、以下が含まれます。

  • 一時居住ビザ保有者(学生ビザ、就労ビザなど)
  • オーストラリアに居住していない外国籍の個人
  • 外国政府関連投資家
  • 外国人が実質的に支配する法人・信託
ポイント

オーストラリア市民権保有者、永住権保有者、およびニュージーランド市民は「外国人」に該当しないため、この規制の影響を受けません。

「中古住宅」とは

中古住宅(established dwellings)とは、すでに建物が存在する居住用不動産を指します。具体的には、現在人が居住している住宅、空室の既存住宅、中古マンションなどが該当します。

鈴木(国際税務スペシャリスト)
鈴木(国際税務スペシャリスト)

規制のポイントは「中古」か「新築」かの区分です。外国人が購入できるのは新築物件と空き地に限定されました。

導入の背景 — なぜ今、規制が強化されたのか

オーストラリアの都市景観

オーストラリアの都市景観
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オーストラリアの住宅市場は、長年にわたり価格高騰が社会問題となってきました。特にシドニーやメルボルンでは、一般市民が住宅を購入できない状況が深刻化しています。

外国人による購入実績

FY2022-23(2022年7月〜2023年6月)のデータによると、外国人による住宅購入は5,360件、総額A$49億(約4,900億円)に達しました。前年のFY2021-22と比較すると、件数は4,228件から27%増加しています。

指標 FY2021-22 FY2022-23 前年比
購入件数 4,228件 5,360件 +27%
購入総額 A$39億 A$49億 +26%
平均購入価格 A$91.4万
住宅取引全体に占める割合 約1.1%

購入者の国別内訳

外国人購入者の出身国としては、中国が最大で2,601件(A$34億)を占め、続いて米国、英国、日本、ベルギーの順となっています。

読者
読者

全体の1.1%しかないなら、そこまで影響は大きくないのでは?

鈴木
鈴木

数字上の割合は小さいですが、特定エリアへの集中投資が局所的な価格上昇を招いている点が問題視されました。政治的メッセージとしての意味合いも大きいといえます。

日本人投資家が引き続き購入できる物件

オーストラリアの新築開発

オーストラリアの新築開発
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中古住宅は禁止されましたが、外国人がオーストラリア国内で購入可能な不動産カテゴリーは残されています。すべてFIRB(Foreign Investment Review Board:外国投資審査委員会)の事前承認が必要です。

購入可能な物件タイプ

メリット
  • 新築住宅(new dwellings):デベロッパーから直接購入する新築物件
  • オフプラン物件:建設前に契約するプレビルド物件
  • 空き住宅用地(vacant residential land):4年以内に建設を完了する条件付き
  • 大規模再開発:20戸以上の住宅増加を伴う再開発プロジェクト
デメリット
  • 中古住宅:一切購入不可(2027年3月31日まで)
  • 中古マンション:築年数を問わず購入不可
  • 中古住宅のリノベーション転売:不可

FIRB申請の要件

新築・空き地を購入する場合でもFIRBの承認は引き続き必要です。申請料はA$14,700(物件価格A$100万未満の場合)から段階的に上がり、手続きには通常30〜40日を要します。

注意

空き地を購入した場合、FIRB承認日から4年以内に建設を完了しなければなりません。完了しない場合は処分命令や罰則の対象となります。

例外規定 — 禁止の対象外となるケース

住宅開発プロジェクト

住宅開発プロジェクト
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中古住宅の購入禁止には、限定的ながら例外が設けられています。

主な例外

1. オーストラリア市民・永住者の配偶者

オーストラリア市民、永住者、またはニュージーランド市民の配偶者が、共同名義(joint tenants)で購入する場合は例外として認められます。

2. 住宅供給を大幅に増加させる投資

既存物件の取得であっても、再開発によって20戸以上の新規住宅を追加し、4年以内に建設を完了する計画を含む場合は、例外的にFIRB承認を得られる可能性があります。

3. PALM(Pacific Australia Labour Mobility)制度利用者

太平洋島嶼国からの労働者向け住宅として取得する場合、特別な例外が適用されます。

4. 商業規模の住宅供給

学生寮、高齢者施設など、商業規模の住宅供給に資する取得は引き続き承認対象です。

読者
読者

日本人が配偶者ビザでオーストラリアに住んでいる場合はどうなりますか?

