WP
WORLD PROPERTY 海外不動産投資の最新情報を日本人投資家向けにお届けするメディア
スイス不動産投資ガイド|外国人規制Lex Kollerと購入可能エリア
ヨーロッパ 法規制・税金

スイス不動産投資ガイド|外国人規制Lex Kollerと購入可能エリア

2026-01-01
2026-01-01 更新

世界最高水準の物件価格、利回り2.5〜3%。しかもLex Koller法で外国人購入は厳しく制限。スイス不動産投資の現実と、許可される「観光エリア別荘」戦略を解説します。

「スイスに別荘を持つ」——それは富裕層のステータスシンボルとして語られることが多いですが、実現への道は想像以上に険しいものです。

スイスには「Lex Koller」という法律があり、外国人の不動産購入を厳しく制限しています。チューリッヒやジュネーブなど主要都市での購入は、居住者でなければほぼ不可能。非居住者が購入できるのは、ヴェルビエやサンモリッツなど指定された観光エリアの別荘のみです。

この記事では、Lex Kollerの仕組みを詳しく解説し、日本人投資家が取りうる現実的な選択肢を探ります。

Lex Koller法とは

外国人購入規制の概要

Lex Koller(レックス・コラー)は1983年に制定されたスイス連邦法で、外国人による不動産取得を規制しています。

Lex Kollerの目的

スイス政府は「国土が外国人に買い占められる」ことを防ぐため、この規制を維持しています。

  • 外国人による過度な不動産投資を防止
  • 地元住民の住宅確保を保護
  • 地域コミュニティの所有構造を維持

誰が購入できるのか

購入者のステータス 購入可能な物件
スイス国民 すべて制限なし
EU/EFTA国民(居住許可あり) すべて制限なし
Cビザ保持者(非EU) すべて制限なし
Bビザ保持者(非EU) 主たる住居のみ
非居住外国人 観光エリアの別荘のみ
読者
読者

日本人が観光でスイスに行って、チューリッヒでマンションを買うことはできないってこと?

専門家
専門家

その通りです。非居住の日本人がチューリッヒ、ジュネーブ、バーゼル、ツークなどの主要都市で住宅を購入することは、基本的に不可能です。許可が下りません。唯一の例外が、指定された観光エリアでの「セカンドハウス(別荘)」購入です。

観光エリアでの別荘購入

非居住外国人が購入できるのは、以下の条件を満たす物件のみです。

  • 観光指定エリア(ヴァレー州、グラウビュンデン州など)のみ
  • 土地面積:最大1,000㎡
  • 居住面積:最大200〜250㎡
  • 1家族につき1軒のみ
  • 賃貸投資目的は不可(自己使用が原則)
  • 年間の許可枠:全国で約1,500件
  • 政府の許可取得が必要
読者
読者

許可枠が1,500件って、競争が激しそうですね…

専門家
専門家

実際、人気リゾートでは許可枠がすぐに埋まることもあります。また、ツェルマットのように外国人購入を完全に禁止しているリゾートもあります。事前に許可取得の可否を確認することが必須です。

市場概況

2025年の価格水準

スイスは世界で最も不動産価格が高い国の一つです。

都市・エリア ㎡単価
チューリッヒ CHF 14,200〜17,300(約240〜295万円)
ジュネーブ CHF 15,000〜15,800(約255〜270万円)
サンモリッツ(プレミアム) CHF 22,300〜(約380万円〜)
ヴェルビエ(プレミアム) CHF 22,100〜(約375万円〜)
ツェルマット CHF 20,000〜(外国人購入不可)
読者
読者

サンモリッツで㎡380万円って…100㎡のアパートで3.8億円ですか?

