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海外不動産は法人と個人どちらで買うべき?税金・メリット・デメリット比較
法規制・税金 投資戦略

海外不動産は法人と個人どちらで買うべき?税金・メリット・デメリット比較

2026-01-03
2026-01-03 更新

海外不動産投資は法人と個人どちらが有利か徹底比較。税金、経費、相続、規制の観点から最適な所有形態を解説します。

「海外不動産は法人で買った方が節税になりますか?」

海外不動産投資の相談で、よく聞かれる質問です。

結論を先に言えば、「年間賃料収入500万円以上」または「3軒以上の所有」なら法人化を検討する価値があります。ただし、法人化にはコストもデメリットもあるため、個人のままで十分なケースも多いです。

この記事では、法人と個人の違いを税金・経費・相続・規制の4つの観点から比較します。

結論:どちらを選ぶべきか

まず結論からお伝えします。

条件 おすすめ
1〜2軒の投資 個人
年間賃料500万円未満 個人
年間賃料500万円以上 法人検討
3軒以上の所有 法人検討
相続対策が必要 法人検討
事業として本格運用 法人
読者
読者

なぜ500万円が基準なんですか?

鈴木(国際税務スペシャリスト)
鈴木(国際税務スペシャリスト)

個人の所得税は累進課税で、課税所得695万円を超えると税率が33%になります。一方、法人税の実効税率は約30%。つまり、所得がある程度大きくなると法人の方が税率が有利になるんです。賃料収入500万円というのは、経費を引いた課税所得が法人化のメリットを享受できるラインの目安です。

税金の比較

最も重要な税金面を詳しく比較します。

個人の場合

海外不動産の賃料収入は「不動産所得」として総合課税されます。

課税所得 税率 控除額
〜195万円 5% 0円
〜330万円 10% 97,500円
〜695万円 20% 427,500円
〜900万円 23% 636,000円
〜1,800万円 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

※別途、住民税10%が加算されます。

給与所得など他の所得と合算されるため、高所得者ほど税率が高くなります。

法人の場合

法人税の実効税率は資本金・所得によって異なりますが、中小法人の場合:

  • 年間所得800万円以下:約22〜24%
  • 年間所得800万円超:約30〜34%

個人の最高税率(55%)に比べると、法人税率は大幅に低いです。

2重課税に注意

法人から個人に資金を移す際、さらに課税されます。役員報酬として支払えば所得税、配当として支払えば配当課税(約20%)。法人の税率が低くても、最終的に個人が使う段階では追加課税があることを忘れずに。

具体的なシミュレーション

年間賃料収入600万円(経費控除後の課税所得400万円)のケースで比較します。

個人の場合

  • 課税所得400万円 × 税率20% − 控除427,500円 = 372,500円
  • 住民税400万円 × 10% = 40万円
  • 合計:約77万円

法人の場合

  • 法人税等400万円 × 24% = 約96万円
  • ただし、役員報酬で300万円を支払うと法人所得100万円
  • 法人税100万円 × 24% = 24万円
  • 役員報酬への所得税・住民税 ≒ 20万円
  • 合計:約44万円

このケースでは、法人の方が約33万円有利になります。ただし、法人維持コスト(年間20〜50万円)を考慮すると、差はほぼなくなります。

読者
読者

法人化で本当に節税になるんですか?

鈴木
鈴木

規模が大きくなれば確実に節税になりますが、1〜2軒の投資では法人維持コストを考えるとトントンか赤字です。「節税」だけで法人化を決めると失敗します。税理士に具体的なシミュレーションを依頼してから判断してください。

経費計上の比較

法人は個人より幅広い経費を計上できます。

個人で認められる経費

  • 管理費・修繕費
  • 減価償却費
  • ローン利息
  • 固定資産税
  • 火災保険料
  • 現地視察の渡航費(合理的な範囲)

法人で追加で認められる経費

  • 役員報酬(自分への給与)
  • 退職金の積立
  • 法人保険
  • 社用車(事業に使用する場合)
  • 福利厚生費

法人最大のメリットは「役員報酬」です。法人の利益を役員報酬として自分に支払うことで、法人の所得を圧縮できます。さらに、役員報酬には給与所得控除が適用されるため、二重の節税効果があります。

2020年の税制改正

2020年から、国外中古建物の減価償却費は損益通算が制限されました。かつてはアメリカの中古木造住宅を使った節税スキームが流行しましたが、現在は使えません。「法人で海外中古を買って節税」という話には注意してください。

相続・事業承継の比較

将来の相続を考えると、法人には大きなメリットがあります。

個人の場合

  • 不動産は相続財産として評価される
  • 相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えると課税
  • 海外不動産の評価は時価が基本

法人の場合

  • 不動産ではなく「株式」を相続
  • 株式の評価は複雑だが、対策次第で低く抑えられる
  • 生前に株式を移転しやすい
読者
読者

法人の方が相続に有利ということですか?