鈴木
鈴木

配偶者がオーストラリア市民または永住者であれば、共同名義での購入は例外として認められます。ただし、単独名義での購入は禁止対象となります。

ランドバンキング取り締まり強化

オーストラリアの土地開発

オーストラリアの土地開発
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今回の規制強化では、中古住宅の購入禁止に加えて、ランドバンキング(空き地を購入したまま建設せずに放置し、値上がりを待つ行為)への取り締まりが大幅に強化されました。

ATO監査プログラム

オーストラリア政府は、ATO(Australian Taxation Office:オーストラリア税務局)とTreasuryに対して4年間でA$890万(約8.9億円)の予算を配分し、以下の取り組みを実施します。

  • 既存の外国投資承認案件の全件監査
  • 空き住宅用地の建設条件の遵守状況チェック
  • 非居住用地(non-residential land)を含む外国投資の精査
  • 2029-30年度以降も年間A$190万の継続予算

違反時のペナルティ

規制に違反した場合、以下のペナルティが科される可能性があります。

違反内容 ペナルティ
FIRB無承認での購入 最大A$25万の罰金
建設条件の不履行 物件の強制売却命令
虚偽申告 刑事罰(禁固刑の可能性)
ランドバンキング 売却命令+罰金
注意

2022年には、FIRBの承認を得ずにメルボルンの複数物件を購入した外国人に対して、A$25万の罰金が科された事例があります。当局の取り締まり姿勢は厳格化しています。

日本人投資家の戦略 — 禁止期間中にできること

オーストラリアの投資戦略

オーストラリアの投資戦略
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中古住宅が購入できなくなった現在、日本人投資家がオーストラリア不動産市場に参入するための現実的な戦略を整理します。

戦略1:新築・オフプラン物件への投資

最も確実な選択肢は、デベロッパーから直接購入する新築物件です。シドニーやメルボルン、ブリスベンでは大規模な新築マンション開発が進んでおり、外国人向けに販売枠を確保しているプロジェクトも多くあります。

戦略2:空き地購入+注文住宅

土地を購入し、4年以内に住宅を建設する「ランド&ビルド(Land & Build)」戦略も有効です。特にクイーンズランド州やビクトリア州の郊外では、比較的手頃な価格で土地を取得できます。

戦略3:A-REIT(オーストラリアREIT)への投資

直接の物件取得が難しい場合、オーストラリアの上場REITを通じて間接的に不動産市場へ参加する方法も検討に値します。FIRB規制の対象外であり、流動性も高いメリットがあります。

戦略4:2027年4月以降の規制見直しを見据えた準備

政府は2027年3月31日の期限前にレビューを実施する予定です。禁止が延長されるか撤廃されるかは住宅市場の状況次第ですが、規制緩和に備えて事前にエリアリサーチやFIRB申請の準備を進めておくことは有効でしょう。

まとめ

オーストラリアの外国人中古住宅購入禁止措置のポイントを整理します。

  • 禁止期間:2025年4月1日〜2027年3月31日の2年間
  • 対象:一時居住者・外国法人を含むすべての外国人
  • 禁止対象:中古住宅(established dwellings)の購入
  • 購入可能:新築、オフプラン、空き地(FIRB承認要)
  • 例外:豪市民の配偶者との共同名義、20戸以上の再開発、PALM制度
  • ランドバンキング:A$890万の監査予算で全件調査
  • 違反ペナルティ:最大A$25万の罰金、強制売却命令
  • 2027年レビュー:延長・撤廃は住宅市場の状況次第

隣国ニュージーランドが富裕層向けに規制を緩和する方向に動いている一方で、オーストラリアは規制を強化するという、オセアニア2国の対照的な政策スタンスが注目されます。日本人投資家としては、新築市場やREITなど規制対象外の手段を活用しつつ、2027年のレビュー結果を見据えた戦略的なアプローチが求められるでしょう。

よくある質問

Q
日本国籍の一時居住者でもオーストラリアの中古住宅を購入できないのですか?
A

2025年4月1日から2027年3月31日までの間、一時居住ビザ保有者を含むすべての外国人は中古住宅を購入できません。新築物件または空き地であればFIRBの承認を得て購入可能です。

Q
オーストラリア人の配偶者がいる場合、中古住宅は購入できますか?
A

オーストラリア市民または永住者の配偶者と共同名義(joint tenants)で購入する場合は例外として認められます。ただし、外国人名義の単独購入は禁止対象です。

Q
新築物件を購入する場合のFIRB申請料はいくらですか?
A

物件価格A$100万未満の場合はA$14,700(約150万円)です。価格帯に応じて段階的に上がり、手続きには通常30〜40日を要します。

Q
この規制は2027年4月以降も継続する可能性がありますか?
A

政府は2027年3月31日の期限前にレビューを実施する方針です。住宅市場の状況や政策効果を踏まえて延長・修正・撤廃が判断されるため、現時点では不透明です。海外不動産に関する規制動向のモニタリングは、合同会社四次元のような専門家への相談も有効です。

Q
ランドバンキングで空き地を保有しているが建設が遅れている場合はどうなりますか?
A

ATOが既存の外国投資承認案件を全件監査中です。FIRB承認時の条件(通常4年以内の建設完了)を履行できていない場合、強制売却命令やA$25万の罰金が科される可能性があります。