スペイン不動産投資では、購入時・保有時・売却時にそれぞれ異なる税金がかかります。
特に購入時のITP(取得税)は州によって6〜11%と大きく異なります。
税金の全体像
| 時点 | 税金 | 税率 |
|---|---|---|
| 購入時 | ITP(中古取得税) | 6〜11%(州別) |
| 購入時 | IVA(新築VAT) | 10% |
| 購入時 | AJD(印紙税) | 0.5〜1.5% |
| 保有時 | IBI(固定資産税) | 0.4〜1.1% |
| 保有時 | 賃貸所得税 | 24%(非EU)/19%(EU) |
| 売却時 | CGT(キャピタルゲイン税) | 19〜26%(累進) |
購入時:ITP(州別取得税)
ITPは州によって大きく異なります。
| 州 | ITP | 主要都市 | 合計コスト |
|---|---|---|---|
| マドリード州 | 6% | マドリード | 約8〜10% |
| アンダルシア州 | 7% | マラガ、マルベーリャ | 約10〜12% |
| バレアレス諸島 | 8〜11%(累進) | マヨルカ | 約11〜15% |
| バレンシア州 | 10% | バレンシア | 約12〜15% |
| カタルーニャ州 | 10% | バルセロナ | 約12〜15% |
マドリード州(6%)とカタルーニャ州(10%)で4%の差があります。€300,000の物件でITPは€18,000 vs €30,000と、€12,000の差が出ます。
新築物件はITPではなくIVA(付加価値税)10%が適用され、全国一律です。土地購入の場合はIVA21%です。
購入コストの比較
€300,000の中古物件で比較:
マドリード:ITP€18,000、AJD€2,250、ノタリオ€600、登記€500、弁護士€4,500、合計約€25,850(約8.6%)
バルセロナ:ITP€30,000、AJD€4,500、ノタリオ€600、登記€500、弁護士€4,500、合計約€40,100(約13.4%)
州によって約5%の差が出ます。
保有時:賃貸所得税
非居住者の賃貸所得税は居住地によって税率と控除が異なります。
| 居住地 | 税率 | 経費控除 |
|---|---|---|
| EU/EEA市民 | 19% | 可能 |
| それ以外(日本含む) | 24% | 不可 |
日本人は**グロス収入に24%**が課税されるため、税負担が重くなります。
日本人とEU市民の比較
年間賃料€12,000、経費€3,000の場合:
- 日本人:経費控除€0、課税所得€12,000、税額**€2,880**(€12,000×24%)
- EU市民:経費控除€3,000、課税所得€9,000、税額**€1,710**(€9,000×19%)
日本人は年間**€1,170多く**税金を払います。長期投資では大きな差になります。
空室の場合
空室でも**帰属賃料税(Imputación de Rentas)**がかかります。非居住者が自己利用または空室の物件を所有する場合、Valor Catastral(登録価値)の1.1〜2%に対して24%(非EU)または19%(EU)が課税されます。
売却時:キャピタルゲイン税
CGTは累進税率です。
| キャピタルゲイン | 税率 |
|---|---|
| €6,000以下 | 19% |
| €6,001〜50,000 | 21% |
| €50,001〜200,000 | 23% |
| €200,001以上 | 26% |
3%源泉徴収
非居住者が売却する際、買主は売却価格の3%を源泉徴収してスペイン税務当局に納付する義務があります。これはCGTの前払いで、実際のCGTが3%より少なければ還付、多ければ追加納付が必要です。
例:€300,000で売却 → €9,000が源泉徴収
計算例
€250,000で購入、€350,000で売却(日本人):
- 売却価格:€350,000
- 取得価格:€250,000
- 購入コスト(10%):€25,000
- 調整後取得価格:€275,000
- キャピタルゲイン:€75,000
- CGT(累進):約€15,000
- 3%源泉徴収:€10,500
- 差額の**€4,500**を追加納付
二重課税防止
日本とスペインの間には租税条約があり、二重課税が調整されます。不動産所得とCGTはスペインで課税(源泉地主義)されます。スペインで支払った税金は、日本の確定申告で外国税額控除として申告可能です。
ただし控除額には上限があり、全額控除されるとは限りません。国際税務に詳しい税理士に相談してください。
マドリードとバルセロナ、どちらが税金面で有利ですか?
購入コストではマドリードが有利です。ITPはマドリード6%、バルセロナ(カタルーニャ州)10%で4%の差。€300,000の物件で€12,000の差です。ただし、物件価格自体がマドリードの方が高いため(€6,021 vs €2,981/㎡)、総投資額で比較する必要があります。賃貸所得税やCGTは全国共通です。
節税のポイント
- 州の選択:ITPが低い州(マドリード6%)を選ぶと4%以上の差
- 新築 vs 中古:新築はIVA10%固定、中古のITPは州による
- 長期保有:CGTの累進税率に注意、購入コストは取得価格に加算可能
- 法人化:複数物件なら検討、経費控除のメリット大(法人税25%)
実務的な注意点
**NIE(外国人識別番号)**はスペインで不動産を購入・売却するには必須です。税務、銀行口座開設、すべてに必要です。スペイン大使館または現地で取得、費用約€10、期間2〜4週間です。
確定申告:賃貸所得税は四半期ごとにForm 210で申告します。CGTは売却後4ヶ月以内に申告します。言語はスペイン語なので、現地税理士(Gestor/Asesor Fiscal)に依頼することを推奨します。
まとめ
- ITP6〜11%(州別)、マドリード6%が最安
- 賃貸所得税24%(非EU)/19%(EU)
- 日本人は経費控除不可でEU市民より税負担が重い
- CGT19〜26%(累進)、3%源泉徴収
- 州の選択で購入コスト約5%の差
- 租税条約で二重課税は調整可能
スペインの税金は州によって大きく異なります。税務処理は複雑なため、必ず専門家に相談してください。
よくある質問
はい、賃貸所得税で大きな差があります。日本人は24%でグロス収入に課税(経費控除不可)、EU市民は19%で経費控除可能。年間賃料€12,000、経費€3,000の場合、日本人は€2,880、EU市民は€1,710で年間€1,170の差。長期投資では大きな負担になります。
マドリード州です。ITP(中古取得税)が6%で、カタルーニャ州(バルセロナ)の10%より4%安い。€300,000の物件で比較すると、マドリード約€25,850(8.6%)、バルセロナ約€40,100(13.4%)で約€14,000の差が出ます。
非居住者が売却する際、買主は売却価格の3%を源泉徴収してスペイン税務当局に納付する義務があります。これはCGT(キャピタルゲイン税)の前払いで、実際のCGTが3%より少なければ還付、多ければ追加納付が必要。例えば€300,000で売却すると€9,000が源泉徴収されます。
日本とスペインの間には租税条約があり、二重課税が調整されます。不動産所得とCGTはスペインで課税(源泉地主義)。スペインで支払った税金は、日本の確定申告で外国税額控除として申告可能。ただし控除額には上限があり、全額控除されるとは限りません。国際税務に詳しい税理士に相談してください。
※本記事は情報提供を目的としており、税務アドバイスではありません。
スペインの税制は頻繁に変更されます。投資前に必ず現地の税理士・弁護士に相談してください。