フランス不動産の税制は長期保有者に有利な設計になっている。22年以上保有すれば所得税部分(19%)が非課税、30年で完全非課税だ。
購入コストは高いが、長く持てば持つほど税負担が軽くなる。この仕組みを理解しておこう。
税金の全体像
フランスで不動産を所有すると、購入時・保有時・売却時にそれぞれ税金がかかる。
購入時のコスト
| 項目 | 税率・費用 | 備考 |
|---|---|---|
| DMTO(登記税) | 4.5〜5.0% | 2025年4月〜多くの県で5.0%に |
| ノテール費用 | 1〜1.5% | 公証人報酬 |
| 登記・事務手数料 | 約0.5% | 手続き費用 |
| 合計(既存物件) | 7〜9% | 新築は2〜3.5% |
2025年4月から、パリ、リヨン、ボルドー、トゥールーズなど主要都市のあるDMTOが4.5%→5.0%に引き上げられた。
ただし、ニース(アルプ=マリティーム県)など17県は据え置き。これらの県で購入すれば約0.5%(€400,000で€2,000)の節約になる。
保有時の税金
保有中にかかる税金は主に3つだ。
**固定資産税(Taxe Foncière)**は年間€500〜3,000程度。物件の評価額と自治体の税率で決まり、所有者負担となる。
賃貸所得税は、非居住者(日本在住)の場合、最低税率20%。フランス源泉所得が€28,797を超えると30%が適用される。経費控除後の純賃料所得に対して課税される。
**IFI(不動産富裕税)**は、純資産€130万超の不動産に課税される。税率は0.5〜1.5%の累進課税だ。ローン残債は純資産から差し引けるため、借入を活用すれば回避可能。€200万の物件を€100万のローンで購入すれば、純資産は€100万でIFI対象外となる。
キャピタルゲイン税と長期保有メリット
売却時のキャピタルゲイン税は、所得税19%+社会保険料17.2%=最大36.2%と高い。しかし、長期保有で大幅に減免される。
保有期間別の控除率
| 保有期間 | 所得税(19%)控除 | 社会保険料(17.2%)控除 |
|---|---|---|
| 5年以下 | 控除なし | 控除なし |
| 6年目〜21年 | 毎年6%控除 | 毎年1.65%控除 |
| 22年 | 完全非課税 | 28.05%控除 |
| 23年〜29年 | 完全非課税 | 毎年9%控除 |
| 30年以上 | 完全非課税 | 完全非課税 |
つまり、22年で所得税がゼロ、30年で完全非課税になる。
具体例:€200,000のキャピタルゲイン
€300,000で購入し、15年後に€500,000で売却した場合(CGT€200,000):
- 所得税控除:9年×6%=54%(課税対象€92,000)
- 社会保険料控除:9年×1.65%=14.85%(課税対象€170,300)
- 税額:所得税€17,480+社会保険料€29,292=€46,772
同じ物件を22年保有すれば所得税ゼロ、30年なら完全非課税だ。
22年って長すぎませんか?現実的なんでしょうか。
確かに長いですが、フランス人投資家の多くは「一生持つ」「子に相続する」前提で購入しています。日本人でも、パリの物件を老後の資産や子供への遺産として考えるなら、22年は非現実的ではありません。税制がそういう設計になっているのです。
LMNP:減価償却で節税
個人所有では通常、減価償却は認められない。しかし、LMNP(Loueur Meublé Non Professionnel=非職業的家具付き賃貸人)として登録すると、建物・家具の減価償却が可能になる。
LMNPのメリット:
- 建物の減価償却(20〜30年)
- 家具の減価償却(5〜10年)
- 課税所得を大幅に圧縮
ただし、フランスでの税務申告が必要になり手続きが複雑化する。フランス在住の税理士(Expert-comptable)への依頼が現実的だ。
非居住者特例
フランス出国後10年以内に売却する場合、過去2年以上のフランス居住歴があり、かつ第三者に賃貸していない物件なら、€15万までのキャピタルゲインが非課税になる(1世帯1回限り)。
日仏租税条約に非差別条項があるため、日本人にも適用される。
二重課税の調整
日仏租税条約により、不動産所得・CGTはフランスで課税される(源泉地主義)。フランスで支払った税金は、日本の確定申告で外国税額控除として申告可能だ。ただし控除額には上限があり、全額控除されるとは限らない。
- 22年以上保有:所得税(19%)が非課税
- 30年保有:完全非課税
- LMNPの活用:減価償却で課税所得圧縮
- 県の選択:DMTO据え置き県(ニースなど)で購入
- IFI対策:ローンを活用して純資産を€130万未満に
まとめ
- 購入コスト7〜9%(DMTO+ノテール)
- 固定資産税€500〜3,000/年、賃貸所得税20〜30%
- IFIは純資産€130万超に課税、ローンで回避可能
- CGTは最大36.2%だが、22年で所得税非課税
- 30年保有で完全非課税
- LMNPで減価償却が可能
フランス不動産投資は長期保有が前提だ。22年〜30年で税負担がゼロになる仕組みを活用すれば、高い購入コストも長期的には回収できる。
よくある質問
正確には「所得税部分(19%)が22年で非課税」です。CGTは所得税19%+社会保険料17.2%の合計36.2%。22年で所得税がゼロになり、30年保有で社会保険料もゼロになり完全非課税となります。控除は6年目から始まり、所得税は毎年6%、社会保険料は毎年1.65%ずつ控除されます。
ローンを活用すれば回避可能です。IFIは純資産€130万超の不動産に課税されます。ローン残債は純資産から差し引けるため、€200万の物件を€100万のローンで購入すれば、純資産は€100万でIFI対象外となります。税率は0.5〜1.5%の累進課税です。
LMNP(Loueur Meublé Non Professionnel=非職業的家具付き賃貸人)は、個人でも減価償却が可能になる制度です。通常の個人所有では減価償却は認められませんが、LMNPとして登録すると建物の減価償却(20〜30年)と家具の減価償却(5〜10年)が可能。課税所得を大幅に圧縮できます。ただしフランスでの税務申告が必要で手続きが複雑化します。
最低税率20%です。フランス源泉所得が€28,797を超えると30%が適用されます。経費控除後の純賃料所得に対して課税されます。日仏租税条約により、フランスで支払った税金は日本の確定申告で外国税額控除として申告可能ですが、控除額には上限があります。
※本記事は情報提供を目的としており、税務アドバイスではありません。
フランスの税制は変更される可能性があります。投資前に必ず現地の税理士(Expert-comptable)に相談してください。