「サウジアラビアで不動産を買える?」
——2025年まで、この答えは基本的に「No」でした。しかし2026年1月22日、すべてが変わりました。
サウジアラビア政府は「非サウジ国民による不動産所有法」を施行し、外国人が指定エリアで不動産を所有することを初めて広く認めました。対象には、5,000億ドル超の予算を投じる未来都市NEOMや、紅海沿岸のラグジュアリーリゾートRed Sea Globalも含まれます。
サウジアラビアの不動産市場って、ドバイとは何が違うんですか?
ドバイが「すでに成熟した市場」であるのに対し、サウジアラビアは「これから開かれる市場」です。規模感が桁違いで、NEOMだけで5,000億ドル(約75兆円)のプロジェクト。ドバイのゴールデンビザが200万AED(約8,000万円)からの投資で取得できるのに対し、サウジは制度設計がまだ初期段階。つまり先行者利益を狙える一方で、不確定要素も多いのが現状です。
新法の概要
何が変わったのか
2025年7月に国王令で承認され、2026年1月22日に施行された新法のポイント:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2026年1月22日 |
| 根拠 | 国王令 M/14(2025年7月) |
| 対象 | 外国人個人、外国企業、ファンド |
| 購入可能エリア | 政府が指定する「地理的範囲文書」に掲載されたエリア |
| 居住者の上限 | 1人1戸の住宅用不動産 |
| 非居住者 | 指定エリアのみ購入可 |
指定エリアはどこか
不動産総局(REGA)が2026年第1四半期中に「地理的範囲文書」を公表予定です。
まだ具体的なエリアが決まっていないんですか?
正式な文書はまだですが、リヤド、ジェッダ、NEOMを含む経済特区が対象になるとされています。ただしメッカとメディナは除外されており、この2都市ではムスリム以外の外国人は原則として不動産を所有できません。
イスラム教の聖地であるメッカとメディナでは、外国人の不動産所有は厳しく制限されています。ムスリムの個人または一定条件を満たすサウジ法人のみが所有可能。この制限は今後も緩和される可能性は低いでしょう。
NEOMとメガプロジェクト
投資対象としてのNEOM
NEOMはサウジアラビア北西部に建設中の未来都市で、予算5,000億ドル超(日本のGDPの約10%に相当)という空前のスケールです。
主要な構成プロジェクト:
- THE LINE:全長170kmの直線都市。高さ500m、幅200m
- TROJENA:標高2,600mの山岳リゾート。2029年冬季アジア大会の会場
- OXAGON:八角形の海上工業都市
- Sindalah:ラグジュアリーアイランドリゾート(2025年部分開業済み)
THE LINEは本当に完成するんですか?計画通りに進んでいるんでしょうか。
正直に言えば、当初のスケジュールからは大幅に遅延しています。THE LINEは2030年までに全長170kmを完成させる計画でしたが、現在は最初の2.4km区間に集中していると報じられています。ただし、Sindalahのリゾート部分は一部開業しており、プロジェクト全体が頓挫しているわけではありません。
Red Sea Global
紅海沿岸に展開するラグジュアリーリゾート群。50の島、8つのリゾートを開発予定で、2025年には最初のリゾートがオープンしています。
投資の実務
購入可能な不動産タイプ
新法のもとで外国人が購入できるのは:
- 住宅用不動産(居住者は1人1戸)
- 商業用地・ビル
- 農地
- メガプロジェクト(NEOM、Qiddiya、Red Sea Global等)の持分
- トークン化された不動産の分割所有権
サウジアラビアは不動産のブロックチェーンベースのフラクショナルオーナーシップ(分割所有)を法的に認めています。これは高額な物件を複数の投資家で分割所有する仕組みで、数万ドル単位からメガプロジェクトに参加できる可能性があります。
費用の目安
| 項目 | 金額・税率 |
|---|---|
| 不動産取引税(RETT) | 物件価格の約5% |
| その他手数料 | 約5%(登記、仲介等) |
| 合計取得コスト | 約10% |
| 固定資産税 | なし |
| 所得税 | なし(個人) |
固定資産税も所得税もなし?本当ですか?
はい、サウジアラビアには個人に対する所得税や固定資産税がありません。ドバイと同様の税制優遇です。ただし、法人に対しては20%のザカート(イスラム税)や法人税がかかる場合があります。また、日本の居住者は日本側で確定申告が必要ですので、その点はお忘れなく。
リスクと注意点
- メガプロジェクトの先行者利益が狙える
- 個人所得税・固定資産税がゼロ
- トークン化による少額投資が可能
- Vision 2030による政府の強力な後押し
- 石油マネーによる開発資金が豊富
- 指定エリアの詳細がまだ未確定(2026年Q1公表予定)
- NEOMなどメガプロジェクトの完成遅延リスク
- サウジアラビアの法制度・司法に不慣れ
- メッカ・メディナは購入不可
- 流動性が不透明(売却時に買い手がいるか)
- 情報が英語・アラビア語中心で日本語情報が極めて少ない
日本人にとってのハードルは何ですか?
最大のハードルは情報の少なさです。ドバイやタイと違い、サウジアラビアの不動産市場に精通した日本語対応のエージェントはほぼ存在しません。現地の法律事務所(White & Case、Latham & Watkinsなど国際法律事務所がリヤドにオフィスを持っています)と連携できるかどうかが成否を分けます。
結論としては、「注視しつつ、準備を進める」段階です。指定エリアの詳細が公表される2026年Q1以降に具体的な物件検討を始めるのが合理的。それまでにサウジアラビアの不動産市場に関する英語の情報ソースを確保し、現地のエージェントや法律事務所とのコネクションを作っておくことをおすすめします。
まとめ
- 2026年1月22日、サウジアラビアが外国人への不動産所有を解禁する新法を施行
- NEOM(5,000億ドル超)、Red Sea Globalなどメガプロジェクトの持分も購入可能
- 個人所得税・固定資産税ゼロ、取得コストは約10%
- トークン化による少額からの分割投資も法的に認められている
- 指定エリアの詳細は2026年Q1に公表予定。それまでは情報収集フェーズ
- メッカ・メディナは外国人の所有制限あり
※本記事は情報提供を目的としており、特定の不動産物件の購入を推奨するものではありません。
海外不動産投資にはリスクが伴います。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
各国の法規制・税制は変更される可能性があるため、最新情報は現地の専門家にご確認ください。
よくある質問
はい、2026年1月22日施行の新法により、政府が指定するエリアで外国人の不動産所有が認められました。居住者は1人1戸の住宅用不動産、非居住者は指定エリア内に限り購入可能です。
新法ではメガプロジェクト(NEOM、Qiddiya、Red Sea Global等)の持分やトークン化された分割所有権の購入が認められています。ただし具体的な購入プロセスや最低投資額は、指定エリア文書の公表後に明らかになる見通しです。
サウジアラビアには個人所得税・固定資産税がありません。取得時の不動産取引税(RETT)と手数料で約10%のコストがかかります。ただし日本の居住者は日本側での確定申告が必要です。
現時点では「注視しつつ準備を進める」段階です。指定エリアの詳細が2026年Q1に公表される予定なので、それまでに情報ソースの確保と現地エージェント・法律事務所とのコネクション構築を進めるのが合理的です。