鈴木
鈴木

有利になる可能性が高いです。個人所有の不動産は分割が難しく、共有名義になるとトラブルの元。法人なら株式として分割でき、経営権も維持しやすい。ただし、相続対策は複雑なので、必ず専門家(税理士・司法書士)に相談してください。

法人維持のコスト

法人化にはコストがかかります。これを無視して「節税」だけで判断すると失敗します。

初期費用

  • 法人設立費用:15〜30万円
  • 登録免許税:15万円(株式会社)、6万円(合同会社)
  • 定款認証:約5万円(株式会社のみ)
  • 司法書士報酬:5〜10万円

年間維持費用

  • 税理士顧問料:24〜60万円/年
  • 法人住民税(均等割):7万円/年(最低額)
  • 決算申告費用:5〜10万円/年
  • 社会保険料:役員報酬の約30%

年間維持費だけで30〜80万円かかります。賃料収入がこれを上回る利益を生まなければ、法人化はマイナスです。

合同会社という選択

株式会社より設立費用が安い「合同会社(LLC)」という選択肢もあります。設立費用は約10万円、定款認証も不要。海外不動産の保有会社として適しています。ただし、将来的に株式上場や外部資金調達を考えるなら株式会社の方が有利です。

国別の規制

国によっては、法人名義での購入に制限がある場合があります。

法人購入 注意点
タイ 条件付き 外国人過半数所有の法人は土地購入不可
マレーシア 可能 個人と同じ最低購入価格規制あり
フィリピン 条件付き 外国人60%以上所有の法人は土地購入不可
アメリカ 可能 規制なし、LLC設立が一般的
オーストラリア 可能 FIRBの事前承認が必要
読者
読者

タイで法人を使った土地購入って聞いたことありますが…

鈴木
鈴木

いわゆる「ノミニー構造」ですね。タイ人名義の法人を設立し、実質的に外国人が支配する形で土地を購入する方法です。これは違法です。発覚すると最大3年の懲役刑、物件の没収という厳しい罰則があります。絶対に避けてください。

結論:どちらを選ぶべきか

改めて、法人化の判断基準をまとめます。

メリット
  • 年間賃料収入500万円以上
  • 3軒以上の物件を所有(予定含む)
  • 相続対策が必要
  • 長期的な事業拡大を考えている
  • 他の事業収入がある
デメリット
  • 1〜2軒の投資
  • 年間賃料収入500万円未満
  • シンプルな運用を望む
  • 法人維持コストを払いたくない
  • 本業の所得が高くない

迷ったら、まず個人で始めて、規模が拡大したら法人化を検討するのが現実的です。

まとめ

海外不動産の法人vs個人を比較しました。

  • 税金:規模が大きければ法人が有利
  • 経費:法人は役員報酬など幅広く計上可能
  • 相続:法人(株式)の方が対策しやすい
  • コスト:法人維持に年間30〜80万円
  • 規制:国によって法人名義に制限あり
  • 判断基準:年間賃料500万円以上なら法人検討

最終判断は、税理士などの専門家に相談してから行ってください。

よくある質問

Q
法人化のタイミングはいつが良いですか?
A

物件購入前が理想です。購入後に個人から法人へ移転すると、譲渡所得税がかかり、登記費用も二重になります。将来的に法人化を考えているなら、最初から法人名義で購入することをおすすめします。

Q
日本法人と現地法人、どちらで買うべきですか?
A

日本法人が一般的です。日本法人なら日本の税制で管理でき、手続きもシンプル。現地法人は設立・維持コストが高く、現地税制への対応も必要。特別な理由がない限り、日本法人をおすすめします。

Q
合同会社と株式会社、どちらがいいですか?
A

不動産保有目的なら合同会社で十分です。設立費用が安く(約10万円)、決算公告義務もありません。ただし、将来的に事業拡大や外部資金調達を考えるなら株式会社の方が有利です。

Q
法人化で確実に節税できますか?
A

確実ではありません。法人維持コスト(年間30〜80万円)を上回る節税効果がなければ、法人化はマイナスです。税理士に具体的なシミュレーションを依頼し、数字で判断してください。


※本記事は情報提供を目的としており、税務アドバイスではありません。
具体的な税務判断は、税理士などの専門家にご相談ください。
税制は変更される可能性があるため、最新情報は国税庁のウェブサイトでご確認ください。