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マルタ不動産投資ガイド|永住権MPRP取得と税制メリット【2026年版】
ヨーロッパ 市場分析

マルタ不動産投資ガイド|永住権MPRP取得と税制メリット【2026年版】

2026-01-01
2026-01-01 更新

マルタ不動産投資を2026年最新データで解説。永住権MPRPは€375,000〜、利回り4〜5%、相続税・富裕税ゼロの税制メリットを紹介。

「地中海の島国で永住権が取れて、英語が通じて、税金も安い——そんな都合のいい場所、あるんですか?」

——あります。マルタ共和国です。

マルタは地中海に浮かぶ人口55万人の小さな島国。EU加盟国でありながら、公用語は英語(とマルタ語)。不動産購入€375,000から永住権(MPRP)が取得でき、相続税・富裕税ゼロという税制メリットもあります。

2025年4月のECJ判決で市民権プログラム(いわゆる「ゴールデンパスポート」)は終了しましたが、永住権プログラム(MPRP)は健在。むしろ2025年7月の改正で手続きが簡素化されました。

この記事では、マルタ不動産投資の魅力と現実を、永住権取得の観点から詳しく解説します。

マルタ不動産市場の現状

2025年のマルタ不動産市場は堅調です。Q3の取引件数は前年比+12.9%、取引額は+25.8%増加。2017年以降、年平均6%の価格上昇が続いており、2020年から2025年にかけて最大70%上昇したエリアもあります。

主要エリアの価格

エリア 平均価格(€/㎡) 特徴
ヴァレッタ(首都) €5,000〜7,500 世界遺産、最高級エリア
スリーマ/セントジュリアンズ €3,500〜4,800 最も人気の住宅エリア
ゴゾ島 €1,500〜2,000 のどかな離島、割安
南部マルタ €1,500〜2,000 最も手頃なエリア
全国平均 €3,300 範囲€1,500〜5,500

スリーマとセントジュリアンズが最も人気のエリアで、2020年から2025年にかけてアパート価格は€375,000から€650,000へと+73%上昇しました。一方、ゴゾ島は本島の半額程度で購入でき、静かな環境を求める人に人気です。

読者
読者

€375,000がMPRP(永住権)の最低条件ですよね。スリーマだともう€650,000が相場なんですか?

鈴木(国際税務スペシャリスト)
鈴木(国際税務スペシャリスト)

スリーマ・セントジュリアンズで「いい物件」を買おうとすると、確かにそのくらいになります。ただ、MPRPの条件を満たすだけなら、南部マルタやゴゾ島で€375,000の物件は十分見つかります。人気エリアにこだわらなければ、選択肢は広がりますよ。

利回りの実態

マルタの賃貸利回りは、全国平均で約4.05%(2025年Q2)。決して高くはありませんが、エリアによって差があります。

エリア 利回り 備考
ジズィラ/ムシダ 5〜6% 大学・病院近く、学生需要
セントジュリアンズ 3.6〜4.4% 観光・ビジネス需要
ゴゾ島 3.9〜4.3% 安定需要
スリーマ 1.8〜3.0% 価格高騰で利回り低下
ヴァレッタ 1.2〜2.5% 最も低い利回り
アパート vs 一戸建て

アパートの平均利回りは3.8%、一戸建ては2.5%。一戸建ては価格高騰に家賃が追いつかず、プール・庭の維持費もかさむため、投資としてはアパートが有利です。

スリーマやヴァレッタは「価格が上がりすぎて利回りが下がった」典型例。インカムゲインを重視するなら、ジズィラ/ムシダや郊外エリアを検討すべきです。

マルタ永住権プログラム(MPRP)とは

Malta Permanent Residence Programme(MPRP)は、不動産投資によるEU永住権取得プログラムです。2025年7月の改正で手続きが簡素化され、より利用しやすくなりました。

取得条件と費用

項目 金額 備考
不動産購入(最低) €375,000 5年間保有義務
または賃貸(年間) €14,000 5年間継続
政府貢献金 €37,000 購入・賃貸問わず統一
行政手数料 €60,000 €15,000(申請時)+ €45,000(承認後)
NGO寄付 €2,000 マルタの慈善団体へ
成人扶養家族 €7,500/人 配偶者・未成年の子は無料

購入ルートの総コストは約€474,000以上(不動産€375,000 + 政府貢献金€37,000 + 行政手数料€60,000 + 寄付€2,000)。賃貸ルートなら初年度約€170,000程度から始められます。

読者
読者

賃貸でも永住権が取れるんですか?どちらがお得ですか?

鈴木
鈴木

取れます。5年間で比較すると、賃貸は€14,000×5年=€70,000。購入は€375,000以上。一見、賃貸が安く見えますが、購入した不動産は資産として残りますし、賃貸に出せば収入も得られます。5年以上の長期で考えるなら、購入のほうが有利なことが多いです。

資産要件

申請には以下の資産証明も必要です:

  • 総資産€500,000以上(うち金融資産€150,000以上)
  • または総資産€650,000以上(うち金融資産€75,000以上)
滞在義務は緩やか

MPRPには厳格な滞在義務がありません。年間14〜21日程度の滞在が推奨されていますが、「住んでいない」ことを理由に取り消されることは基本的にありません。ヨーロッパに「拠点を持つ」だけでも十分活用できるプログラムです。

市民権プログラムの終了

2025年4月、欧州司法裁判所(ECJ)はマルタの市民権投資プログラム(MEIN)がEU法に違反するとの判決を下しました。€600,000以上の投資で市民権を付与する「ゴールデンパスポート」は、7月に正式に終了しています。

ただし、これは市民権(国籍)の話であり、永住権(MPRP)は影響を受けていません。MPRPで取得できるのはあくまで永住権であり、選挙権や無条件のEU自由移動権はありませんが、シェンゲン圏のビザなし渡航やマルタでの無期限居住は可能です。

読者
読者

永住権と市民権、何が違うんですか?

