カナダで不動産を所有する外国人投資家には、アメリカよりも厳しい税制が適用されます。
2025年1月から、売却時の源泉徴収率が25%から35%に引き上げられ、税負担はさらに重くなりました。この記事では、外国人投資家向けにカナダ不動産の税金を詳しく解説します。
税金の全体像
| タイミング | 税金 | 税率・金額 |
|---|---|---|
| 購入時 | NRST(外国人税) | 20〜35% |
| 保有時 | 賃貸収入源泉徴収 | 25%(グロス) |
| 売却時 | キャピタルゲイン源泉徴収 | 35%(2025年〜) |
「カナダで不動産を持つと、どんな税金がかかるの?」
大きく分けて3つのタイミングで税金がかかります。購入時はLand Transfer Tax(不動産取得税)とNRST(外国人投機税)。保有時は固定資産税と賃貸所得税(25%源泉徴収)。売却時はキャピタルゲイン税(35%源泉徴収)。特に外国人は源泉徴収率が高く、アメリカより税負担が重いです。アメリカのFIRPTAは15%ですが、カナダは35%です。
アメリカとの比較を簡単にまとめると、購入時の外国人追加税はカナダが20〜35%(NRST)に対しアメリカはなし(一部州除く)。賃貸収入の源泉徴収はカナダが25%(グロス)、アメリカが30%(グロス)。売却時の源泉徴収はカナダが35%、アメリカが15%(FIRPTA)。キャピタルゲイン課税率はカナダが50%を所得に算入、アメリカが15〜20%です。
購入時の税金
購入時にかかる税金を詳しく教えて
まずLand Transfer Tax(不動産取得税)があります。これは州によって税率が違います。オンタリオ州(トロント)では$55,000まで0.5%、$55,001〜$250,000が1.0%、$250,001〜$400,000が1.5%、$400,001〜$2,000,000が2.0%、$2,000,000超が2.5%。BC州(バンクーバー)では$200,000まで1.0%、$200,001〜$2,000,000が2.0%、$2,000,000超(住宅)が3.0%、$3,000,000超が5.0%という累進課税です。
そしてNRST(外国人投機税)がかかります。オンタリオ州が25%、トロント市が追加で10%、BC州が20%。これについては前述の通りですが、物件価格の20〜35%が追加税として発生する点を忘れないでください。
保有時の税金:賃貸収入
賃貸収入にはどう課税されるの?
デフォルトではグロス(総額)賃料の25%が源泉徴収されます。これが問題なんです。経費控除なしで課税されるので、税負担が非常に重いです。例えば月額C$2,000の賃料なら、源泉徴収(25%)がC$500/月、年間でC$6,000。経費を差し引くとほとんど利益がないのに、グロスで課税されてしまいます。これでは手元にほとんど残りません。
それを軽減する方法はないの?
あります!Section 216選択を行うと、ネット(純)賃貸収入に対して課税に変更できるんです。つまり経費を控除した後の利益に対して課税されます。これで税負担は大幅に軽減されます。手続きとしては、まずカナダ居住者(管理会社など)をエージェントに指定。エージェントがグロス賃料の25%を源泉徴収してCRA(カナダ歳入庁)に納付。翌年、Section 216申告書を提出して経費控除後のネット収入で税額を再計算。過払い分があれば還付されます。
Section 216で控除できる主な経費は、モーゲージ利子(ローン金利)、固定資産税(Property Tax)、住宅保険(保険料)、管理会社手数料(管理費)、維持・修繕コスト(修繕費)、建物の減価償却(CCA)、テナント募集費用(広告費)、会計士・弁護士費用(専門家費用)などです。これらを全て控除できるので、税負担は大幅に軽減されます。
売却時の税金
売却時の税金が2025年から重くなったって本当?
本当です。2025年1月から、外国人がカナダ不動産を売却する際の源泉徴収率が25%から35%に引き上げられました。しかも、源泉徴収は「キャピタルゲイン(利益)」ではなく「売却価格全体」に対してかかるんです。土地(非減価償却資産)は売却価格の35%、建物(減価償却資産)は売却価格の50%が源泉徴収されます。
売却価格全体って...利益がなくても35%取られるの?