専門家
専門家

プレミアムセグメントの話ですが、高級リゾートではそれが現実です。ただし、より手頃な価格帯の物件もあります。観光エリアでもCHF 8,000〜12,000/㎡(約135〜205万円)程度で購入できる物件は存在します。

価格上昇トレンド

指標 数値
チューリッヒ過去10年上昇率 約50%
チューリッヒ過去5年上昇率 約25%
年間上昇率予測(2025-2030) +1〜2%/年
アルプス別荘の需要 住宅ローン金利低下で増加中

利回り

スイスの利回りはヨーロッパで最も低い水準です。

都市 グロス利回り
チューリッヒ 2.6%
ジュネーブ 2.5%
ローザンヌ 2.9%
ヴェルビエ(短期賃貸) 3.5〜4%
全国平均 2.5〜3%
利回りの現実

スイスの不動産は「利回りを得る」市場ではありません。価格が高く、賃貸収入に対する投資効率は非常に低い。しかし、スイスフランという安定通貨での資産保全、長期的な価格上昇、そして相続対策として活用されています。

購入可能な観光エリア

ヴァレー州(Valais)

スイス最大の観光州。外国人に最も開かれたエリアです。

ヴェルビエ(Verbier)

  • 世界的に有名なスキーリゾート
  • 国際的なコミュニティが形成
  • 外国人購入:可能
  • 価格:CHF 15,000〜22,000/㎡

クラン・モンタナ(Crans-Montana)

  • ゴルフとスキーの複合リゾート
  • 比較的手頃な価格帯
  • 外国人購入:可能
  • 価格:CHF 8,000〜15,000/㎡

ツェルマット(Zermatt)

  • マッターホルンを望む世界的名門リゾート
  • 外国人購入:不可(完全禁止)
  • 例外なし、抜け道なし
読者
読者

ツェルマットは完全に買えないんですか?

専門家
専門家

残念ながらそうです。ツェルマットは地元住民の保護を理由に、外国人による不動産購入を完全に禁止しています。どれだけお金があっても、非居住外国人には売却されません。

グラウビュンデン州(Graubünden)

高級リゾートが集中するエリア。ただし外国人への販売は限定的。

サンモリッツ(St. Moritz)

  • 世界最高級のスキーリゾート
  • 外国人購入:非常に限定的
  • 許可取得は困難
  • 価格:CHF 20,000〜22,000/㎡以上

クロスタース(Klosters)

  • 2018年から外国人購入が解禁
  • 比較的許可が取りやすい
  • 価格:CHF 12,000〜18,000/㎡

ダボス(Davos)

  • 世界経済フォーラムの開催地
  • 外国人向け物件は少数
  • 許可取得は限定的

ヴォー州(Vaud)

ジュネーブ湖周辺のリゾートエリア。

ヴィラール(Villars)

  • 家族向けリゾート
  • 外国人購入:可能
  • 価格:CHF 8,000〜12,000/㎡

ティチーノ州(Ticino)

イタリア語圏のスイス。地中海性気候。

ルガーノ周辺

  • 湖畔のリゾート
  • 外国人購入:観光エリアで可能
  • 価格:CHF 6,000〜10,000/㎡

税金と購入コスト

購入時の費用

項目 費用
不動産譲渡税 州により異なる(ジュネーブ約3%、チューリッヒは低率)
公証人費用 0.1〜0.5%
登記費用 0.2〜0.5%
合計 約3〜5%

年間保有コスト

固定資産税

スイスには連邦レベルの固定資産税はありません。州ごとに異なります。

固定資産税がない州は投資家に人気ですが、外国人が購入できるエリアは限られます。

  • チューリッヒ、シュヴィーツ、ツーク:固定資産税なし
  • その他の州:評価額の0.01〜0.30%

富裕税(Wealth Tax)

スイスには純資産に対する富裕税があります。

  • 税率:約0.10〜0.88%(州・市町村による)
  • 非居住外国人もスイス国内の資産(不動産含む)に対して課税される
  • 日本との租税条約により二重課税は調整

みなし賃貸価値税

スイス独自の制度として「みなし賃貸価値税(Eigenmietwert)」があります。

みなし賃貸価値税とは

自己使用の不動産であっても、「もし賃貸したら得られたであろう家賃」を所得として課税される制度。実際に賃貸していなくても税金が発生します。

2025年9月に廃止法案の国民投票が予定されていましたが、別荘(セカンドハウス)には引き続き適用される可能性があります。

キャピタルゲイン税

売却益には州レベルで課税されます。

  • 税率:累進課税(利益が大きいほど高税率)
  • 長期保有で減税:チューリッヒ州では5年後5%減、20年後50%減
  • 短期売却には追加課税(1年以内は50%増、2年以内は25%増)

購入の流れ

非居住外国人が別荘を購入する場合の流れ:

  1. 物件探し(不動産エージェントを通じて)
  2. 許可取得可否の確認(州政府に事前相談)
  3. 予約契約(Reservation)
  4. 許可申請・承認待ち(数週間〜数ヶ月)
  5. 公証人による正式契約
  6. 登記・支払い
読者
読者

ローンは使えますか?