鈴木
鈴木

永住権は「住む権利」、市民権は「国民になる権利」です。永住権ではパスポートは取得できませんし、他のEU国での就労権も得られません。ただ、マルタに住んで、マルタを拠点にEU/シェンゲン圏を自由に旅行する——という使い方なら永住権で十分です。

マルタの税制メリット

マルタを選ぶ投資家の多くは、税制メリットを重視しています。

送金ベース課税(レミッタンスベース)

マルタに居住していても「非ドミサイル(非本国籍)」の場合、国外所得はマルタに送金しない限り課税されません。また、国外で発生したキャピタルゲインは、マルタに送金しても非課税です。

これは「レミッタンスベース」と呼ばれる課税方式で、日本の「居住者は全世界所得課税」とは根本的に異なります。

最低税額€5,000ルール

国外所得が€35,000を超える非ドミサイル居住者は、マルタで最低€5,000の税金を支払う義務があります。マルタ国内所得への課税額と相殺可能で、多くの場合は不動産からの賃貸収入でこの条件を満たせます。

相続税・富裕税ゼロ

マルタには相続税・贈与税・富裕税がありません。これはヨーロッパでは珍しく、資産承継の観点で大きなメリットです。

不動産の名義変更時には印紙税(5%)がかかりますが、相続税のように資産全体に課税されるわけではありません。

所得税率

マルタ国内所得(賃貸収入など)には累進課税が適用されます:

  • €0〜€9,100:0%
  • €9,101〜€14,500:15%
  • €14,501〜€60,000:25%
  • €60,001以上:35%

ただし、TRP(The Residence Programme)やGRP(Global Residence Programme)といった特別プログラムを利用すれば、外国所得に対して15%のフラット税率(最低年間€15,000)が適用されます。

マルタ投資のメリット・デメリット

メリット
  • 英語が公用語(ビジネス・生活がしやすい)
  • 不動産€375,000からEU永住権取得可能
  • 相続税・富裕税・固定資産税なし
  • 送金ベース課税で国外所得に有利
  • EU加盟国・シェンゲン圏・ユーロ採用
  • 温暖な地中海気候(年間300日晴れ)
  • 治安が良く生活の質が高い
デメリット
  • 利回りは4%前後と控えめ
  • 人気エリアは価格高騰で€650,000〜
  • 島国のため物件供給に限りがある
  • MPRP総コストは€474,000以上と高額
  • 市民権(パスポート)は取得できなくなった
  • 夏は観光客で混雑、物価も上昇
読者
読者

結局、マルタはどんな人に向いていますか?

鈴木
鈴木

3つのタイプに向いています。まず「EUに拠点を持ちたい人」——マルタ永住権があればシェンゲン圏を自由に移動できます。次に「税務最適化を考える富裕層」——送金ベース課税と相続税ゼロは大きなメリット。最後に「英語環境で暮らしたい人」——ヨーロッパで英語が公用語の国は少ないです。一方、「利回り重視」「短期転売」の投資家には向きません。

よくある質問

Q
Q1. MPRPの審査期間はどれくらいですか?
A

完全な申請書類を提出してから6〜12ヶ月が目安です。申請前に1年間の仮居住許可を取得することも可能で、その間に本申請の準備を進められます。

Q
Q2. マルタの不動産購入コストはどれくらいですか?
A

購入価格の約5〜7%。内訳は印紙税5%、公証人費用約1%、登記費用です。日本のように不動産取得税や固定資産税はかかりません。

Q
Q3. 購入した物件は賃貸に出せますか?
A

はい、MPRP用に購入した物件も、自分が不在の期間は短期・長期賃貸に出せます。5年間の保有義務がありますが、賃貸運用自体は問題ありません。

Q
Q4. 家族も一緒に永住権を取得できますか?
A

はい。配偶者と未成年の子供は追加費用なしで申請できます。29歳未満の未婚の子供(扶養中)と、扶養している両親・祖父母は€7,500/人の追加費用で申請可能です。

Q
Q5. マルタに住まなくても永住権は維持できますか?
A

維持できます。MPRPには厳格な滞在義務がなく、年間14〜21日程度の滞在が推奨される程度です。「ヨーロッパに拠点を持つ」という使い方でも問題ありません。

まとめ

マルタは、英語が通じるEU加盟国として、永住権取得と税務最適化の両方を実現できる稀有な選択肢です。

  • 不動産**€375,000**からMPRP(永住権)取得可能
  • 総コストは約**€474,000以上**(購入ルート)
  • 平均価格**€3,300/㎡、スリーマは€3,500〜4,800/㎡**
  • 利回りは4%前後(ジズィラ/ムシダで5〜6%)
  • 相続税・富裕税・固定資産税ゼロ
  • 送金ベース課税で国外所得に有利
  • 市民権プログラムは2025年に終了、永住権は健在
  • 年間14〜21日程度の滞在で永住権維持可能

利回りを追求するなら東南アジア、短期転売ならドバイ——という選択肢もある中で、マルタを選ぶ理由は「EU永住権」「英語環境」「税制メリット」の3点に集約されます。

「住むかどうかは分からないけど、EUに足場を作っておきたい」「次世代への資産承継を考えている」——そんな投資家にとって、マルタは非常に魅力的な選択肢です。


※本記事は情報提供を目的としており、特定の不動産物件の購入を推奨するものではありません。
マルタ不動産投資・永住権取得には税金・法規制があります。投資前に必ず現地の弁護士・税理士に相談してください。
各制度の条件は変更される可能性があるため、最新情報は公式機関でご確認ください。