そうです。だから事前対策が重要なんです。Clearance Certificate(Section 116)をCRAから取得すれば、源泉徴収を「売却価格の35%」から「キャピタルゲインの35%」に軽減できます。申請期限は売却完了から10日以内。遅延すると25%のペナルティが課される可能性があるので要注意です。最終的には確定申告で正確な税額を計算し、過払い分は還付されます。
カナダのキャピタルゲイン税は、利益の50%が課税所得に算入されます。2026年からはC$250,000超の利益について66.67%に引き上げ予定という情報もあります。例えばC$200,000の利益なら、課税所得に算入されるのはC$200,000 × 50% = C$100,000。税率は累進課税で約20〜30%となり、税額は約C$20,000〜30,000。源泉徴収額(売却価格の35%)との差額は還付されます。
税務申告の流れ
具体的にどうやって申告するの?
賃貸収入(Section 216)の場合、まず賃貸開始前にNR6フォームをCRAに提出してネット賃料ベースでの源泉徴収を申請。月次で管理会社(エージェント)がグロス賃料の25%を源泉徴収しCRAに納付。翌年6月30日までにSection 216申告書を提出して経費を控除し正確な税額を計算。過払い分があればCRAから還付されます。
売却時(Section 116)の流れは、まず売却完了から10日以内にSection 116申請書をCRAに提出してClearance Certificateを取得。買主(または弁護士)が源泉徴収額をCRAに納付。売却年の翌年にT1(個人)またはT2(法人)申告書を提出。過払い分があれば還付されます。
罰則に注意
遅延・未申告には厳しい罰則があります。
期限を守らないとどうなるの?
Section 116を未申請だと25%のペナルティが課されます。虚偽申告には10%の追加ペナルティ。遅延には利息(延滞税)がかかります。特に売却時のSection 116は「10日以内」という短い期限があるので、売却が決まったら早めに弁護士・会計士に相談して手続きを進めてください。期限を守り、正確な申告を行うことが非常に重要です。
税金を軽減する方法
合法的に節税する方法は?
4つの方法があります。(1) Section 216選択:賃貸収入をネットベースで申告し、経費控除で税負担を軽減。(2) Clearance Certificate取得:売却時の源泉徴収を軽減。早めに申請手続きを開始すること。(3) 経費の最大化:すべての正当な経費を記録・控除。減価償却(CCA)も活用。(4) 専門家の活用:カナダの税務に詳しい会計士を雇う。初期費用はかかりますが、節税効果で十分回収できます。
カナダの非居住者税務は複雑なため、以下の専門家への相談を強くおすすめします。カナダのCPA(公認会計士)、国際税務に詳しい税理士、不動産弁護士。特に日加租税条約による二重課税の調整は複雑で、両国の税法を理解する専門家が必要です。
日本との二重課税
カナダと日本で二重に税金を取られるの?
日加租税条約により、二重課税は調整されます。カナダで支払った税金は、日本の確定申告で外国税額控除として控除できます。ただし、手続きは複雑で、カナダと日本両国の税法を理解する必要があります。国際税務に詳しい税理士に相談することを強くおすすめします。
まとめ
カナダの外国人向け税制は厳しく、アメリカより税負担が重いです。
購入時はNRST 20〜35%の追加税。賃貸収入は25%源泉徴収(グロス)がデフォルトですが、Section 216選択で軽減可能。売却時は35%源泉徴収(2025年〜)が課されますが、Clearance Certificateで軽減可能。申請期限を守らないと25%ペナルティ。専門家への相談が必須です。
税務処理を適切に行えば還付を受けられますが、手続きは複雑です。必ず専門家に相談しましょう。
よくある質問
Section 216選択を行うことで、グロス(総額)ではなくネット(経費控除後)での課税に変更できます。これにより税負担は大幅に軽減されます。NR6フォームを事前に提出し、翌年にSection 216申告書を提出する必要があります。手続きは複雑なので、カナダの会計士に依頼することをおすすめします。
キャピタルゲインが実際の税額より低ければ、過払い分は還付されます。ただし、Clearance Certificate(Section 116)を事前に取得しないと、売却価格全体の35%が源泉徴収されます。Clearance Certificateがあれば、キャピタルゲインの35%に軽減できます。還付には確定申告が必要で、数ヶ月〜1年かかることもあります。
日加租税条約により、二重課税は調整されます。カナダで支払った税金は、日本の確定申告で外国税額控除として控除できます。ただし、手続きは複雑で、カナダと日本両国の税法を理解する必要があります。国際税務に詳しい税理士に相談してください。
※本記事は情報提供を目的としており、税務アドバイスを提供するものではありません。
税務申告は必ず専門家(カナダCPA、日本の税理士)に相談してください。
税法は変更される可能性があるため、最新情報を確認してください。