専門家
専門家

スイスの銀行は外国人にもローンを提供していますが、頭金は最低20%(うち10%は現金)が必要です。また、非居住者への融資は審査が厳しく、30〜40%の頭金を求められることが多いです。

投資判断:メリットとリスク

メリット
  • 世界最高水準の政治・経済安定性
  • スイスフランは安全資産として評価が高い
  • 長期的な価格上昇トレンド(過去10年で50%)
  • 一部の州で固定資産税なし
  • 別荘は短期観光賃貸が可能
  • 日本との租税条約あり
  • 相続税が低い州もある
デメリット
  • Lex Kollerで購入が厳しく制限される
  • 主要都市での購入は不可能(非居住者)
  • 利回りが2.5〜3%と非常に低い
  • 物件価格が世界最高水準
  • みなし賃貸価値税がかかる
  • 長期賃貸は禁止(別荘の場合)
  • 許可取得に時間がかかる
  • 1家族1軒の制限
スイス投資が向いている人

逆に、利回り投資や資産運用目的の方には向いていません。規制が厳しく、収益性も低いためです。

  • 超富裕層で資産分散を重視する人
  • スイスフランでの資産保全を目的とする人
  • 実際に別荘として使用する予定がある人
  • 利回りよりもステータス・安定性を重視する人

まとめ

スイス不動産投資のポイント:

  • 外国人規制(Lex Koller):非居住者は観光エリアの別荘のみ購入可
  • 主要都市:チューリッヒ・ジュネーブは居住者でなければ購入不可
  • 価格帯:チューリッヒ㎡240〜295万円、高級リゾート㎡375万円〜
  • 利回り:2.5〜3%(世界最低水準)
  • 購入コスト:約3〜5%
  • 購入制限:居住面積200〜250㎡以下、1家族1軒まで
  • 投資目的よりも資産保全・実使用向け

スイスは「投資で儲ける」市場ではありません。世界最高水準の安定性と通貨の信頼性、そして「スイスに別荘を持つ」というステータスを求める超富裕層向けの市場です。利回りを追求するなら、他の国を検討した方が良いでしょう。


よくある質問

Q
Q1. 日本人でもスイスで不動産を購入できますか?
A

Lex Koller法により、非居住外国人が購入できるのは指定観光エリアの別荘のみです。チューリッヒやジュネーブなど主要都市での購入は、スイスに居住していなければ基本的に不可能です。

Q
Q2. Lex Kollerとは何ですか?
A

1983年制定の連邦法で、外国人による不動産取得を規制しています。外国人投資家からスイスの土地を守ることが目的で、EU/EFTA国民や居住許可保持者以外の購入を厳しく制限しています。

Q
Q3. 観光エリアの別荘はどこで購入できますか?
A

ヴァレー州(ヴェルビエ、クラン・モンタナ等)、グラウビュンデン州(クロスタース等)、ティチーノ州などで購入可能です。ただしツェルマットは完全禁止、サンモリッツは非常に限定的です。

Q
Q4. 利回りはどのくらい?
A

2.5〜3%と世界最低水準です。観光エリアの別荘を短期賃貸すれば3.5〜4%程度になりますが、長期賃貸は禁止されています。キャッシュフロー投資には向いていません。

Q
Q5. 購入時の制限は?
A

居住面積200〜250㎡以下、土地面積1,000㎡以下、1家族につき1軒まで。賃貸投資目的での購入は不可で、政府の許可が必要です。年間の許可枠は全国で約1,500件です。


※本記事は情報提供を目的としており、特定の不動産物件の購入を推奨するものではありません。
海外不動産投資にはリスクが伴います。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
各国の法規制・税制は変更される可能性があるため、最新情報は現地の専門家にご確認ください。